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「捜索災害救助犬の大切な資質は、人が好きなこと」、相良順子さんに聞く(下)

筆者: 松中みどり 更新日: 2018年10月4日

2018年9月23日、捜索災害救助犬ハンドラー、相良順子さんのお宅を再訪しました。ミモザさん、ヌータウ君の妹にあたる子犬がやってきたからです。相良さんが育てる最後の犬ミスジェロニモちゃん。やんちゃで、元気いっぱいの女の子、捜索災害救助犬として最も大切な資質を持つ犬でもありました。どんな犬なのか。インタビューの(上)と合わせてぜひお読み下さい。

相良さんのところにやってきた2ヵ月の子犬、ミスジェロニモちゃん。やんちゃ盛りで、少し眠くなってきたところ=撮影・松中みどり

相良さんのところにやってきた2ヵ月の子犬、ミスジェロニモちゃん。やんちゃ盛りで、少し眠くなってきたところ=撮影・松中みどり

――ミスジェロニモちゃんは、どんな犬ですか?

今までラブラドールをずっと飼ってきましたけど、こんな好奇心の塊のような子、見たことありません! 利発で、私の行動をじっと見ていて、「ここに何か入れたな」とか「これなんだろう」とか、毎日、毎日闘いです(笑)。

――元気いっぱいってことですね(笑)。

とにかく元気で明るいですね。ハイパーアクティブ。呼ばれたら「はい!」って来るし、誰にでも挨拶出来ます。ものすごくしっかりした顔をしてますでしょう。

――相良さんにとって何匹目の犬でしょうか。

犬としては数えきれないくらい一緒に暮らしてきましたが、ラブラドールとしては6匹目。捜索災害救助犬としては、2008年に認定を受けて活躍し、昨年亡くなったステファン、そしてミモザ、ヌータウ、それからこのミスジェロニモです。

訓練のためにミスジェロニモちゃんを持ち上げる相良順子さん=撮影・松中みどり

訓練のためにミスジェロニモちゃんを持ち上げる相良順子さん=撮影・松中みどり

――犬の訓練をされる人って、男性が多いんでしょうか?

この頃女性も増えてきましたね。ただ私は、10年間、どこにも属さずやってきました。もちろん情報交換や、協力はしているんですよ。でも、グループに入らずに個人でやっていると、風当たりもきつい。私はオーナーハンドラーとして、自分の犬を訓練して活動し、広報活動もしているので、プロの方からすると、異質な感じなんでしょうね。

――グループに属して犬を認定してもらうというと、「家本制度」みたいな感じを想像しました。

そうですね。日本では捜索災害救助犬に関して、はっきりとした基準がなくて、プロもアマチュアもいます。犬でご飯を食べているプロの人の立場も分かるんですけれどね。優秀な犬でも、試験に通るためには、長く訓練に通ってお金を払って、それから認定されていくわけです。

――順子さんのところに、「うちのラブラドール、災害救助犬になれないかな」と相談に来る人もいらっしゃいますか?

あります!私の場合は、「一緒に訓練やりませんか?」と言いますね。私が犬を訓練するときに、一緒にやりましょう、コツも教えますからと。そうすると、「自分でやるのは無理」「時間も気力もない」と言われます。

――すべてお任せしたいという方が多いんですね。

そうなんですね。私はそれは出来ません。一緒に暮らして、愛情をかけて育てている自分の犬だからこそ、やれるんだと思います。今、生後2ヵ月のジェロニモが来ましたから、もうほぼ、どこにも行かずにずっと一緒です。ジェロニモがご飯を食べて、用を足して、落ち着いて寝てから、ミモザとヌータウの散歩に行きます。散歩から帰ってきたらジェロニモが起きますから、今度はジェロニモだけでお散歩に行くんです。

――まだミモザさんやヌータウ君と一緒にお散歩は行けない?

その辺の散歩なら行けますけれど、今はまず社会性を身につけることが大事な時期なんですね。街に出て、老若男女いろんな人に撫でてもらって社会性を身につけていくんです。ジェロは全然怖がらないで、ちゃんとみんなに挨拶できますね。それと音の訓練。家の近くにある高架のところに連れていって、上をガーッと電車が通る音を聞かせます。その時の反応を見るんですね。怖がったり、キャンキャン鳴いたりしないか。ジェロニモは、まったく平気です。動じないですね。

――じゃあ、ミスジェロニモは捜索災害救助犬としての資質はあると。

はい、素晴らしい素質があると思います。怖がりじゃないし、人が好きです。良い救助犬になれるように、一生懸命育てていきたいですね。

――捜索災害救助犬になるのに、最も大切な資質はなんでしょうか。

やはり「人が好き」ということです。人の命を助ける犬ですから。犬たちは、「人を捜さなければ!」なんて思ってないんですよ。ただ人が好きで、その人を捜したら、その人が遊んでくれる、ご褒美をくれると思っているんです。ジェロニモを呼んですぐ来たら、「いい子だね、ちゃんと来たね」と褒めて可愛がる。もう少し大きくなったらおやつをあげる。そうやって、言うことをきいたら褒めてもらえる、おやつをもらえる、遊んでもらえるということを覚えていくんですね。

下の動画は、2018年7月、相良さんが広島市安芸区矢野東に救援に入った時の様子です。(動画提供・相良順子さん)

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、ミスジェロニモちゃんと、ミモザお姉ちゃん、ヌータウお兄ちゃんの写真とともに、捜索災害救助犬の活動が今後どんなふうに広がっていくか、相良順子さんのビジョンなどを掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

ミスジェロニモちゃんが来てからのミモザさんとヌータウ君

捜索災害救助犬の活動を広める~相良順子さんのビジョン~

ミスジェロニモという名前の由来

<捜索災害救助犬応援バザーのお知らせ>
相良順子さんの活動資金となる大切な行事、秋のバザーが開かれます。阪急逆瀬川駅東口から徒歩2分の相良さん宅ガレージでのバザーです。ふるってご参加ください。
◎日時 2018年11月3日(土)朝10時~
◎場所 宝塚市野上1-2-7 (阪急逆瀬川駅東口から高架のトンネルをくぐってすぐ)
◎みなさんから寄付された雑貨、衣料品、食品など掘り出し物がたくさんあります。
捜索災害救助犬の活動が分かるパネルも展示されます。もちろん、ミモザさん、ヌータウくん、ミスジェロニモちゃんに会えます。ぜひ遊びにいらして下さい!

<関連サイト>
阪神救助犬協会
http://hanshin-rescuedog.org/
わんわんパトロール – チーム・ステファン
https://teamstefan.ironmannet.com/03.htm
阪神救助犬協会|捜索災害救助犬育成・わんわんパトロール『チームステファン』
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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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