ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』が、2024年3月7日(木)に開幕しました。3月29日(金)まで東京・日生劇場で、4月4日(木)から4月14日(日)まで大阪・SkyシアターMBSで、4月19日(金)から4月21日(日)まで愛知県芸術劇場 大ホールで、4月26日(金)から4月28日(日)まで福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールで、5月3日(金・祝)から5月4日(土)まで熊本城ホール メインホールで、5月11日(土)から5月12日(日)まで群馬・高崎芸術劇場 大劇場で上演されます。出演されている、浦井健治さん(ケビンT&その他)、加藤和樹さん(ボブ&その他)、田代万里生さん(ケビンJ&その他)のインタビュー後編です。「下」の無料部分では、稽古が佳境に入っているタイミングで感じていること、この作品をご覧になるみなさまにお伝えしたいことなどについて伺った内容を、有料部分では、みなさんそれぞれにとっての、「人と人との出会い」についてお話ししてくださった内容を紹介します。
(※2月末にインタビューしました)
ーーこの作品の座組が決まった当初の作品への印象や思いは、稽古が佳境の今、かなり変わりましたか?
3人:違うよね。
浦井:最初は、このメンツだから、きっと楽しい時間になるだろうし、そういう空気感の中で素晴らしい作品になるんじゃない?という話を、マネージャーなんかと話してましたし、もちろんその通りになってるんですけど、それ以上にこの作品のメッセージに、僕は打ちのめされているというか。作品から得られるダイレクトなメッセージ、エネルギーに勇気づけられていて。もちろんこのメンバーだからということもあります。そして、「万里生くんとカップルになる!」というところも、最初に思っていた雰囲気じゃなくて、すごくヒリヒリしています。
田代:全然違うね。手も繋げない!(笑)。
浦井・加藤:(笑)。
浦井:カップルということを、売りじゃなく、価値観や生き方を認め合い、その上で未来へ繋げていくふたりです。だから、「それがカップルというスタンスであるかどうか」をどうチョイスするかで、二人が成長していくし、それぐらいに、かなり変わっています。漠然とした、「楽しいね」というものではなく、作品に殴られている感じはあります。
田代:最初は、12人それぞれの得意技をみんなが出して、すごいことになる作品なのかなと。打ち上げ花火大会のフィナーレみたいなものが続く100分間なのかなと思っていたら、全く逆でした。どんどんみんな日に日にそぎ落とされていく感じです。でも削ぎ落とされればされるほど、みんなの本質がこの作品にどんどん生かされていっているのが面白いです。
加藤:この話をいただいたときに光栄でしたし、メンツ的にも下から2番目なので、いろんなことを学べる現場になるなと思っていたんです。それは実際に学べています。でも、それはたぶん俺だけじゃなくて、先輩方もきっと学ぶことがすごく多い現場なんだなと。
本当にそれぞれが大変だし、みんなで支え合い、気持ちを一つにしないと出来ない作品だから、このメンバーで心を一つにするというのが、今すごく嬉しいというか。このメンバーの一員で嬉しいけれど、自分もその一部を担っているんだという自覚というか、覚悟みたいなものを、今すごく感じていますね。責任感というか。
田代:毎日合宿してるみたいなんですよ。
加藤:本当に。ようやく自分だけのことじゃなくて、周りも何となく見れるようになってきて、でも助けてはいけないとかいろいろルールがあって。役割が明確に決まっているので、他の人が椅子を動かすのを触っちゃいけないとか。万が一ミスをすることもあるかもしれないですが、そのプレッシャーの中で本番をやり続けるというのは、相当ヒリヒリするなと思います。
ーー今のお話を伺っていると、この作品に出演する今回の時間は、皆さんのキャリアの中でものすごく大きいことになりますよね。
加藤:こんなにいろんな頭を使いながら集中することは、ないかもしれないですね。
田代:この作品は、セリフの分量、歌の分量、配置の番号とか、いろいろな決まりごとの分量が多く、出番の前はとてもドキドキするはずなんです。でも、他の作品の方が役作りとして出番の前に、「次のセリフなんだったっけ?」とそわそわしたり、事前に気持ちを作ってから舞台に出ているなと。なぜかというと、この作品ではそれがやりたくてもできないんですよ。一瞬一瞬でシーンが変わっていきますから。41場面もあるので、事前に役の気持ちを固めてシーンに臨むというより、そのときに感じた感情で、その場所にいる、存在するということを、常に100分間していかないと成り立たないんです。前準備として1回頭に入れたら、あとはただ「存在するだけ」みたいな感じがしています。
浦井:長いシーンでも、2ページないもんね。1ページちょっとしかなくて。
田代:体感としては30秒ぐらいで。1分でもう、次のシーンに行っちゃうみたいな。
ーーきっと脳が疲れちゃいますよね。
加藤:そう、本当に頭が。
田代:汗をかく現場じゃないんですよ(笑)。
加藤:頭がボーッとするというか(笑)。
田代:7時間の稽古で出ていないシーンがないから、単純にほぼ休憩がない。
加藤:基本的にずっと稽古しているから。
浦井:それを数ヶ月も続けてきたんですよね。
加藤:そうですよね。普通は同じ稽古時間の中で、出番がないときに休んだりするけど、今回はそれが一切ないから。
田代:しかも全員ですよ。「先に帰っていいです」ってないもんね。他の作品だったらあるんですよ。「明日は浦井さんお休みで大丈夫です」とか。
加藤:「万里生さんは3時入りで」とか。
田代:今回は、一切ない!
