2024年11月16日(土)から12月1日(日)までシアタートラムで、12月14日(土)と12月15日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、『ロボット』が上演されます。本作の原作となった戯曲『ロボット』は、およそ100年前の1920年に、チェコの国民的作家・劇作家であるカレル・チャペックによって発表されました。チャペックは「労働」を意味するチェコ語「robota (ロボタ)」から、「ロボット」という言葉を新たに生み出したと言われています。戯曲の発表から約100年経った今、このチャペックの代表作を演出するのは、ノゾエ征爾さんです。ロボットと人間の共存が始まりつつある2024年に生きる人々に向けて、シニカルかつ不条理なドラマとして転換し、現代の物語として届けられます。
作品の舞台となるロッサム・ユニヴァーサル・ロボット社の社長ドミンを演じるのは渡辺いっけいさん、ドミン社長の妻にして人権擁護連盟代表としてロボットの地位の向上を訴えるヘレナを演じるのは、朝夏まなとさんです。ロボットの反乱後、ただ一人のこされる人間であるロボット研究者アルキストを演じるのは、水田航生さんです。アイデアニュースでは、水田さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。
「上」では、稽古の様子、台本との向き合い方、アルキスト役のこと、役へのアプローチ方法などについてお話してくださった内容を紹介します。「下」では、ノゾエさんとのお話の中で新たな発見やヒントとなった視点のこと、稽古場でのコミュニケーション、作品のこと、作品に向き合いながら考えていらっしゃることなどについてお話ししてくださった内容を紹介します。
ーー稽古はいかがですか?
まだ、いろいろと考えているところです。台本を常に枕元に置いて、開いては読んで…
ーー枕元ですか!?
はい。枕元に置いて、お風呂に入りながらも読んで…と、常に台本を持ちながら家の中にいるみたいな。
ーーきっと台本、もうヨレヨレですね。
台本はiPadにも入れているんです(笑)。稽古場は、とてもクリエイティブな場になっています。ノゾエさんが「こういうふうにして」とあまり決めすぎず、役者が持ち寄って色々と試してみると、すごく吸い上げてくださっているんです。
ーーそうなんですね。
それを経て、最終的にはノゾエさんがジャッジをして、「もうちょっとこうしてしてみよう」と。そういう稽古場なんです。なので、やりがいがありますね。自分から湧き出るものを、今すごく絞り出している感じです。戯曲自体は設定も読んだらわかりやすいですし、難解な言葉が出てくるというわけでもないのですが、その奥に秘められているものや関係性などを考えますね。自分の役は、周囲に溶け込みすぎてもいけないし、客観視しすぎてもいけないというところもあって。若干、異質な立ち位置の役なので、質の違いをちょっと出しつつ、でも疎外され過ぎてもその場に参加していないように見えてしまって、ちょっと居づらかったりするんです。その塩梅をミリ単位で考えなければならないと思っています。
ーーミリ単位ですか?!
はい。そこをやらないといけないなと。自分自身の中でも、立っていてしっくりくる時とそうではない時が徐々に出てきたので、ちょっとずつ狭めていけたらいいなと思っています。まだ立ち稽古が始まったばかりなので、トライアンドエラーを繰り返している段階です。
ーーちなみにさっきおっしゃっていた、「台本は枕元に置いて、お風呂でも読む」というのはいつもなんですか?
今回、家では読むというか、曲をずっと流して歌っているみたいな感じなんです。この作品は、本当に細かく台本を読み解きながら細分化して、「ここでは、こうやって」とある程度自分で考えないと、どこか一辺倒になってしまうんです。言葉だけでも、一色だけではなく、何か自分の心の揺れや移り変わりみたいなものが、ジェットコースターのように行ったり来たりします。
この混乱してる感じが表現として出てくるためには、まずは台本の「ここでこうなるから、こうなる」というところをきちんと読み解く必要がありますし、そこの気づきは日々変わっていくんです。パターンもいろいろあって、「こう読んでいたけれど、今はこう読めるな」とか。稽古時には気づかなかったけれど、家に帰ってきたら「そういうことか!」という気づきが、台本を何回読んでもあります。
そうやって回数を重ね、ひらめきを自分の中で何度も生み出して引き出しを増やすために、基本、常に考え続けています。移動中もずっと考えていたりしますね。考えすぎて嫌になったときは違うことを考えるんですけど、結局、違うことを考えながらも、やっぱりずっと気になっていたりして(笑)。
ーーそういう状態は、作品が終わるまでずっと続くんですか?
そうですね。今までもそうしていましたし、多分、今回の本番中も同じことをすると思います。
ーーそれは、今回のようなストレートプレイの作品だからこそですか?
ストレートプレイに限らずですかね。ミュージカルでも、お芝居のところも毎回読み込みますし、歌詞も「もうちょっとこう表現した方がいいかな」ということはありますから、その日の稽古が終わったらもう、台本は閉じておくということはないですね。
ーー手がかりは、台本にしかないというところもありますか?
はい。これまでにご一緒した、本当に尊敬している演出家のみなさんも「台本にしか、答えはないから」とおっしゃっていました。「とにかく、本を読むように」と言われてきましたね。もちろん、ただ文字を読むだけではなくて、行間を読むんです。書かれていない「行間」に、何が書いてあるのかを、どこまで追求できるかだと教えられてきました。今回も台本をそうやって読んでいくと、行間の隙間がどんどん開いて。「ここには、こういうことがあるんだな!」と気づくんですよ。
それを踏まえて、次の段階として、またその気づきをどう表現していくかを考えるんですが、そこが本当に難しいんですよね。「こういうことだ」とわかっていても、そういう表現にならないと意味がないですから。表現しすぎても、それもまた何か違う…となるので、表現する段階になると、そこはそこでまた悩むんですけど。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、アルキスト役のこと、役へのアプローチ方法などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。〓日掲載予定のインタビュー「下」では、ノゾエさんとのお話の中で新たな発見やヒントとなった視点のこと、稽古場でのコミュニケーション、作品のこと、作品に向き合いながら考えていらっしゃることなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■序盤は、ずっと目撃者のような佇まい。目の前で起きていることを受け取っていく
■アルキストは「2ミリぐらい浮いている宇宙人的な人」ではなく、一番人情味や人間味がある
■年長者の中で、「発言はしなくても思っていることはすごくある若者」の感覚で向き合う
■すごく現実的な感覚を持っている役なので、お客さまの代弁者なのかもしれない
<『ロボット』>
【東京公演】2024年11月16日(土)~2024年12月1日(日) シアタートラム
【兵庫公演】2024年12月14日(土)〜2024年12月15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/stage/15694/
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先入観なく観劇したかったので初日の後にインタビューを読みました。
初日を観劇して感じたことがインタビューに書かれていて、さらに作品に対する理解が深まったように思います。
さらにこのインタビューを読んだ後で観劇すると、水田さん演じるアルキストを違った目線で観ることができました。
素敵なインタビューとお写真、ありがとうございました!