「燃える炎の中にある、細い針」、『チョコレート・アンダーグラウンド』東島京(上) | アイデアニュース

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「燃える炎の中にある、細い針」、『チョコレート・アンダーグラウンド』東島京(上)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2025年6月4日

ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』が、2025年6月5日(木)から6月15日(日)までよみうり大手町ホールで、6月21日(土)に森ノ宮ピロティホールで、6月28日(土)と6月29日(日)に富山県民会館ホールで上演されます。日本でもファンの多いアレックス・シアラーの人気小説が、世界初のミュージカル舞台化されます。脚本・作詞は高橋亜子さん、音楽はオレノグラフィティさん、演出は石丸さち子さんです。

国民が無関心な隙に、健康推進を掲げる‘健全健康党’が政権を取り、≪チョコレート禁止法≫が発令されてしまいます。すべての甘味が禁止され、こっそり食べれば逮捕され、個性のない人間に作り変えられる矯正施設へ送られるという状況の中、チョコレートの宣伝をしていたモファット(平野綾さん)をはじめ、国民すべてが途方に暮れるのでした。そこで立ち上がったのは、チョコレートが大好きなスマッジャー(北川拓実さん)とハントリー(東島京さん)。二人は、古本屋のブレイズ(岡田浩暉さん)、お菓子屋のバビおばさん(土居裕子さん)の協力を得て、チョコレートの密造に乗り出すのでした。しかし、同級生で‘健全健康党’の青年部リーダーのフランキー(木村来士さん) に密造を暴かれ、スマッジャーとバビおばさんは逮捕されてしまいます。ハントリーは不安に駆られながら、ブレイズと共に救出作戦を練るのでした。一方、厳しい拷問の中、本当に守るべきものは何かに気づき始めていたスマッジャー。やがてスマッジャーとハントリーは再会を果たし、ブレイズたちと共に、真の革命へと動き出します。果たして二人は何を武器に戦うのか?そして革命の行方とは――?

アイデアニュースでは、ハントリーを演じる東島京さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。「上」では、同世代のメンバーとの共演することや、石丸さんの演出作品への想い、東島さんがお好きなシーンについてのお話、作品の魅力などについてお話ししてくださった内容を紹介します。

「下」では、東島さんとミュージカルとの出会い、ロンドンで舞台に立たれた時のこと、ミュージカル『ワイルド・グレイ』のこと、これから挑戦したいと思うこと、演じてみたい役、出演してみたい作品などについてお話ししてくださった内容を紹介します。

東島京さん=撮影・岩村美佳
東島京さん=撮影・岩村美佳

(※4月末に取材しました。)

――『チョコレート・アンダーグラウンド』は、同世代の皆さんとご一緒できる作品かと思いますが、日比谷フェスティバルのステップショーにも出演されて、今の心境はいかがですか?

ふわふわしています。初演の作品をお客さまに初めてお見せするということで、どう受け取ってもらえるかなとか、興味を持ってくださるかなとか、いろいろな思いが巡りました。

(北川)拓実くんがひとつ年上で、(木村)来士くんが3歳年下なんです。

来士くんは昨日初めて稽古場で、拓実くんとは何回か歌を合わせてという感じです。きっと3人ともいろんな現場で最年少のポジションでやってきたから、互いにどんな関係性でいくのかを探りながらやっている感じですが、僕が感じたのは、3人とも人見知りだなということです。

「あっ……お疲れ様です……」みたいな(笑)。稽古しながら、話し合いながら、いい関係性の3人になるといいなと感じています。ピースがはまった時に、大きなエネルギーになるのではと、今からすごくワクワクしています。

――これを終えたら、大の仲良しの3人になるかもしれませんね。

そう思います。拓実くんとは、初めての歌稽古の後、ふたりともちょっとだけ予定が空いていて一緒に遊びに行ったんです。そこで結構仲良くなったんじゃないかなと思っています。

――初めての同年代の方とご一緒した時は、どうやってコミュニケーションを取っていくんですか?

探り探りです。「好きな天気は何ですか?」とか、「血液型は何ですか?」とか。本当にちょっとした共通点を見つけたら、そこでグッと距離感を近付けていけるので、何かあるかなとそれぞれ探りながらという雰囲気でした。

――何か共通点は見つかりましたか?

まだあまりですが、やっぱり人見知りなところですかね(笑)。

――そうすると、皆さんのハードルが高いですね。みんなで飛び越えないと…という感じですね。

今分かっている情報は、人見知りだけなので、これからもっと探していこうと思っています。

 ――コメントで演出の石丸さち子さんとご一緒するのを楽しみにしているとおっしゃっていましたが、それはどんなところでしょうか?

石丸さんの演出で感じているのが、会話をとても大切にされている方だなということです。先日稽古場でも会話とともに、俳優と役との出会い、そして役同士の出会いを大切にして、それをどれだけ作れるかが大事と仰っていました。僕もそれをすごく感じていて、石丸さんの演出を受けながら、きっと僕の中に埋まっているいろんな引き出しをこじ開けてくださるんじゃないかなと思っているんです。石丸さんご自身の印象が、燃える炎のような熱い方で、それと同時にその中にあるすごく細い針みたいな印象もあります。

――炎から針が出てくるんですね。

そうです、炎で燃やしながら、すごく細かいところをつなぎ合わせていくみたいな、その両極端の色を持ち合わせた石丸さんの演出をすごく魅力的に感じています。

――その勢いと繊細な細かい作業が合わさっている感じでしょうか?

