「言葉の雨あられが強烈」、『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』亀田佳明・sara(上) | アイデアニュース

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「言葉の雨あられが強烈」、『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』亀田佳明・sara(上)

筆者: 達花和月 更新日: 2025年2月16日

世界の演劇界で注目される劇作家サイモン・スティーヴンスの2作品『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY』と『レイジ RAGE』が桐山知也さん演出で、2025年2月15日(土)に開幕しました。3月2日(日)まで、東京・シアタートラムで同じ演出家・出演者により同時上演(ダブルビル)されます。

第1幕は連続爆破テロ事件を背景に、都市生活者の孤独をオムニバスで描く『ポルノグラフィ』。五輪開催決定に沸くロンドンを舞台に、2005年7月に発生した地下鉄・バス連続爆破テロ事件を題材として記された作品です。被害者・実行犯など様々な人々の日常生活を7つのオムニバス形式で描き出します。

第2幕は2016年ドイツ・ハンブルクにて初演された、大晦日のイギリスの都市マンチェスターの混乱を群像劇で描く『レイジ』。2015年から2016年へと移り変わる大晦日の模様を捉えた、ジョエル・グッドマン撮影の写真から想を得た群像劇です。大晦日というボーダーラインを越える時間帯の都市空間を舞台に、現代社会の縮図を27の場面で濃密に映し出していきます。

出演は、亀田佳明さん、土井ケイトさん、岡本玲さん、saraさん、田中亨さん、古谷陸さん、加茂智里さん、森永友基さん、斉藤淳さん、吉見一豊さん、竹下景子さんです。

アイデアニュースでは、亀田佳明さんとsaraさんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。無料部分では合同取材の内容を、有料部分ではアイデアニュース独自取材の内容を紹介します。

「上」の無料部分では、出演が決まった時の思い、作品の魅力について、演出の桐山知也さんの印象についてのお話、稽古に入ってから台本の捉え方がどう変わったかというお話を紹介します。有料部分では、台本をどう落とし込むか、役の構築について、亀田さんとsaraさんが初共演された時の思い出などをお話ししてくださった、アイデアニュース独自取材の前半の内容を紹介します。「下」の無料部分では、「上」の続きとして、台本についてお話ししてくださった内容など、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、作者のサイモン・スティーヴンスが、この作品で語りたかったことについて伺った内容やお客さまへのメッセージなど、独自取材後半の内容を紹介します。

(写真左から)亀田佳明さん、saraさん=撮影・NORI
(写真左から)亀田佳明さん、saraさん=撮影・NORI

※このインタビューは、稽古期間中に行われました。
(合同取材:前編)

――この作品に出演が決まった時の思いを伺えますでしょうか?

亀田:僕は『ポルノグラフィ』は読んだり観たりしていましたが、『レイジ』は全く知りませんでした。企画として面白そうだったのと、プロデューサーの浅田聡子さんに対する信頼がとてもあったので「また面白いこと考えたんだな」ということで、「やります」お返事しました。

sara:私は(作品のことは)知りませんでしたが、サイモン・スティーヴンスの戯曲であるということ、世田谷パブリックシアターさんでは作品は観ていましたが、今回初めてなのですごく楽しみだなと思ったこと、そして亀田さんがご出演されるということを聞いて、「やります!」と食い気味な感じで即答でした(笑)。

亀田:そうなんだ(笑)。

――亀田さんがいらっしゃるのも大きかったのでしょうか?

sara:それはもちろんです!

――それぞれの作品の台本を読んで、どんなところに魅力を感じられましたか?

亀田:両作品とも、言葉の鋭さです。もちろん『ポルノグラフィ』の方は、ロンドンオリンピックの開催の決定とその直後に起きた連続爆破テロという喜びと絶望を、オムニバスの形で当事者たちそれぞれに描いていくのですが、日常を実際に描きながらも時折差し込んでくる、何とも言えないこの作家の言葉が、鋭いというか、残るんです。

「どういう意味合いで、これを言っているんだろう?」ということも時々ありますが、すごく印象に残るんです。それは『レイジ』にもありますね。どういう関係性の中で喋っているのか、よくわからないところも多いですが、引っ叩かれるような言葉の強さや、みぞおちをずっと抑えられているように印象に残る言葉が時々フワーッと、塵やほこりのように舞っているんです。いろんな色合いで言葉が豊かに舞うんですよ。その作家の言葉のイメージなのかもしれないですね。

sara:私も最初読んだときに「言葉が多い」という印象でした。一言で言い切れるものに対して、いろんなイメージを紡いで、とにかく1人が喋り続けているので、「なぜこんなに、いろんな比喩や感覚を、言葉を使って喋らないといけない状況だったんだろう?」と想像力が膨らんで、純粋に「これを喋ってみたい」と思いました。

