宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演 グランド・ミュージカル『ダル・レークの恋』(監修:酒井澄夫さん、潤色・演出:谷貴矢さん)が、2021年3月14日(日)に開幕しました。菊田一夫さんによって書き下ろされた『ダル・レークの恋』は、宝塚で1959年に初演され、その後1997年、2007年にも上演された作品。インド北部のカシミール、ダル湖を舞台に繰り広げられる騎兵大尉のラッチマンと、ベナレスの領主チャンドラ・クマールの孫娘で、やがてデリー大公ゴヤール王家の女官長になるカマラのロマンスを描いた作品です。ラッチマン役は月城かなと(つきしろ・かなと)さん、貴族の娘カマラ役は海乃美月(うみの・みつき)さんが演じます。
物語の舞台は、インド最北部、インダス河が流れるカシミール。ある夏、恋に落ちた騎兵大尉のラッチマンと、貴族の娘カマラは、世界各国の大使や富豪、インド諸州の王族らが集まってくるカシミール・ホテルの舞踏会に出席するのですが、身分違いである二人の仲は周囲から注目を集めてしまいます。二人の噂を聞きつけたカマラの祖母インディラは、家の名誉が失われることを恐れ、カマラにラッチマンと別れるよう命令。いつかは別れることを自覚していたカマラは、ラッチマンに冷たく当たり、彼の愛を突き放すことに。突然、心変わりをしたカマラに傷ついたラッチマンですが、言われた通り彼女の元を去ってしまいます。
そして、間もなくのこと。クマール一家はパリの国際警察から、悪名を轟かせている世界的詐欺師ラジエンドラがカシミールに滞在しているとの知らせを受けます。憲兵隊長からの報告を受け、その詐欺師はラッチマンに違いないと考えた一家は、再度ラッチマンを呼び出し、詰問することに。カマラにまで疑いの目で見られたラッチマンは、自分こそがラジエンドラだと認める発言をします。そんなラッチマンに対し、一家はこの国から逃れ、カマラやクマール一族との関係を一切口外しないことを要求。ラッチマンはその取引に応じる代わりに、愛するカマラを望むと言い、ダル湖の湖畔へと連れて行くのですが……。
まず、目を奪われたのがラッチマンを演じた月城さんの軍服姿のかっこよさ。端麗な顔立ち、すらりとしたモデル体型の月城さんが着こなす軍服姿は、まさに「眼福」の一言に尽きます。また、涼しげな表情で大人の余裕たっぷりにカマラを翻弄していく様子はなんとも魅惑的。流し目など目で魅せる演技も印象深く、溢れんばかりの色気で会場を魅了していました。身分の差を理由に離れようとするカマラが、それでも心惹かれてしまう男だということに説得力を持たせていたのも、月城さんが演じたラッチマンだからこそでしょう。深みと包容力のある低音を響かせる歌唱は心地良く、伸びやかな歌声も聞き応え十分。劇中に登場する胸キュン必至の名台詞も見逃せないポイントです。
一方、カマラ役の海乃さんは豪奢な衣装を身に纏い、優雅な所作で、気品溢れる貴族の娘を演じます。自分の意見をしっかりと主張する気の強い一面を覗かせる一方で、ラッチマンの言葉や行動に揺さぶられ葛藤するカマラの心中も繊細に描き出していました。また、月城さんとのデュエット曲では、なめらかな高音を響かせつつ、その眼差しでラッチマンへの慕情を表現。二人の低音と高音が調和する、美しいハーモニーにも注目です。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、ルポの全文と独自撮影の写真3枚を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■風間柚乃はパリの詐欺師をキザに演じ、きよら羽龍演じる無邪気な娘を誘惑
■夢奈瑠音は人の良い王族の男を温かく、夏月都はその妻を感情豊かに表現
■梨花ますみは貴族の女性を威風堂々と、千海華蘭は孫に甘い祖父を愛らしく
■雰囲気の異なる数々の音楽と衣装で、異国情緒溢れる世界にどっぷり
<グランド・ミュージカル『ダル・レークの恋』>
【東京公演】2021年2月16日(火)~2月28日(日) TBS赤坂ACTシアター(この公演は終了しています)
【大阪公演】2021年3月14日(日)~3月21日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト:
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2021/dallake/
https://www.umegei.com/schedule/942/
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