「もっと生きることを楽しもう」、『天保十二年のシェイクスピア』綾凰華(下) | アイデアニュース

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「もっと生きることを楽しもう」、『天保十二年のシェイクスピア』綾凰華(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2024年12月10日

絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』が、2024年12月9日(月)に東京・日生劇場で開幕しました。東京で12月29日(日)まで上演されます。その後2025年1月5日(日)から1月7日(火)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、1月11日(土)から1月13日(月)まで福岡・博多座、1月18日(土)と1月19日(日)に富山・オーバード・ホール大ホール、1月25日(土)と1月26日(日)に愛知県芸術劇場大ホールで上演されます。

お冬役で出演される綾凰華さんのインタビュー後編です。「下」では、この作品の魅力だと思う点、ご自身の人生ともこの作品が通じているという感覚、ご自身の変化について、役が教えてくれることなどについてお話ししてくださった内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。(物語のエンディングに触れていますので観劇前の方はご注意ください)

綾凰華さん=撮影・岩村美佳
綾凰華さん=撮影・岩村美佳

ーーお好きなシーンや、ここが面白いというポイントはありますか?

お里とお文の関係性が、なんとも面白いなと思います。作品全体を通して、一人ひとり全てが、欲望を持っていて、欲が渦巻いているんですよね。でも、それは必ずしも悪いことではないというところがまた、この作品の面白いところだと思います。欲という感情は、否定してはいけないと私は思っているところがあって。ここまで欲望が渦巻いている登場人物たちを客観的に観て、お客さまにもいろいろと思っていただきたいです。藤田(俊太郎)さんが、「これは天保十二年の時代を描いた作品だけれども、必ずこの現代に生きる人に通じる部分がある」ということをおっしゃっていました。そういう部分も、受け止めていただきたいですね。

ーー客観的に、この作品のどんなところが刺さりますか? 

最終的に、登場人物が全員死んでしまいますが、ものすごく明るいエピローグなんです。生きている上での悲しみ苦しみすらも、人生の醍醐味なんだと感じます。「悲しい」だけで終わらず、「ハッピーエンドかな?」というくらい明るいトーンで終わりますが、そこには、「もっと生きることを楽しもうよ」みたいなメッセージが込められているのだと思います。「悲しむのも苦しむのも、涙を流すものも、生きているから、心があるからですよ」ということかなと。

ーーご自身の生活では、今おっしゃっていたようなことは、結構楽しめていますか?

この作品にこのタイミングで出演させていただくというのは、自分にとっても、何か意味があったのかなと思っています。今年、自分自身とすごく対話した実感があるんです。具体的には、今まで自分の中では常識だったことをちょっとずつ壊してるような感覚があります。だから今、この作品で死生観みたいなところを感じたり、特にお冬としては、精神的にも狂気をまとってしまい、その後に、生と死の境みたいなところに来るというような芝居をしているので、きっと今この作品をすることに、私自身も意味があるんだろうなと思うぐらい、自分の人生にも通じているところはありますね。

ーー今おっしゃっていた、「常識を覆した」とおっしゃっていたところなど、何か具体的に伺ってもいいことはありますか?

本当に些細なことなんですよ。今までは「こうしなければならない」と勝手に自分で自分に鎧を着せていた部分をちょっとずつ脱いでいくというか。「いや、こうでもいいんじゃない?」みたいな。「目的地がここだったら、道は何でもいいんじゃない?」というような、そういう本当に些細な変化が、自分の中に起こっている実感があるんですよね。

ーー「今までは、目的地とルートも決めていた」という感じでしょうか。

そうです。例えば、「100点取らなきゃいけない」となっていたところが、「80点でもいいじゃん」と思えるようになったりしました。「80点でいいから、20点を心の余裕にしようよ」みたいな感覚ですね。そういう感覚がちょっとずつ出てきたんです。それはいままで、そうやって走ってきたからなんだろうなと。完璧も100点もないのに自分で自分を追い込んでしまっていた。そこを今、やっと見つめ直せているんじゃないかなという感覚があります。

ーー何かきっかけはありましたか?

宝塚を卒業してから2年ほど経過して、プライベートが変わっていったところがまずありますね。宝塚を離れて、1人の人として生きて、いろんな人とまた新たに関わっていってという中で、今まで自分の中で「絶対こう」だったものが、「でもこういうやり方もあるんだね」と、何か新しく知ったところもあると思います。


<衣裳協力>
ワンピース: EAUVIRE オーヴィル
アクセサリー: VENDOME AOYAMA ヴァンドーム青山

※アイデアニュース有料会員限定部分には、ご自身の変化について、役が教えてくれることなどについてお話ししてくださった内容と、お客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■自分を許せるようになると、周りのことも、もっと許せるようになってくる

■宝塚の頃から「いただいた役は、そのとき自分に必要な何かを教えてくれる役」だと

■「生まれたら、全てが決まっている」天保十二年と「どうなるんだろう」という現代

■現代を生きる人も、共感できるメッセージがたくさん。ポジティブに受け取って

<絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』>
【東京公演】2024年12月9日(月)~12月29日(日) 日生劇場
【大阪公演】2025年1月5日(日)~1月7日(火) 梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】2025年1月11日(土)~1月13日(月) 博多座
【富山公演】2025年1月18日(土)~1月19日(日) オーバード・ホール大ホール
【愛知公演】2025年1月25日(土)~1月26日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
公式サイト
https://www.tohostage.com/tempo/index.html

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綾凰華さん=撮影・岩村美佳
綾凰華さん=撮影・岩村美佳
『天保十二年のシェイクスピア』
『天保十二年のシェイクスピア』

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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