『ポルノグラフィ』は、オムニバス形式でシーンが分かれているんです。それぞれの深い部分にすごくスポットライトが当たっています。一方の『レイジ』は、今稽古していても、やっぱりもう洪水のようにシーンがグワーッと変わっていくんです。「どういう感覚になるのか? これが終わった後に、どういうものが立ち上がるのか?」というところは、多分本当にこの人数でやってみないとわからないので、そういう意味で面白いなと思いました。

――演出の桐山知也さんとは初めてお仕事をされると伺いましたが、実際に演出を受けられてみて、どんな印象をお持ちですか?

sara:すごくオープンな方です。謎だらけの作品なので、最初はまずみんな「わかりません!」みたいな感じで(笑)、それを開示できてすごく心が楽になりました。桐山さん自身も、とにかく対話を大事にされる方なので「どこが今気になっている?」とか、「どういうことなんだろうね?」という感じで、「両方向から一緒に作っている」という印象がすごくあります。

稽古場でも、何を言ってもいったんは受け止めてもらえるんです。規定の発想では多分出てこないようなことを要求してくる台本なので、発想がすごく大事なのではないかと思っていますね。すごく意見を出しやすい空気を作られる方だという印象です。

亀田:もう全くその通りで、すごく優しい空気が稽古場に流れています。俳優の提案やトライに、目と耳を傾けてくれて、それを摘むことなく対話を重要視してくれるので、すごく疑問を投げかけやすいし、言いにくくてボヤッとしたつぶやきも「それは?」と拾い上げてくれる。だから僕も率先して、わからないところは「わからない」とできるだけ言うようにしていこうと思いましたね。

――台本がちょっと難しいというお話もありましたが、実際に読んだ時と、稽古に入ってから捉え方が変わったり、新しい発見はありましたか?

亀田:僕はだいぶ変わってきています。『ポルノグラフィ』は構造はわかりやすいんですけど、『レイジ』の方は読むたびにどんどんイメージや、その在り方、自分の中の捉え方みたいなものが結構変容してきているのですが、それはいいことだと思っています。

最初は「何をどう捉えて、どこから入って、どこに自分がコネクトしていけば、この作品は立ち上がるのかな?」と思いながら、何度も何度も読みました。それでもわからなかったものも、読み合わせで皆さんの言葉を聞いてると、自分が「?」と思っていたことが、意外に実はそんな大したことでなかったり。こだわって「?」と思っていたことも、実はちょっと広い捉え方をすると、全然違って見えてくるという感じで、今稽古の中で少しずつ変容していっています。

10日、20日ぐらい稽古すると、また違うものになっていくと思うので、結論づけることはなにも言えないですけど(笑)。ただやはり、言葉の雨あられが強烈な印象になっていく作品なんじゃないかという気はしています。「何かしらの言葉や印象が、パーソナルなところに入り込んで、パッと花開く」感じになっていくと、作品をご覧になる方にとって、結構変な演劇体験になるんじゃないかなと、無責任に思ったりしています(笑)。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、台本をどう落とし込むか、役の構築について、亀田さんとsaraさんが初共演された時の思い出などをお話ししてくださった内容など、アイデアニュース独自取材前半の全文と写真を掲載しています。〓日掲載予定のインタビュー「下」の無料部分では、「上」の続きとして、台本のについてお話ししてくださった内容など、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、作者のサイモン・スティーヴンスが、この作品で語りたかったことについて伺った内容やお客さまへのメッセージなど、独自取材後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■亀田:ひたすら回数を重ねて読む sara:「なぜそうせざるを得なかったんだろう?」と、事例を探した

■亀田:「一言」の裏側に、とんでもない奥行きが sara:どれだけ確信を持って、そのシーンに居られるか

■ sara:初共演時に、亀田さんにもらったお菓子の包み紙。「芝居ができるようになるお守り」に

■亀田:初共演時の打ち上げの時、「ウーロンハイずっと飲んでるな」と(笑) sara:緊張して…

<サイモン・スティーヴンス ダブルビル『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』>
【東京公演】2025年2月15日(土)~ 3月2日(日) シアタートラム
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/stage/16041/

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亀田佳明さん=撮影・NORI
亀田佳明さん=撮影・NORI

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<筆者プロフィール>達花和月(たちばな・かずき) 遠方の友人を誘って観たお芝居との出会いをきっかけとして演劇沼の住人に。ミュージカルからストレートプレイ、狂言ほか、さまざまな作品を観劇するうち、不思議なご縁でライターに。自らの仕事を語る舞台関係者の“熱”に、ワクワクドキドキを感じる日々。 ⇒達花和月さんの記事一覧はこちら

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