加藤:みんな一勢に、12時入りとか。
ーーその感じが、合宿なんですね。
浦井:いつもは大体1ヶ月くらいですけど、今回は稽古期間が長いんですよ。
田代:歌稽古が、開幕5ヶ月前くらいから始まっていたもんね。
浦井:この1〜2ヶ月は立ち稽古に入ってから、毎日7〜8時間ですよ。すごいことだと思う。
田代:でも、やっているだけの成果は毎日出ている気はする。
加藤:それは感じますね。
田代:日々すごいちゃんと前に進んでる感じがして、超楽しいです。
ーー公演回数を重ねたら、それもすごいことになりそうですね。
田代:全一幕で100分。それが50公演以上あるので、合計5000分以上!?!?
浦井・加藤:すごいね…!!
ーーその中の100分間を共有しに、みなさん劇場にいらっしゃると思いますが、伝えておきたいことはありますか?
加藤:お芝居やミュージカルって、やっぱり初日と千秋楽で違う芝居になるというところがありますが、この作品はたぶん、そうならないので。
浦井・田代:うんうん。
加藤:というか、そうなってはいけない作品なんですよ。いつ観に来ていただいても、我々は同じクオリティで届けなければいけないんです。団結力はずっと上がっていくでしょうし、動きは洗練されていくとは思いますが。そこが普通の作品とはちょっと違うところなので、プレッシャーももちろんありますが、常に我々は万全の状態で皆さんをお迎えしたいなと思います。
田代:単純に、「見逃したら勿体ないよ」って思うかな。
加藤:マジで。
田代:もちろん、出演メンバーもですが、やっぱり似たような作品はないと思うんです。サクッと一幕で観れるし、ある意味前知識がなくても。9.11は、僕は高校生ぐらいだったと思うんですが、お客さまのほとんどがリアルタイムに体感していらっしゃるので、歴史物ではなく、現在進行形の物語になりますし、このメンバーでまた観られるかはわからないですし。
加藤:まぁ、なかなかないですよね。
田代:観終わった後に、みんながどういう感想を抱くのかもすごく興味があるな。
加藤:確かに。
浦井:メッセージが強い作品ですし、ぜひご覧になった後で、みんなで語り合っていただきたいですね。この作品は物事や物語から得る印象が、本当にずっと永遠に心に残ると思うんです。ハードルを超えて届くメッセージは普遍的なものだから、みんなが目指すべきものだろうなって。描かれているのは、「人間の助け合い」だと思うんです。
それと、英語圏ネタを日本語に直しているので、日本で過ごす我々が、「アメリカでは常識的なもの」をそのまま受け入れることになるから、お客さまには、それを超えてもらいたいなと思っています。
ーーブロードウェイの映像を拝見すると、観客がずっと笑っていますけど、字幕だけ読んでいても、どこで笑うのかがわらかないんです。
田代:原文を読んでもわからないんですよ。「なんでそこで笑うんだろう?」って。でも、現地の人たちは、もう本能で笑ってるわけじゃないですか。
浦井:現地の人にとっては当たり前のそういうことが起こっているっていうことなんでしょうね。
田代:だから、ブロードウェイのお客さんとはたぶん違う見方を、日本のお客さんはすると思うけれど、間違いなく最後は元気になって帰ると思います。
浦井・加藤:うんうん。
田代:9.11の話だから、重たい話で帰るのかなと思うけど、きっと終演後に劇場を出た時には全然違う感覚なんじゃないかな。
浦井:ガンダーの人たちがいかにあったかくてとか。
田代:すごく気持ちのいい心になるというか。
加藤:あったかいですよね。
浦井:人を助けるのは当たり前のことじゃんっていう人たちの物語。
ーーみなさんの取材をこれまでにもたくさんさせていただいていますが、稽古が佳境な中での取材ということもあるかもしれませんが、言葉に想いがいつも以上に乗っているなと感じております。
加藤:それだけにそれぞれがこの作品にすごく入り込んでるということでもあると思いますし、大変だということです。
田代:確かに開幕直前のこのタイミングでの取材って、あんまりないよね。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、みなさんそれぞれにとっての、「人と人との出会い」についてお話ししてくださった内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■加藤:今のマネージャーに出会わなければ、「加藤和樹」という存在はなかった
■田代:共演者の影響がすごく大きい。今回も濃いエッセンスをいただいている
■浦井:プロデューサーや演出家のみなさんは、未来に託した取り組みをされている
■田代:お客さまが舞台上にいてもわからないかも 加藤:ポツンといても違和感ない
<ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』>
【東京公演】2024年3月7日(木)~3月29日(金) 日生劇場
【大阪公演】2024年4月4日(木)~4月14日(日) SkyシアターMBS
【愛知公演】2024年4月19日(金)~4月21日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
【福岡公演】2024年4月26日(金)~4月28日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【熊本公演】2024年5月3日(金・祝)~5月4日(土) 熊本城ホール メインホール
【群馬公演】2024年5月11日(土)~5月12日(日) 高崎芸術劇場 大劇場
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/comefromaway2024/
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インタビュー、素敵なお写真ありがどうございます。上下編成でとても読み応えがありました。
東京、名古屋と見に行きました。私は当時産まれていなかったのであくまで歴史上の話で教科書で見たことがあるな〜程度の知識しかなかったのですが、100分で移り変わっていくシーン、登場人物、1回だけでは目が足りず2回目からは演じ分けも分かり何度でも見たい作品でした。
自分も同じ立場になった時同じ行動ができるだろうかと考えてしまい、感想の共有もそうですがもっとこの時のことを知りたい…!と思い、観劇が終わっても調べる日々です。歌の持つ力や助け合いの心をヒシヒシと感じました。