俳優の竹中直人さんと生瀬勝久さんによる演劇シリーズ“竹生企画”の舞台『火星の二人』が、2018年4月10日、シアタークリエで開幕しました。東京公演に続いて、大阪、愛知、富山、石川、長野、宮城、岩手、栃木、新潟、香川、広島、鹿児島、長崎、福岡の全国15都府県の16カ所(富山は2カ所)で上演されます。“竹生企画”は、生瀬さんが、憧れの竹中さんに声をかけて2人の企画として立ち上がった演劇シリーズで、2011年に舞台『ヴィラ・グランデ 青山 ~返り討ちの日曜日~』を、2015年に『ブロッケンの妖怪』を上演しており、今作は第3弾です。公演写真とレポートが届きましたので、ご紹介します。
物語は、都内にある大学教授・朝尾(竹中直人)の家のリビングに集う人々のシーンから始まる。朝尾と妻・素美(高橋ひとみ)、大学生の息子・正哉(池岡亮介)、とその恋人?のさやか(上白石萌音)、そしてそこに訪れた、志波(生瀬勝久)という男がいる。
志波は、朝尾に聞きたいことがあるらしい。朝尾は、一年ほど前、遊園地で起きたジェットコースターの事故で、奇跡的に生き延びた乗客の一人。以来、朝尾は事故のことを語りたがらず、自身の内側にばかり向くように人柄も変わってしまった。影響を受けたかのように、俳優をめざしていた正哉もその夢をあきらめてしまい、つき合っていたさやかとも別れたいと言い出し、さやかは理由もつかめず正哉につめよる。
そんな中朝尾に事故の事を聞きたいとやってきた志波。朝尾にとっては、忘れたい過去だが、素美はこれをきっかけに朝尾が変わってくれればと、志波を家に入れる。
何かを抱え込み鬱々としている朝尾の、淡々とした中にある心の揺らぎを鮮やかに演じる竹中直人。竹中の軽さと深みを行き来する魅力が光る。いきなり訪れた部外者で家族の事情に踏み込んでくる志波の、遠慮のなさと憎めなさを、生瀬勝久が巧みに演じる。上白石萌音の透明感のある演技が、恋人の心変わりの理由を理解できずもがきながらも、どこかあっけらかんとしているさやかの人物像を絶妙に見せている。
そして、父親が事故以来自分も夢を捨ててしまった、朝尾の息子、正哉を演じる池岡亮介は、誰にも理解されないであろう悩みを押し込めた鬱屈を滲ませる。今回の公演で池岡は、竹中、生瀬も同席のオーディションで役を勝ち取り、確かな演技でその期待に応えている。そして高橋ひとみは、夫や息子の様子を気遣い一見穏やかに見えるが、突然突飛な言動をする素美を、チャーミングに演じる。
そんな朝尾家に、さらにチンピラ風味の男・楠見(前野朋哉)が現れ、事態は思わぬ様相を呈していく…。
実力派俳優たちによってテンポよく運ばれる、緻密に組まれた倉持裕のセリフが心地よく、少しビターで、シニカルな大人のコメディだ。
<舞台『火星の二人』>
【東京公演】2018年4月10日(火)~4月25日(水) シアタークリエ
【大阪公演】2018年4月28日(土) ~4月30日(月・祝) サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】2018年5月2日(水)・5月3日(木・祝) 刈谷市総合文化センター アイリス
【富山公演】2018年5月5日(土・祝)・5月6日(日)富山県民会館、2018年5月7日(月)クロスランドおやべ
【石川公演】2018年5月10日(木) 本多の森ホール
【長野公演】2018年5月12日(土) サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール
【宮城公演】2018年5月15日(火) 東京エレクトロンホール宮城
【岩手公演】2018年5月17日(木) 北上市文化交流センター さくらホール 大ホール
【栃木公演】2018年5月19日(土) 小山市立文化センター 大ホール
【新潟公演】2018年5月21日(月) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
【香川公演】2018年5月24日(木) レグザムホール(香川県県民ホール)・大ホール
【広島公演】2018年5月26日(土) JMSアステールプラザ大ホール
【鹿児島公演】2018年5月29日(火) 鹿児島市民文化ホール(第1)
【長崎公演】2018年5月31日(木) 長崎ブリックホール 大ホール
【福岡公演】2018年6月2日(土)・6月3日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
公式サイト
https://kaseinofutari.amebaownd.com
全国のスケジュール
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