『ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密~』が2021年3月5日(金)、東京・天王洲 銀河劇場で開幕し、3月25日(木)からは大阪・メルパルクホール大阪で、4月1日(木)からは大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演されます。出演は、セバスチャン・ミカエリス役が立石俊樹さん、シエル・ファントムハイヴ役が小西詠斗さん、エドガー・レドモンド役が佐奈宏紀さん、ハーマン・グリーンヒル役が田鶴翔吾さん、ロレンス・ブルーアー役が里中将道さん、グレゴリー・バイオレット役が後藤大さん、クレイトン役が古谷大和さん、エドワード・ミッドフォード役が中島拓人さん、モーリス・コール役が田口司さん、チェスロック役が福澤侑さん、ジョアン・ハーコート役が内野楓斗さん、マクミラン役が早川維織さん、デリック・アーデン役が山口晃生さん、ヨハン・アガレス役が高橋駿一さん、ソーマ・アスマン・カダール役が岡田亮輔さん、葬儀屋役が上田堪大さん、ほかのみなさんです。
<あらすじ>(公式サイトより)
19世紀の英国。ヴィクトリア女王の<裏>の仕事を請け負う<悪の貴族>ファントムハイヴ家の万能執事、セバスチャン。その正体は悪魔。呪われし運命に立ち向かう孤高の若き当主シエルとの契約のもと、シエルの影となり、裏社会の事件を闇で片付けている。
ある日、女王のいとこであるクレメンス公爵の息子デリックが去年の夏休みから帰省しておらず、その原因を調査してほしいと女王より依頼の手紙が届く。セバスチャンとシエルはデリックが通っている名門寄宿学校の先生と生徒になりすまし潜入調査を始める。
そこは伝統と規律が支配する閉鎖空間で絶対君主である“校長”がいた。“校長”は一切姿を現さず、唯一面会が許されているのは学園に君臨する監督生4人(通称P4)のみ。事件の真相を探る為、P4にあらゆる手段で近づきだんだんと認められていくシエル。
そんな中、活躍した人が“校長”の開催する「真夜中のお茶会」へ招待されるという、年に一度のクリケット大会が開催される。 シエルは面会の絶好のチャンスだと策を練るのだが—
初日の開幕前に行われたゲネプロでは、セバスチャン・ミカエリス役の立石俊樹さんと、シエル・ファントムハイヴ役の小西詠斗さんが、執事と坊っちゃまという主従関係でありながらも兄弟のようにも見えたのが印象的でした。寄宿学校編で描かれている寮の中での「寮弟(ファッグ)」という兄弟関係のテーマとも連動してそう感じられたのかもしれません。事前に公開されていたビジュアルイメージでも明らかになっていたように、今回の作品では、赤・青・緑・紫と、寮ごとにテーマカラーが定まっており、衣装や照明などに反映されています。
そのカラフルな空間の中だからこそ、セバスチャンの「黒」には「悪魔」というキャラクターを際立たせる効果があるように思います。立石さんの存在感が、黒という色をとても華やかに、時に鮮やかにさえ見せていたのが印象的でした。激しい殺陣のシーンでも軽やかな演技を見せ、時にお茶目でキュートでもあり、シエルを優しく見守るかと思えば、魂を欲する野性的な表情まで、ミステリアスな奥行きを感じさせる立石さんのセバスチャンでした。
小西詠斗さんによるシエルには、とてもスマートな印象を受けました。寄宿学校では、ヴィクトリア女王の命令を受けての潜入捜査であるため、「本当の顔を見せない」シーンが大半です。デリックの足跡を探るべく、校内のキーパーソンごとに対応を変えながら巧みに真相に近づいていくシエル。多面相の仮面をセバスチャンの前で唯一脱ぎ捨てる時に出てくる実年齢らしい子どもっぽさと、年に似つかわしくない冷静さや覚悟の強さとのギャップや目力に、心の闇の深さを感じさせる演技でした。
エドガー・レドモンド役の佐奈宏紀さんは、名門の子息が集う「スカーレット・フォックス」寮監督役。エレガントで品のある佇まいだからこそ、コミカルなシーンでのギャップが印象的でした。束ねられた金髪が揺れるクリケットシーンでの演技は、さながらベルばらのオスカル。「いい香り」がしそうな雰囲気が素敵でした。
ハーマン・グリーンヒル役の田鶴翔吾さんは、運動神経が抜群の「グリーン・ライオン」寮監督役。とてもパワフルで、熱血ながら品があり、人柄の良さと温かさを感じさせるキャラクターとなっていました。クリケットのラケットが誰よりも似合い、リーダーとしての存在感が圧巻でした。
ロレンス・ブルーアー役の里中将道さんは頭脳派集団の「サファイア・オウル」寮監督役。クールな中に、純粋で熱い思いが秘められている表情や演技が印象的でした。メガネ越しに垣間見える色気も素敵です。「サファイア・オウル」を表現する群舞での、翼を思わせるしなやかなダンスも見所でした。
グレゴリー・バイオレット役の後藤大さんは、一芸に秀でるものが集まる「ヴァイオレット・ウルフ」の寮監督役。指先一つで「いかにもヴァイオレット・ウルフぽい」という雰囲気を醸し出しつつ、フードで顔が隠れているシーンが多いものの、声色や動作で強い存在感を放っていたのが印象的でした。
ソーマ役の岡田亮輔さんは、シエルが陰ならばまさに陽のような正反対のキャラクター。熱血すぎてめんどくさそうな部分もありながらも、誰からも愛されるであろう天真爛漫なインドの王子を好演。その明るさがまさに「スパイス」になる存在感でした。
今回より葬儀屋役を務めている上田堪大さんは、声を聞いているだけで捉え所のない深みに引き込まれていくような、迫力のある圧倒的な存在感でした。人を食ったようなアイロニカルな笑い声には、ソフトで明るいトーンでありながらも、水の渦のように、気付いたら巻き込まれて飲み込まれていきそうな闇を感じました。
