バリアフリー2015、レポート3回目は、イベントステージで行われた介助犬のデモンストレーションの様子をお伝えします。
車いすを使っている方や、様々な障がいを持っている方、その関係者の方がたくさん集まるバリアフリー2015ですから、イベントステージ前に集まっている方々の中にも車いすユーザーがたくさんおられて、介助犬の登場を待っていました。介助犬ってどんなことが出来るんだろう。どんなふうに手伝ってくれるんだろう……そんな期待が集まる中、ステージに登場したのが、社会福祉法人「日本介助犬協会」のPR犬のレディちゃんとトレーナーの山口さん、そして広報部の磯貝さんです。
まずは基本知識を教えてもらいました。バリアフリー2015では、イベントステージで「補助犬ふれあい教室」がありますという告知がありました。では、「補助犬」ってどんな犬のことで、現在何頭くらいが活動しているのでしょうか?
補助犬には3種類あります。
1.盲導犬 1010頭
2.聴導犬 61頭
3.介助犬 76頭
3番目の介助犬が、ステージに上がっているレディちゃんというわけです。盲導犬が目の不自由な方の目となって障害物や曲がり角の存在を知らせるように、聴導犬が耳の不自由な方の耳となって様々な音を知らせるように、介助犬とは、手や足に障がいのある方の手足となり、日常生活における動作の補助をする犬なのです。
次に、デモンストレーションの中でまずレディちゃんが見せてくれた基本動作は以下の3つです。
1.ものをくわえて人のところまで持っていく・くわえたまま歩く
2.ものをくわえてひっぱる
3.鼻でものを押す
これらの動作を組み合わせて、介助犬は鍵やおサイフやカードなど落としたものを拾ったり、冷蔵庫のドアをあけてペットボトルの水を運んできたり、色々なドアを開閉したり、緊急時には携帯電話や子機を探して持ってくることができるだそうです。
また、介助犬を使用する方のニーズに合わせて、車いすをひっぱったり、スイッチ操作をしたりすることも出来ます。「衣類を脱ぐときのお手伝いも出来ますよ」ということで、動画にあるような 『靴と靴下を脱がせて靴下をカゴに入れる』 お仕事に挑戦するレディちゃんをみんなで見守り、うまくできたときには会場から大きな拍手がおこりました。
介助犬は、服を着せたり靴を履かせたりということは難しいのですが、脱ぐ方を手伝ってくれるだけでも、家族やほかの人にお願いする回数が半分になるわけです。障がいのある方が、「今、忙しそうだから、もうちょっと後で頼もうかな」と遠慮してしまう気持ちや、今やりたいことや今して欲しいことが言えずにいた精神的な負担を減らすことにつながります。また、「介助犬がしてくれたことは、自分がやったことのように思える」というユーザーの声もあるのだそうです。
常に自分の側で、うれしそうに働いてくれる介助犬は、障がいのある方の毎日をどれほど明るくしてくれることでしょう。そうなんです、レディちゃんは人間が大好き。人のために役立つことが嬉しくてたまらないという気持ちがステージから伝わりました。大好きなご主人から褒められ、笑いかけられるとますますお仕事が好きになる。「助かったよ、ありがとう」と声をかけてもらえることが誇りとなり、いっそう仕事に励む介助犬なのです。
そんな素晴らしい介助犬をはじめとするお仕事中の補助犬を見かけたら、「優しい無視」をしてくださいと教えてもらいました。人間が大好きな犬たちですから、声をかけられたり、撫でられたりすると気が散ってしまい、十分なお仕事が出来ない可能性があります。心の中で「頑張ってね!」と応援しながら、みなさん、どうぞ「優しい無視」をお願いします。
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