「空を見たくなって」、『ロボット』朝夏まなと(下) | アイデアニュース

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「空を見たくなって」、『ロボット』朝夏まなと(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2024年11月13日

2024年11月16日(土)から12月1日(日)までシアタートラムで、12月14日(土)と12月15日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、『ロボット』が上演されます。作品の舞台となるロッサム・ユニヴァーサル・ロボット社の社長ドミンの妻にして、人権擁護連盟代表としてロボットの地位の向上を訴えるヘレナを演じる朝夏まなとさんのインタビュー後編です。「下」では、作品のこと、作品に向き合う中で感じられた「ロボット」とは、「人間の醍醐味とは」というお話や、宝塚歌劇団卒業から7年経った今の思いなどについてお話ししてくださった内容を紹介します。

朝夏まなとさん=撮影・岩村美佳
朝夏まなとさん=撮影・岩村美佳

――ノゾエ征爾さんのコメントや作品解説を読むと、「考えさせられるだろうな」「難しいのかな」と感じている方もいらっしゃるかなと思うのですが、この作品の面白さなど、来てくださる方々に伝えておきたい、手がかりみたいなものはありますか?

難しさは一切ないですね。それよりも、コメディ色も強いですし、緩急がすごくあります。稽古場でも爆笑も起きますし、鳥肌も立ちます。観ていると、自分がめちゃくちゃ人間だなと実感できますね。

――「ロボットはそういうことを感じません」というような台詞がたくさんありますね。

ロボットとの共存とか、本当に今の時代よりも先を行っていますが、感じることは多くて。私もお掃除ロボットは使っていますし、助けてもらってすごく便利になっているし! つい先日、テスラが人型ロボットの発表をしていたのを拝見しました。見た目はまだロボットなんですが、動きが人間なんです。車から荷物を降ろしてくれたり、犬に餌をやってくれたり、料理をしてくれたり。なんだかタイムリーだなと思いました。

人間はどんどん便利なほうを追求していくじゃないですか。楽をしたいから。でもそれにより、虐げられたロボットが反乱を起こす。そこをヘレナは人と同じように扱いたい。愛情深い人だから。それゆえになんですが、それが破綻して世界が壊れてしまう。みんなよかれと思ってやっていたことが全部仇になっている。ドミもそうだし、アルキストだけがちゃんと見据えているという。このストーリーの受け取り方って、人によって全然違ってくると思います。

今の時点での私個人の意見では、今の忙しい世の中で、人間が逆にロボットになっているというか、感情が動かなかったり、何を見ても感動しなかったり、もっと淡泊になって、もっと感情を持っているのに使っていないとか。それこそロボットじゃないか、と思います。そうじゃなくて、自分はせっかく人間なんだから、もっといろんなことに一喜一憂する生活を意識的にしなければならなくなっているんだなと。人間の人間らしさ、人間性というものですかね。深いなと思います。

――ピピピッとやったら動いてくれる時代ですものね。

そうなんです。「不毛こそが人間が行きついた最大の美点」ということを、アルキストが言うんです。不毛なものとか、散歩したり、音楽を聴いたり、そういう感性を養う時間、喧嘩したりとか、それこそが人間の醍醐味なんだということを、改めて思いました。日常が変わる気がします。前々から結構好きだったんですが、このお稽古に入ってから、すごく空を見たくなるんです。夕焼けとかを見て、日が暮れるのが早くなったな、秋だなとか感じています(笑)。そういうことをするようになりました。

――インスタの投稿もそういうのが最近多くないですか?

そうかもしれません。

――何かを感じているのだろうなみたいな。

自分に酔ってるなって感じになってないですか? 大丈夫かな(笑)。

――大丈夫です(笑)! 日々の生活というか。

そうですね。生活に向き合おうかなって思っています。

――いい時間ですよね。稽古で大変なこともあるかと思いますが、その隙間に人間であることの喜びを感じる生活って最高ですね。

そう思っています(笑)。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、宝塚歌劇団卒業から7年経った今の思いについてお話ししてくださった内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■「誰だろう」「こんな芝居するんだ」と、常に何か引っかかるような役者でいたい

■宝塚を卒業して5年経って怒涛の日々が落ちついた今は、学んで表現したい時期

■やっていきたいことが一度落ち着いた。また広げて、もっと知ってもらえたらいいなと

■進化を止めてはいけないという意識も強くなった。ありがたい時間を過ごしている

<『ロボット』>
【東京公演】2024年11月16日(土)~2024年12月1日(日) シアタートラム
【兵庫公演】2024年12月14日(土)〜2024年12月15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/stage/15694/

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朝夏まなとさん=撮影・岩村美佳
朝夏まなとさん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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