クレイトンの古谷大和さん、エドワード・ミッドフォードの中島拓人さん、モーリス・コールの田口司さん、チェスロックの福澤侑さんは、それぞれ寮監督の世話をする寮弟役。いずれも、役としての個性はもちろんのこと、それぞれの寮のイメージを観客に強く伝える説得力のある演技が印象的でした。
ジョアン・ハーコートの内野楓斗さんとデリック・アーデンの山口晃生さんは、後半のシーンで大活躍。マクミランの早川維織さんは、学内でシエルの味方となる素直な明るさがとてもキュート。ヨハン・アガレス役の高橋駿一さんの、無表情でミステリアスな演技も物語のキーとなります。
ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密~のステージは、「切り絵」のような演出も印象的でした。ウェストン校の寄宿舎や、P4が集まる「白鳥宮(スワン・ガゼボ)」の屋根の部分などを見ていると、まるで白い紙のような質感を感じ、その空間の中で俳優のみなさんが身体をぶつけ合いながら激しい殺陣を繰り広げたり、クリケットに汗を流したりするステージに引き込まれつつ、ロバート・サブダ氏の飛び出す絵本を思い出しました。「切り絵」のような雰囲気からは、紙に印刷されて出版されている原作の「黒執事」を連想しました。この紙の質感が、原作と舞台とを結びつけるように感じ、舞台の上にいるのは、紛れもなく「漫画の紙面」という2次元から飛び出してきたキャラクターたちなのだという感覚になりました。2次元世界をどこかに感じさせるステージ装置だからこそ、キャラクターのエネルギーや生感が一層際立って、客席に伝わってくるミュージカルとなっていました。
キャストを代表して、立石俊樹さん・小西詠斗さんよりコメントが到着しました。
<セバスチャン・ミカエリス役 立石俊樹さんのコメント>
まずは無事に初日を迎えられることに幸せを感じています。
このような状況下で、公演ができるように尽力くださるスタッフさんやご鑑 賞くださるお客様に感謝しています。 私たちはこのミュージカル「黒執事」を届けることに意味、責任があると思 っています。
原作「黒執事」の世界観と、ミュージカルならではの“生”でしか感じられない 魅力を存分に届けられるよう大千秋楽まで大切に表現したいと思います。
皆様、ご来場する際には体調にお気を付けてお越しください。 よろしくお願いします。
<シエル・ファントムハイヴ役 小西詠斗さんのコメント>
ついに、この日を迎え、無事に開幕できるということを本当に嬉しく思いま す。
大変な状況の中、みんなで力を合わせて集中して頑張ってきたので、是非皆 さんと楽しい時間を過ごせたらと思います。
セバスチャンとの主従関係を大切にしながら公演を楽しもうと思います!
こんな状況ですが、お芝居をさせて頂けることに感謝し、僕自身、全公演を 全力で頑張ります。
劇場やライブ配信の向こう側でお待ちしています!
(C)2021 枢やな/ミュージカル黒執事プロジェクト
<『ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密~』>
【東京公演】2021年3月5日(金)~3月21日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪公演】2021年3月25日(木)~3月28日(日) メルパルクホール大阪
【大阪公演】2021年4月1日(木)~4月4日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
公式サイト
http://www.namashitsuji.jp
【ライブ配信】
2021年3月5日(金)17:00公演(東京公演初日)
2021年4月4日(日)17:00公演(大千秋楽)
【見逃し配信】
2021年4月5日(月)0:00~4月10日(土)23:59
Streaming+:
https://eplus.jp/kuro-streaming/
シアターコンプレックス:
https://theater-complex.jp/movie/detail/1392
<チケット一般発売日>
東京公演:2021年3月2日(火)10:00
大阪公演:2021年3月13日(土)10:00
チケット料金:S席 11,000 円、A席 8,500 円(前売・当日共/全席指定/税込)
<スタッフ>
原作:枢やな(掲載 月刊「G ファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
脚本:Two hats Ltd.
演出:松崎史也
<出演>
セバスチャン・ミカエリス:立石俊樹
シエル・ファントムハイヴ:小西詠斗
エドガー・レドモンド:佐奈宏紀
ハーマン・グリーンヒル:田鶴翔吾
ロレンス・ブルーアー:里中将道
グレゴリー・バイオレット:後藤 大
クレイトン:古谷大和
エドワード・ミッドフォード:中島拓人
モーリス・コール:田口 司
チェスロック:福澤 侑
ジョアン・ハーコート:内野楓斗
マクミラン:早川維織
デリック・アーデン:山口晃生
ヨハン・アガレス:高橋駿一
西岡寛修 杉山諒二 花見卓也 高橋陸人
ソーマ・アスマン・カダール:岡田亮輔
葬儀屋:上田堪大
<関連リンク>
公式 Twitter
https://twitter.com/namashitsujijp
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