作品自体が大胆でもありながら、その繊細なところをすごくリアルに作っていきたいとおっしゃっていました。そのどちらとも成長の機会を作ってくださるポイントだなと思っているので、そこも含めて、全部楽しみです。

――この作品へのご出演という観点で、そこは大きなキーポイントですか?

そうですね。こうやってご縁があったことも、とてもありがたいと思っています。

――事務所の先輩方も、これまで石丸さんの演出作品にご出演されていますが、周りの皆さんから何か聞いたりはされましたか?

やっぱりとても情熱ある方なので、「きっとびしばしと指導してくださるだろうから、全部吸収していけるといいね」と言われていて、自分をきっと大きく成長させてくださる方だと思っています。熱の中に愛がこもっている方だと思いますので、それもとても楽しみです。

――原作や脚本をお読みになったり、音楽にも触れていらっしゃる今、この作品の魅力について感じていることをお聞かせください。

魅力でもあり、演じていく上で難しく、大事にしないといけないポイントだと思っているんですが、物語が示す問題提起として選挙に行かない、行動しない大人たちが他人任せにすることで、世の中はどんどん悪い方向に行ってしまうという点があります。「悪が栄えるために必要なのは、善人が何もしないことである」という名言があるように、そこだけを注目して台本を読むと、現実に置き換えた時にゾクッとするようなテーマだなと感じます。

でもそこに子供が持っているピュアな勇気やまっすぐさがあって、そこをどのように見せていくのかが作品の魅力だと思いますし、演じていく中で、スマッジャーとどう受け取って、渡して、紡ぐのかを楽しみにしています。

ファンタジー要素のあるエンターテイメントでありながらも、すごくリアルなことを追求するために、いっぱい悩んで、話し合っていきたいです。

――「リアルなテーマを、ファンタジーに描く」。その両方があるということによって、すごく届くんじゃないかというところでもあり、ポイントではというところでしょうか。

そうですね。読む方の年齢によって受け取り方が変わる作品だと思っていて、子供たちが観たら、素直に「楽しい!」と感じる作品になると思いますし、大人の方が観たら、メッセージ性がぐさっと突き刺さってくる作品だと思います。

そこにオレノグラフィティさんの楽曲が加わった時に、どう濃く、鮮やかなものになっていくのか。楽曲を聴いた時に、とても色鮮やかでありながら、感情をそのまま音符に乗せているのではなく、ひとつ屈折させてメロディに乗せている風な印象がありました。

チョコレートがなくなる、大人に制圧される、抑圧されると、「怖い。どうしよう。どうやってチョコレートを取り戻そう」と理屈っぽく考えてしまいそうになりますが、僕が演じるのが少年の役だからこそ、「そんな理屈どうでもいいじゃん。チョコレートがなくなったらいやでしょ? これがなくなったら、未来の子供たちはチョコレートを知らなくなるんだよ」という発想になったり、「じゃあ、チョコレートはどうやってできたの?」と過去に思いを馳せたり、「チョコレートができたっていうことは必要だからじゃん、じゃあ、取り戻さないと!」 となるんです。

そんな子供のピュアさがあるからこそ突き進めるところが、うまく表現されているなと思っているんです。台本と楽譜を読んでいくと、自然とその道筋が示されているなと感じます。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、東島さんがお好きなシーンについてのお話、作品の魅力などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。6月4日に「上」と同時掲載するインタビュー「下」では、東島さんとミュージカルとの出会いのこと、ロンドンで舞台に立たれた時のこと、ミュージカル『ワイルド・グレイ』についてのお話や、これから挑戦したいと思うこと、演じてみたい役、出演してみたい作品についてのお話などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■スマッジャーとハントリーのふたりの行動力がすごい。役が僕自身にプレゼントをくれそう

楽曲の美しさ、子どもたちのまっすぐさ。シンプルに作品を受け取るだけで心が温かくなる作品

反抗心がなくなったスマッジャーの手を、ハントリーが握るシーンからの流れがたまらなく好き

■「チョコレートたちがふにゃふにゃダンスを踊る」というト書きのシーンも、シュールそうで楽しみ

<ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』>
【東京公演】2025年6月5日(木)~6月15日(日) よみうり大手町ホール
【大阪公演】2025年6月21日(土) 森ノ宮ピロティホール
【富山公演】2025年6月28日(土)〜6月29日(日) 富山県民会館ホール
公式サイト
https://chocoun.com

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東島京さん=撮影・岩村美佳
東島京さん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. あやか より:

    素敵なインタビューありがとうございます!
    いつか東島京くんもアイデアニュースさんに掲載される日がくるといいな…!と思っておりました!
    遂に明日開幕!日比谷フェスティバルでのパフォーマンス披露や、稽古場での動画なども公開されており、拝見しましたが、楽しい楽曲であることはわかっているものの、全貌がわからないので、どのように自分が感じとるのか、とても楽しみです。
    みさとくんが好きなシーンにも注目して観劇したいと思います!

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