『Being at home with Claude 〜クロードと一緒に〜』が、2023年7月1日(土)から7月9日(日)まで横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで上演されました。京都公演は、7月20日(木)から7月23日(日)まで京都文化博物館別館ホールで上演されます。1985年に書かれたフランス系カナダ人のルネ=ダニエル・デュボワさんの作品を原作とする本作は、1986年に初演され、その後英語に翻訳されるなど、カナダ国内外で長年にわたって繰り返し再演されてきました。日本での上演は、今回6回目となります(「「Lecture-Spectacle(読み聞かせ)」を含む)。
アイデアニュースでは、「彼」を演じる松田凌さんにインタビューしました。上、下に分けてお届けします。「上」では、4回「彼」を演じながら感じていること、この作品のどの部分が「人生を変えた」のかということ、「これが最後だと…」という思いで取り組まれているということ、自分が出演するか否かに関わらず、ずっと関わりたい作品だというお話などを紹介します。「下」では、今回の演出を担当される小山ゆうなさんとの作品作りについて、作品としての面白さ、原作者のデュボワさんが「この作品はラブレター」だとおっしゃっていたというお話に救われるというお話、根本には愛がある作品だということについて伺った内容と、お客様へのメッセージを紹介します。
ーー何度も上演されている中、恥ずかしながらまだ拝見したことがないのですが、松田さんは本作には4回目のご出演ですよね。
朗読劇を含めるとそうですね。
ーー4回やりたいと思うぐらいに、大事な作品だと思うのですが、「人生を変えた作品」だとインスタでも書いてらっしゃいましたけど、どこの部分が人生を変えたのかというところをお聞かせください。
自分が初めて演じさせていただいたのが、『Being at home with Claude 〜クロードと一緒に〜』(以下クロード)の再演だったんです。当時20代前半だったんですが、振り返ると、これほどに負荷を与えてくれる作品ってなかったんじゃないかなって思うんです。
ーー演じる上での負荷がかかるということですね。
演じる役や作品について、すごく大げさなこと言ってしまうと、自分の身と心をとにかく削り、時間のことも考えずに何もかも投げ打ってという作品に、初めて出会ったのだと思うんですよ。もちろんそういう意気込みや情熱で、今までの作品にも臨んできましたが、俳優としてひとつ厳しい環境に置いてくれたということだと思います。
ーー自分が追い込まれた結果、思っていた以上の力も出て、経験にもなったということですか?
そうですね。皮をむいてくれたんだと思います。ひとつの殻をぱっと破ってくれたというか。だから、この作品を経る前と後というのは、出会ってなかった出会ったという言葉にしても、大きく自分の人生変わってたんだろうなって思うんですよね。やっぱり紐解いていくと、自分の人生を変えてもらったし、変えられちゃった作品でもあると思っています。自分の人生をとおした実体験、実経験という感じですかね。
ーーなるほど。作品自体、役、例えば演出家とか、いろいろな出会いがひとつの作品でもあると思うんですが、その中で特にとなると、何になりますか?
特にとなると難しいですが、やっぱり役じゃないですかね。そういう役、作品、演出家さんに数多く出会ってきたので、ほとんどの作品にそう感じているところもありますが。
自分で言うのも何ですが、そういう巡り合わせは強みのひとつでもあって、そう感じられる役を与えていただいたり、機会に恵まれることが多いんです。その中で、この作品は特にというか。本当の意味で、自分のケツを叩いてくれるところがあります。「職業は何ですか?」と聞かれたときに、「お芝居をやらせていただいています。俳優です」と、この作品に出会っていなかったら、ちゃんと言えてなかったかもしれないと思います。
これがあったから、僕はすごい役者になりましたとか、そういう意味ではないです。俳優の土壌というものは、どれだけ大変なのだろうと感じていて。歌舞伎や能のような伝統芸能ではないですが、普通にひとりの俳優として、「お芝居している人なんですよね」と言われる立場に立つには、いろんなものをちゃんとやらなきゃできなかったりするよなって。なめてたわけではないんですけど、そこまでは情熱だけで走っていました。「なんか楽しい」だけじゃないんだと、初めて気づかせてもらった作品です。
ーー以前インタビューさせていただいたときにもお話しましたが、『瞑るおおかみ黒き鴨』の松田さんが衝撃的で、あれは2015年のクロードの後なんですね。あのときに「松田さんすごい」と刻まれた記憶が忘れられないのは、クロードでの経験が何かしらの影響を大きく与えていたのかなと思いました。
