2025年4月27日(日)から5月18日(日)まで東京・東急シアターオーブで、5月26日(月)から6月8日(日)まで大阪・オリックス劇場で上演されるブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』が上演されます。ローラ役をダブルキャストで演じる甲斐翔真さんと松下優也さんのインタビュー後編です。
「下」の無料部分では、ローラについてのお話の続き、歌の表現についてお話ししてくださった内容など、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、お二人のキャリアの中でこの作品でローラを演じることがどのような機会になりそうかというお話やお客さまへのメッセージなどを紹介します。
(合同取材:後編)
――甲斐さんはローラになってみて、いかがですか?
甲斐:いろんな他の格好をしてみたくなりましたね。自分では絶対にできないことなので。自分以外の何かになるという瞬間を素直に楽しめたなというのが、すごく記憶に残っていますね。自分になかったものに出会えたというか、させてもらったというか、この役に関しては、いったん外身を経験してみないと分からないので、すごくいい機会だったなと思います。
――何かぴたっと来るものがあったのでしょうか?
甲斐:僕はNetflixに出ている作品を3日で見るくらいに、ル・ポールにすごくハマって。(ドラァググィーンの)皆さんの共通って、世界に自分ひとりしかいないと思っているんですよ。「全員食ってやる」みたいな自己中心的な感じが、ローラには必要なんですよね。もちろん優しい面もあるんですが、ステージに立っている瞬間はやっぱり世界一の歌姫だし、この格好をしている時は役としても大変だったので「何にも負けない」と思ってやっていると。実際の方に聞いてみたんですよ。「あなたたちのせいでこうなったのよ、私の生きる道はこれしかないの」というくらい激しい理由があるというか。やっぱり観点が違うなと、僕には想像のつかない理由がそこにはあって。
でも、ル・ポールとか見ていても、確かにそう思ってそうだな、みたいな。どんなに仲がよくても、「結局私が一番よ。あとは私がやるから任せて」みたいな、全員そういう感じがして。そういうマインドになれる時ってなかなかないから、ある意味楽しみですね。この瞬間だけはそうやっていいから。
――魅力的なナンバーを、おふたりで聴けるというのも楽しみですが、ご自身が歌うナンバーについての難しさと魅力、「自分ならここを見せられるだろう」みたいなところを聞かせてください。
松下:すごくグルーヴのある歌だからこそ、歌いまくろうと思えば歌えます。でも、僕らは日本語でやるから、耳馴染みは英語とか韓国語に負けたくないというのはあるかもしれません。言葉が大事なこと、芝居として歌うことももちろん大前提なんですが、まだいろいろトライしてみたいものは正直あるかもしれないですね。ちょっといろいろやっていくうちに試してみたいです。今、『キンキーブーツ』のアメリカのビリー・ポーターのものとか、いろいろ聴いていて、日本語と照らし合わせているんですね。その時に「これは絶対こっちにしたほうがいいな」と思うこともあるんですよ。日本語のはめ方というか。でもこういう話をすると難しいんだよな……。
甲斐:クリエイターさんたちとの話になってくるかな。
松下:そうそう。でも、譜面や歌詞を変えるわけじゃなくて、ちょっとしたリズムの取り方なんですよね。(日本語と英語は)ひとつの音符に対してひとつの文字しか入っていないのか、ひとつの単語が入っているのかという違いがあるから。文字と文字の間、例えば「愛してる」という5文字だとしたら、その5文字の空間にリズムがあるから、やりすぎない程度にいいリズムの取り方をして。みんなが空間だと思っている部分は空間じゃないということです。そこはリズムなんです。というようなものを、見つけ出していきたいです。今までのものを変えるということじゃなくて、その空白を埋めていくものを見つけ出したいという気持ちはすごくありますし、そこがやりがいですし、楽しみですが、難しいところでもあるだろうなとは思っています。
――すごく細かい表現ですね。
松下:「技術はある程度計算したものを、ステージに出る時は考えずにやってしまう」というのを、自分はどの作品に出る時にも大事にしていることです。
甲斐:ミュージカルって本当に難しいなと思うのは、上手い人が感動するかと言われるとそうでもないし、上手い人に比べたらちょっとアラが見えるかもしれない人がいたとしても感動できる人もいるし。
松下:ミュージカルだけじゃなくてもそうだよね。尾崎豊に感動できるのはそういうことじゃない?
甲斐:きっと、心が埋まっているかどうかということなんですよね。音符というのはひとつの会話の手段で、守るべきものなんですが、そこを通るのは当たり前として、そこから溢れ出てしまう何かというのは、全員が探し続けているものなので。難しいのは、そこを計算でできなかったりするんですよね。もちろん役作りはして、完璧な状態で本番を迎えるんですけど、立ってみたらもっとすごいところに行けた、とか。
別の取材で、「舞台は数学だ」と言ったんですが、でも「1+1=何か」なんですよね。「1+1」というのは曲があって、脚本があって、演出があって、というもので、そこから生まれるものは無限大という。でもその「1」がなくて「無限大」を作ろうとしたって、起きるはずのない奇跡なんですよ。
そういうプロフェッショナルの構築の中にあるのが、ミュージカルではひとつ「曲」があって、そこをどう役者が使っていけるかですよね。曲がよすぎるので。ぶっちゃけ曲に頼ってできるんですけど、そこにどう負けないで、自分が……。だって、ローラがいて曲があるわけですよ。曲があるからローラがいるわけじゃなくて。本当に順番が逆で、人気曲だからこそ、曲を聴いちゃいますが、そこはちょっと意識したらいいかなと思います。曲に負けないようにして。
<取材協力>
甲斐翔真さん
ヘアメイク:木内 真奈美(オティエ)
スタイリスト:山本隆司(style³)
松下優也さん
ヘアメイク:ASUKA(a-pro.)
スタイリスト:村田友哉(SMB International.)
※アイデアニュース有料会員限定部分には、お二人のキャリアの中でこの作品でローラを演じることがどのような機会になりそうかというお話やお客さまへのメッセージなどアイデアニュース独自取材の後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■松下:開演からしばらくしてからローラが登場するのと一緒で、満を持して「松下優也登場」と…
■甲斐:ありのままの自分を受け入れる話。この作品に出たら、自分を受け入れられると思うんですよ!
■松下:始まる前からその瞬間を最高に楽しんで、舞台の後も持続して、ワクワク感を持って
■甲斐:何かを乗り越える瞬間に出会いたい。感動する瞬間って、凄まじい何かが目の前で起こっている
<ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』>
【東京公演】2025年4月27日(日)〜5月18日(日) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2025年5月26日(月)〜6月8日(日) オリックス劇場
公式サイト
http://www.kinkyboots.jp
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後半も読み応えがあって何度も読み返してしまいました!
2人のアプローチ方法等は違うけど、底に流れてる舞台を作る・役を作りあげる姿勢は同じなんだろうな等と色々感じました。
リズムや空間のお話とか舞台が始まる前から、それを受け止める準備をしながら、楽しみに舞台開幕を待とうと思います。
優也くん翔真くん2人の顔が見えるそんなインタビューありがとうございました!