ミュージカル『ボニー&クライド』が、2025年3月10日(月)から4月17日(木)まで東京・シアタークリエで、4月25日(金)から4月30日(水)まで大阪・森ノ宮ピロティホールで、5月4日(日)と5月5日(月・祝)に福岡・博多座で、5月10日(土)と5月11日(日)に愛知・東海市芸術劇場大ホールで上演されます。
“アンチ・ヒーロー”の傑作「俺たちに明日はない」で描かれた鬱屈とした時代、犯罪に手を染め刹那を生きた二人の若者の輝きを、ワイルドホーンの珠玉の音楽で彩るミュージカルです。1930年代、世界恐慌下のアメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返した実在の人物、クライド・バロウとボニー・パーカー。社会からはみ出した彼らの無軌道な生き様は、後のハリウッド映画に多大な影響を与えたアメリカン・ニューシネマの第1号として、今も語り継がれる名作『Bonnie and Clyde』(邦題「俺たちに明日はない」)で描かれ、日本でも一躍有名となりました。この伝説のギャングカップルを題材に、『ジキル&ハイド』『笑う男The EternalLove -永遠の愛-』『デスノートTHE MUSICAL』などを手掛けた作曲家、フランク・ワイルドホーンが、ジャジーなサウンドとポップなリズムで新たに創造したミュージカル『ボニー&クライド』は、2011年12月のブロードウェイでの上演を経て2012年には日本で初演され、心揺さぶる楽曲と物語は大好評を博しました。その後、ブラッシュアップされ2022年ロンドン・ウェストエンドで再演、2023年には日本で宝塚歌劇団雪組にて上演され話題となりました。刹那的な生き方をドラマティックな音楽に乗せて描く愛と疾走の冒険譚が、このたび瀬戸山美咲さんの新演出版で上演されます。
アイデアニュースでは、クライド・バロウ役をダブルキャストで演じる柿澤勇人さんと矢崎広さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。「上」「下」それぞれの無料部分では合同取材の内容を、有料部分ではアイデアニュース独自取材の内容を紹介します。
「上」の無料部分では、作品への出演が決まっての思い、作品やクライドへの印象、最近の仕事で得た刺激についてのお話など、合同取材の前半を紹介します。有料部分では、舞台上に「居る」ということなど、「芝居」についての思いを伺ったアイデアニュース独自取材の前半の内容を紹介します。「下」の無料部分では、ワイルドホーンさんとの関わりについて、ボニー役のこと、バック役の小西遼生さんについてお話ししてくださった内容など、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、お二人の芝居についての思いについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。

(合同取材:前編)
――この作品に出演することが決まって、今の思いをお聞かせください。
矢崎:僕は、チャレンジャーな気持ちです。というのは、シアタークリエでの主演が初めてで、チャレンジャーな気持ちもありつつ、ついにここまで来たなという思いもあるので、その気持ちに負けずにこの『ボニー&クライド』という作品を楽しんでいけたらいいなと思っています。頑張ります。
柿澤:ワイルドホーンさんの曲って、すごく疲れるんですよ(笑)。キーも高いし、叫ぶし、1曲1曲がとてもハイカロリーで、1曲でも大変なのに、作中に何曲もある。それが本当に怖いなというのと、早く稽古やレッスンを始めないと体がついていかないかもしれないなという怖さもあります。キャッチ―でパワフルな曲が多いので頑張りたいですね。個人的にはシアタークリエは以前、大きな怪我をしてしまった苦い思い出があるので、今回でいい思い出に塗り替えたいですね。
――作品の印象を伺いたいです。実際に起きた事件を元にした作品に2025年に取り組まれるにあたって、どのような思いですか?
矢崎:クライドとボニーという実在する人たちの物語がある中で、このミュージカルは、「どうして、そうなってしまったか」というところに焦点を当てています。時代背景などを勉強しつつ表現していきたいですが、ミュージカル自体はカッキー(柿澤さん)が言ったように本当にキャッチ―な曲も多いですし、明るく楽しんでいただきたいナンバーもたくさんあるので、その辺のバランスをどう取っていこうかなと思っています。
ボニーとクライドが出会ってどうなっていくのか。クライドは刑務所に入ったり、またボニーにもいろいろあって、時代に揉まれた彼らが互いを唯一の理解者だと思った気持ちが恋なのか愛なのか、それ以上のものなのか、みたいなところを表現していけたらいいなと思っています。
柿澤:刑務所って、映画では描かれていたっけ?