あったと思います。『瞑るおおかみ黒き鴨』はすごく反響をいただいて、自分ではもうあまり実感はないのですが、今もこうやってお話ししてくださる方が多いんですよ。当時は稽古中に、あと1日対応が遅かったら……くらいになって、実は一回入院しちゃったりしていて。そういうこともあって、ちょっといつもとは違う雰囲気や纏うものがあったんですけれど、本当にクロードをやる前と後で、俳優としての皆さんからの目が変わったのかもと思う瞬間がすごくあるんです。
クロードをやった後から、自分のことを応援してくださっている皆さんもそうですし、自分のことを選んで観てくださる方もいらっしゃるじゃないですか。すごくたくさんのお客様に、お芝居を見ていただけるようになりました。
一介の20代の、まだこの世界に入ったばっかりの若者が、特に僕は俳優としての才がない方なので、本当にダメダメだったんだろうなっていうときから、作品にたたき上げてもらったんです。そのきっかけになったのが、クロードだったんですよね。
ーー『瞑るおおかみ黒き鴨』以前も舞台を拝見していますが、お芝居を見せる技術なのか、覚悟的なことなのか、何かがきっとどこかで変わられたんだろうなとは思っていたのですが、クロードは少なくともその中の大きな一つだったんですね。
はい。ちょっととがっていた時期だったんで(笑)。人として荒ぶるとかではなくて、「ずぬけて俺がすごいんだ」って(笑)。さっきも言ったように僕は才がないんです。でもここで一番を取れなければ、もうどこでも取れないだろうと毎回思って、とにかく「あいつ誰だ、あいつはすごい」を目指さないと、この先の将来はないと思ってた時期だったんです。だからもう、ギラギラというか。今も丸くなったわけではないのですが、「一番」とか「俺が俺が」というのはナンセンスだと気づいたので、違う情熱の燃やし方になりました。火力は変わらないんですが、ガソリンの種類が変わったというか。
ーー先日、『聖なる怪物』を拝見したんです。
ああ! 嬉しいです。
ーー松田さんじゃない顔だったというか、あの俳優さん知らないというか、うわーすごい……って思いました。作品の内容も怖かったですが、知らない人がそこにいるというのが当たり前ですが強烈で。
久しぶりに『聖なる怪物』で、自分では悔しい思いをしたかなと思っていますけどね。自分の中で悔いが残るお芝居を続けてきたという意味ではなく、やっぱり板尾創路さん、朝加真由美さん、石田ひかりさんと、莉子ちゃんとの芝居で、特に板尾さんとずっと対峙させていただいていたので思うんですが……なんか頑張っちゃってたなと。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、「これが最後だと…」という思いで取り組まれているということ、自分が出演するか否かに関わらずずっと関わりたい作品だというお話などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。15日掲載予定のインタビュー「下」では、今回の演出を担当される小山ゆうなさんとの作品作りについて、作品としての面白さ、原作者のデュボワさんが「この作品はラブレター」だとおっしゃっていたというお話に救われるというお話、根本には愛がある作品だということについて伺った内容やお客様へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■『聖なる怪物』で、僕の中での最上は毎日出ていたけど悔しさも。親友にも言われた
■前回が最後だと思ったけど、終わった時の乾杯で「あと一回やりたい」と言った
■モントリオールに初めて行ってきた。原作者のルネ=ダニエル・デュボワさんとお話を
■自分が出演するかどうかではなく、今後も関わっていきたい作品。一番前で戦いたい
<Being at home with Claude~クロードと一緒に~>
【横浜公演】2023年7月1日(土)~7月9日(日) 横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
【京都公演】2023年7月20日(木)~7月23日(日) 京都文化博物館別館ホール
公式サイト
https://www.zuu24.com/withclaude2023/
【配信公演】
★ライブ配信
京都 大千秋楽 2023年7月23日(日)
※定点による全景映像となります。スイッチングはありません。
※アーカイブはありません。
★レンタル動画配信
配信公演:京都 大千秋楽 2023年7月23日(日)
特典映像:横浜会場のステージツアー、キャスト対談
配信開始:2023年7月28日(金)18時~
※レンタル動画の視聴期間は、48時間。
※配信公演は、定点による全景映像となります。スイッチングはありません。
★横浜公演、京都公演ともチケットは完売のため、京都大千穐楽のライブ配信(スイッチングなし定点映像)、また出演者の対談などの特典映像付きのレンタル動画配信をご視聴ください。
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松田さんの記事が読みたいです。クロード横浜終わってしまい、寂しいです。京都の配信を楽しみにしております。