東日本大震災から4年、被災地の復旧復興はまだまだ道半ば。漁業関係者の多くが廃業に追い込まれたり、漁師復活ができないでいる状況が、テレビや新聞ではなかなか報道されません。被災された人びとは、時間が経つごとに「忘れられていく」不安に襲われています。私たちが出来ること、それは被災地に関心を持ち続けること。とはいえ、忙しい日常の中でつい忘れてしまうときもありますね。なんとかできないかと思ったら、こんなに素敵なリマインダーがありました。常に身に着けていられるブレスレットやペンダント、ピアス、ミサンガやストラップといったアクセサリー類です。
作っているのはひとりの女性。『漁網倶楽部』(https://www.facebook.com/gyomouclub/timeline)というニックネームで、たったひとりコツコツと作品を作り続けています。材料は震災で津波をかぶってしまった漁網と、全国の支援者から送られるパールやビーズなど。発送用の切手や封筒も寄付を受け付けています。
漁網倶楽部さんは、Ameba ブログ http://ameblo.jp/toshima-s/ やFacebookを使ってこう呼びかけています。
「岩手県田野畑村、漁船漁業の応援をしています。仕事の休みの日や空いた時間で漁網アクセサリーなどをつくり、販売協力店さんやイベントなどでの出店で販売。売上は、漁網の糸をくださった漁師さんのいる『田野畑村漁船漁業研究所』へ全額送金。漁具購入費にあてられます。
主にここで使っている漁網の糸は、岩手県で被災をしてしまった漁師さん(佐々木公哉さん:http://blogs.yahoo.co.jp/sasaootako)から津波をかぶってしまったけれど奇跡的に残った漁網の糸を譲っていただいたもの。埼玉県鴻巣市の三谷釣漁具屋さんが寄付してくださった漁網の糸を使わせてもらっており、ビーズや刺繍糸、梱包材など…材料のすべては全国の皆さまからのご寄付によるものを使っています。
売り上げが全額送金できるのは、皆さまのおかげです。皆さまの想いをカタチにできるように、被災した漁師さん方の想いがひとりでも多くの方に伝わりますように…。『漁師さんが復活すれば、漁村が元気になる』と信じ、漁網倶楽部もがんばります。今後ともよろしくお願いいたします。」
筆者は、1991年大噴火を起こしたフィリピン・ピナツボ火山の被災者で山岳先住民族アエタの若者の教育支援をしてきた経験から、東日本大震災の支援は、いろいろな人がそれぞれのやり方で息の長い活動をしていく必要があると強く感じています。たとえ4年たったとしても、復興の道のりはまだまだこれから。「まだ協力が必要なの?もう○○年もたったのに」という心無い声があるとしたら、想像力のなさから来ていると思うのです。家も仕事も何もかも、故郷を丸ごと奪われた人たちの復活には、長い時間と、まわりの理解と協力が必要です。
筆者にできる協力として、たびたび出かけていくフィリピンの名産品で、品質の高さと美しさの割に値段がリーズナブルな淡水パールを寄付することにしました。毎日手元で光るブレスレットは、田野畑村で働いていた網と、フィリピンで愛されている淡水パールが出会ったもの。ピナツボ火山被災者を応援している私にとって、東北とフィリピンが出会ってくれたことは何よりの喜びです。目にするたびに日本の被災地とフィリピンの被災地の両方を思い出すよすがとなっています。
漁網倶楽部さんの漁網ピアスについていた文章です。
「震災で津波をかぶってしまった漁師さんの漁網。本当ならこの漁網で漁をしたい。本当はアクセサリーなどで使うのではなく、漁をするための漁具。3.11の津波でたくさんの大切なものを失い…喪失感しかない中、漁師さんが泥だらけになった漁網を見つけました。そして、ただひたすら泥を洗い流していた漁師さん。そんな大切な漁網だから…捨てるなんてできません。漁師さんの想いをなんとかして伝えたい。なんとかして活かしたい。なんとかしてカタチにしたい。そして助かった命、なんとかして生きてほしい。そんな思いから、私は漁師さんのこの漁網を使わせてもらうことにしたのでした。」
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