矢崎:映画の「俺たちに明日はない」の中にはあまり出てこない。舞台だと史実にもなるんだけど、刑務所でクライドはいやな思いをしていて、その復讐が最終的な目的なので。
柿澤:映画をそのままミュージカル化したわけではないもんね。
矢崎:映画を元に、またちょっと史実を入れて。
柿澤:映画の印象はいきなり出会って、キスしまくって、「強盗しよう!」みたいな感じ(笑)。
(一同笑い)
柿澤:で、強盗しまくって、最後ぶっ放して終わる、みたいな。
矢崎:でも舞台はどちらかというと、ちゃんと出会いがあって、出会うんだけど片一方が刑務所に入ってしまって、刑務所での出来事がクライドとしては大事で、そこで大ナンバーがやってきます。しかもこの大ナンバーを、割と何回も歌います(笑)。
柿澤:映画ではなぜそうなったかというのはあまり描かれていないですし、すごく動物的というか、あの当時すごくセンセーショナルな映画だったんだろうなという男女のエネルギーみたいなものが印象深かったので、これがミュージカルではどうなるんだろうとすごく楽しみです。
――先ほど動物的、復讐というワードが出ましたが、現段階でおふたりはクライドという役柄をどう思っていらっしゃるか、今の段階で大切にしたいと思っていらっしゃることがあれば、併せてお聞かせください。
矢崎:1930年代の世界恐慌の中、「世界中がやばい」という時代に、特にアメリカの南部でみんな一斉に職を失っているという環境に生まれたクライドは、テント生活をして、兄弟も7人兄弟の5番目とかなんですが、ろくに教育も受けていなくてというキャラクターで、学校にもちゃんと行っていない。今で言うめちゃくちゃ不良、アウトローだと思います。
海軍に入るという夢があったのに、その夢もだめになってしまうんですね。そういう生活をしていたからだと思うんですが、健康診断で引っかかってしまって。そこからさらに悪い方向に拍車がかかって、ちゃんと生きようとしていたのに、世の中のいろんな流れのせいで、そっちにも行けなかった。本当に世の中への不満が溜まっている。「なんで俺はこんな運命なんだ、なんで国はこうなっているんだ」と思っているんです。ただのならず者ではなく、「不満がすごく芽生え、イライラする」みたいな何かを持っているような男じゃないのかなと。
「今、何に怒っているのか」というところを見つめていきたいです。ちょっと質問とずれてしまったかもしれませんが、男としてはそういうクライドの感じも分からないではないという感じなので。犯罪にも手を染めていきますが、彼の行動をひとつずつ理解して向き合っていきたいです。
柿澤:僕は今、矢崎くんとのこの対談を通してすごく勉強させていただいている感じです。ありがとう(笑)。
――映画で見た印象はいかがでしたか?
矢崎:めちゃくちゃカッキーで想像できる役ですよ。
柿澤:僕が犯罪系というか、やっぱり悪人顔なんでしょうか…(笑)。
ーーワイルドホーンさんに「クライド」と呼ばれていたんですよね?
矢崎:それがすべてな気がします(笑)。
柿澤:映画の印象はすごく男らしいというか、セクシーだし、ちょっとワイルド。決して犯罪が好きというわけじゃなくて、大きな何か抱えているものがあって。一方で茶目っ気というか可愛らしいというか、人を惹きつけるような魅力もあって。「男の憧れ」じゃないですけど、こんな人になってみたいなという印象が強いですね。それを狙おうとは思っていませんが、本当にひとつひとつと丁寧に向き合っていくしかないなと思っています。犯罪者一色にはなりたくないと思いますね。
――柿澤さんは『ハムレット』、矢崎さんは『ハリー・ポッターと呪いの子』と、ちょうどストレートプレイが続いていて、久しぶりのミュージカルになると思うのですが、最近のお仕事で得た気づきや刺激で、この作品に生かせそうなものはありますか?
柿澤:去年の冬、ヤン・ジュンモさんが日本でワークショップをやってくださったんです。矢崎くんも一緒でしたが、何かを得ようとしていて、少しでもステップアップしたいとか、うまくなりたいとか、そういった向上心があるからワークショップを受けるわけです。
映画でもご一緒したことがあって、ほとんど絡みはありませんでしたが、現場はずっと一緒で、僕と同じ匂いがするというか…。やっぱり芝居がしたい、表現が好きなんだと感じるので、彼がいろんなジャンルのお仕事をしているということに刺激を受けますし、今回一緒なのはすごく嬉しい。色々な面で勉強になるだろうなと思います。考え方、仕事への向き合い方の根本が一緒なのかなと感じています。
ミュージカルは歌の技術が必要ですが、実は「なぜこの場面で歌うのか」というところが一番大事なところだと思います。そこは『ハリー・ポッター』にも『ハムレット』にも、つながるんじゃないかと。
矢崎:意図せず褒められてしまいました。ありがとうございます。本当に僕こそ、仕事を選んだりする時に、「これはカッキーだったらどうするかな」と考えるのに参考にさせてもらっている俳優さんです。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、舞台上に「居る」ということなど、「芝居」についての思いを伺った内容など、アイデアニュース独自取材前半の全文と写真を掲載しています。〓日掲載予定のインタビュー「下」の無料部分では、ワイルドホーンさんとの関わりについて、ボニー役のこと、バック役の小西遼生さんについてお話ししてくださった内容など、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、お二人の芝居についての思いについて伺った内容やお客さまへのメッセージなどアイデアニュース独自取材後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■柿澤:会うたびに「クラウドやって!」と 矢崎:チャンスをいただいた
■矢崎:切ない気持ちをロックに乗せたり…さすがワイルドホーンさん
■柿澤:「ただ言葉だけ語る」みたいな状態で、何もせずそこに居る、存在する
■柿澤:いやぁ…… 矢崎:(はにかんで)ふふふ
<ミュージカル『ボニー&クライド』>
【東京公演】2025年3月10日(月)〜4月17日(木) シアタークリエ
【大阪公演】2025年4月25日(金)〜4月30日(水) 森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】2025年5月4日(日)〜5月5日(月・祝) 博多座
【愛知公演】2025年5月10日(土)〜5月11日(日) 東海市芸術劇場大ホール
公式サイト
https://www.tohostage.com/bonnie_and_clyde/
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岩村さんの記事と写真が大好きなので掲載がとても嬉しいです
お聞きしたかった事、素敵な写真をありがとうございます
矢崎さんがどういうチョイスをしてクライドを作り上げるのかとても楽しみです