パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』が、2025年5月10日(土)から6月1日(日)までPARCO劇場で、6月8日(日)に山形・やまぎん県民ホールで、6月12日(木)から15日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、6月21日(土)と22日(日)に福岡・キャナルシティ劇場で、6月27日(金)から29日(日)まで愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールで上演されます。
イギリスのかつて栄えた炭鉱町を舞台に、変わりゆく社会と折り合いをつけようともがく家族を、イギリス気鋭の劇作家ベス・スティールさんが情熱的かつユーモラスに描いたヒューマンドラマの傑作で、2023年英国ナショナル・シアターで上演されるやいなや、深い人間観察と巧妙な劇構成が絶賛され、五つ星の評価を得る中、2024年度「ローレンス・オリヴィエ賞」BEST PLAYにノミネートされた話題の新作戯曲が、小田島則子さんの翻訳、栗山民也さんの演出で上演されます。
アイデアニュースでは、三人姉妹の三女の夫、マレクを演じる山崎大輝さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。「上」では、作品や役などについてお話ししてくださった内容を紹介します。「下」では、作品のト書きの魅力や役作り、「俳優」という仕事への思いについてお話ししてくださった内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。

(※4月中旬に取材しました)
――読み合わせをされたというSNS投稿を拝見しましたが、その時の印象はいかがでしたか?
最初に本を読んだ時、キャストの皆さんもすごく個性豊かな方々ばかりでしたので、「きっとこの人だったらこういう感じになるのかな」とか、そういうことを考えていました。栗山さんの演出も含めて、分かることと分からないことが半々くらいだったんですよ。本読みが始まったことで、「あ、やっぱりこういう感じになっていくんだ」と、より具体性を帯びてきたところがあるんです。ただ、依然として僕が演じるマレクの居どころがすごく難しいなと思っています。マレクは、周りの人々と境遇が全然違っているので、そのあたりの難しさですね。
――「やっぱりこういう感じ」とおっしゃったのは、どのような部分ですか?
稽古が進んでいく中で、ひと言ひと言の台詞の中に、栗山さん独特のフックを引っかけるところがあるんです。敢えて、ちょっと違和感のある演出をつけてくださったりしているので、そのあたりが、すごく栗山さんらしいなと思っています。
――「敢えての違和感」というのは、どういう感じなんですか?
台詞の中で、敢えてちょっと間を取るとか、そういった部分です。
――読み合わせも含めて、栗山さんと少しずつ進められている中で、今の時点ではどのようなことをお話しされていますか?
さっきお話したことに若干重なりますが、この作品には、国の問題なども出てきます。僕は、ポーランドからの移民としてイギリスに来ている役なので、マインドというか、そういうところをかなり強く持っておかないと成立しなくなってしまうんです。そのあたりをすごくお話ししてくださっています。
――ありがとうございます。振り返っていただいて、この作品へのご出演が決まった時は、どんな思いでしたか?
すごく嬉しかったです。まず、PARCO劇場は立ちたかった劇場ですし、また栗山さんともご一緒できるのも、素晴らしいキャストの皆さんと作品を作らせていただくということ。そして、マレクという役を僕に任せていただけるということですね。というのも、マレクという役は色も出ますし、いろんな意味で起爆剤になったりもしますので、そういう役割を担って、歯車のひとつをやらせていただけるということが、とりわけ嬉しかったですね。
――戯曲全体を読まれた感想は、いかがですか?
面白いなと思いながら読んでいたんですが、本読みをした後に皆さんも「面白い本だよね」とおっしゃっていて、自分の物差しが間違っていなくてよかったと思いました。この戯曲には、生々しい部分はすごく生々しく描かれていて、台詞を絶対に一言一句間違えないほうがいいというか。それは、この言葉じゃないとだめだというよりは、長い時間を三姉妹で過ごしてきたというのが伝わるような台本になっているので、そういう生々しさというかリアリティが、緻密に計算された本じゃないと出せないと思うんですよ。
台本の中の登場人物が勝手に動いている感じがすごくするというか、浮き上がってくるというか。会話の主題はあるんですが、普通、人って、この人が話しているけれど別のことを話していたりするようなことも、意外とよくありますよね。そういうところが、「いかにも台詞」という感じじゃないんです。
主題だけを切り取って、主題だけで会話が構成されていく作品もあったりしますが、この作品では、主題の話が台本的にはメインにされていないところがあるんです。各々が自分の欲を発散しようとしているという、鬱憤の溜まった感じ、何か足りない感じというのが、美しさというか、色気になっているというか。そういうものをすごく台本から感じますね。
――色気を感じるというのは、面白いですね。
そのリアルさがすごく美しくて、周りから見てとても滑稽だったり、それぞれの人間が必死に自分の欲を発散しようとしている図が、とても面白い作品なんです。そういうところが「人間らしい部分なんだな」と感じましたし、そこがこの戯曲の特徴なんだなと思いました。
だから、台本だけで読んでいると、主題の話が「あれ? どこに行っちゃったんだろうな?」となったりするんです。本当にその場面にいろいろな人がいて、実は「ああ、こうなっていたんだ」みたいな。しゃべっていない人も、その空間に存在しているというのを、この本からは感じられました。
お客さまも、最初はいったい何の話をしているのかが分からない方もいるんじゃないかと思います。支度をし始めるのを見ながら、「結婚式なのかな……? ここからいったい何が始まるんだろう?」みたいな。
<取材協力>
ヘアメイク:林美由紀
スタイリスト:内田考昭(A-T)
※アイデアニュース有料会員限定部分には、作品や役などについてお話ししてくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。〓日掲載予定のインタビュー「下」では、作品のト書きの魅力や役作り、「俳優」という仕事への思いについてお話ししてくださった内容、お客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■国の問題などが大きく関わっているマレクという役。差別などの問題にも目を向けてほしい
■みんなが必死に生きている作品。とても悲劇ではあるが、いかに滑稽に喜劇に見えるか
■同じシチュエーションやタイミングというものは二度と来ない。「この大切な一瞬」を
■「二度とないチャンスだと言わんばかりに踊る」と書いてあるト書きが、すごくいいなぁと
<パルコ・プロデュース 2025『星の降る時>
【東京公演】2025年5月10日(土)〜6月1日(日) PARCO劇場
【山形公演】2025年6月8日(日) やまぎん県民ホール
【兵庫公演】2025年6月12日(木)〜6月15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【福岡公演】2025年6月21日(土)〜6月22日(日) キャナルシティ劇場
【愛知公演】2025年6月27日(金)〜6月29日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
公式サイト
https://stage.parco.jp/program/tillthestarscomedown/
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