2025年2月21日(金)から3月2日(日)まで神奈川芸術劇場 中スタジオで上演される、山本卓卓さんによる新作書き下ろし音楽劇『愛と正義』に、主人公コチ役で出演する一色洋平さんのインタビュー後編です。「下」では、共演される福原冠さん、入手杏奈さん、坂口涼太郎さんの印象と、『朝日のような夕日をつれて』の思い出、今年はどんな1年にしたいかなどについて伺った内容とお客さまへのメッセージを紹介します。

――コチの相棒カレ役の福原冠さんと、カレのパートナーであるカノ役の入手杏奈さんについてはいかがですか?
冠さんは、『20年安泰。』のプログラムの中でも拝見していて、やっぱり「見たら忘れられないタイプ」の方だと思っています。飄々とした出で立ちは「確かにこういう人、他にいないよな」みたいな。「こういうキャラクターの人、いないかな?」と思ったら、まず冠さんが浮かぶ人は多いだろうと思っていて。飄々とした立ち回りもできるし、頼りがいがある役柄もできる。
今回の「カレ」は結構どっちの側面もあるんですよね。頼りがいのある立ち位置でもあるし、彼女である「カノ」の前ではちょっとナヨッとした部分もある。常にそのどちらにも反復横跳びのように振れて、かつ常に真ん中に居れる人、みたいな。「どっちもいけるよ」みたいな感じのタイプだろうなという印象が、ご一緒してさらに強くなりました。
入手さんは、新国立劇場の『イヌビト ~犬人~』(2020年)で拝見していました。他にもお名前はいたるところで見ていたのですが、ダンサーご出身だと聞いてびっくりしました。演出家の長塚圭史さんが「この人を喋らせたら面白いだろうな」と思われたらしく、台詞のある役をバンバンお願いしたらしいんですけど、自然派というか、すごくナチュラルで素敵です。でもそれが映像的というわけでは決してなくて、非常に演劇的で、ひとたび動くと誰よりも空間の風を動かせるような方なんです。
入手さんが台詞を喋らないままだったとしたら本当にもったいなかったと思いますし、この間も『リア王の悲劇』(2024年)で、木場勝己さんとお2人のシーンがあったと伺って、「さすがだな」と。今回の物語はSFという面で、結構壮大なんですが、でも入手さんの存在で、すごく観客と近しいものに感じやすいなと思いました。だから劇的な部分は僕とか冠さん、坂口さんになったりするんですけど、非常に生活感のあるシーンは、入手さんのおかげで薫るだろうな、とすごく思います。
――カノは、ヒーローではない一般人という役どころでしたね。
そう、一般人という役がまた似合うんです。でも「生活感が匂う」ってすごく難しくて、僕は井上芳雄さんにもそれを感じるんです。井上芳雄さんは、もうスターの出で立ちもできるし、天空から降りてくるみたいなこともできるけど、でも例えばケラリーノ・サンドロヴィッチさんの作品では、すごく生活が薫るんですよ。一般庶民が薫るというか、そういう魅力を中尾明慶さんにも感じるんですが、生活感が薫るってすごくいいですよね。だって僕らが過ごすのは、基本的に生活の時間の方が圧倒的に多いわけだから、舞台上にいながら生活の時間にアクセスできるというのは、これはもう才能だと思います。
――コチと敵対することになる、ウチ/アク役の坂口涼太郎さんはいかがですか?
串田和美さん演出のコクーン歌舞伎『四谷怪談』(2016年)に僕が出させていただいて、まつもと市民芸術館では「信州・まつもと大歌舞伎『四谷怪談』」として、僕らは主ホールで上演したんですが、同じ時期に小ホールで上演されていたのが「木下歌舞伎」の『勧進帳』で、坂口さんが出演されていたんです。そのときに「信州・まつもと大歌舞伎」と「木下大歌舞伎」でご飯会があって、まつもと市民芸術館の芝生のある屋上に、中村屋と木下歌舞伎でみんな仲良くみたいな感じで。僕は中村屋でも何でもないですけど(笑)、みんなでお蕎麦出してもらったりして食べている中で、坂口さんにご挨拶したのが初めてです。だから「はじめまして」は長野で蕎麦を食べたのが最初で、ご一緒するのは今回が初めてです。
――ケータリングのお話でもお名前があがりましたね。
涼太郎さんは「食」が大好きですね!いつも稽古場ではすごく良い姿勢で、ご自身で作られたものを食べていらっしゃいます。隙あらばいろんな食べ物屋さんのお話を教えてくださるので、多分すごく「食」に癒しを感じてらっしゃるんだろうなって思います。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、朝日のような夕日をつれて』の思い出、今年はどんな1年にしたいかというお話やお客さまへのメッセージなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
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■『朝日のような夕日をつれて』は、舞台上の5人の中にファンが1人混じってる感じだった(笑)
■『朝日のような夕日をつれて』に参加して、「作品を守っていきたい」という気持ちが芽生えた
■今年は仕事のカラーがあまり予想できないので、「予想せず、肝だけ座らせて楽しもう」と
■タイトルの『愛と正義』。観劇後に『何と何』と言い換えてみると、ご自身の観劇が完了するかも
<KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 音楽劇『愛と正義』>
【神奈川公演】2025年2月21日(金)~3月2日(日) KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>
公式サイト
https://www.kaat.jp/d/aitoseigi
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