「新作のような勢いや躍動感が」、『ピーター・パン』小野田龍之介(下) | アイデアニュース

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「新作のような勢いや躍動感が」、『ピーター・パン』小野田龍之介(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2023年7月20日

2023年7月25日(火)から8月2日(水)まで東京国際フォーラム ホールCで上演され、その後名古屋・大阪・埼玉・長野(上田)・新潟・高松で上演されるブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』に、フック船長役で出演する小野田龍之介さんのインタビュー後編です。

「下」では、ダーリング氏を演じながら感じていること、2023年の『ファインディング・ネバーランド』からの『ピーター・パン』という上演の流れは貴重だというお話、ピーター・パンについて思うこと、ホリプロに所属してからの1年間の変化、お互いの表情を見ながら稽古や仕事ができることへの喜びなどについて伺った内容とお客様へのメッセージを紹介します。

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳
小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

(※このインタビューは6月に実施しました)

――今回、ダーリング氏も演じられますが、いかがですか?

スタッフとも話していたんですけど、ダーリングにはウェンディとジョンとマイケルと3人子どもがいて、奥様がいて、「3人の子供がいる父親の役をやる歳か……」って、まずそこですよね。今までは、知らないところで子どもができていたり、自分の子どもだと思って育てていたら違う人の子どもだとか、そういった苦節何年の夫は演じてきましたけど、ちゃんと「家族」みたいな形で芝居するのは初めてだなと思って、すごく新鮮です。

でも今回も結局、家族を顧みず、それこそ時間に追われていて。フックの存在となるお父さんですから、癖のある父親役をまたやっているなと思っています。ぴりぴりしていて、怒っている口調のセリフが多いんです。でもずっと怒ってばっかりいると、本当に家族を顧みなさすぎる人に見えてしまい、お客さまの共感をあまり得られないかなとか、後半は子どもが帰ってこないことにものすごく不安と恐怖をおぼえていて、やはり子どもをうまく育てられない人なんだなとか、仕事がうまくいっていないとか……。そういういろんな種類のぴりぴり感と、家族に八つ当たりしてしまった不甲斐ない自分という温度感について、台本を読んだり演じながら考えていると、父親って大変だなぁと思います。

子役たちがぎゃーぎゃーしてくれているので、「うるさい」とは心から思えるんですが(笑)、彼らが部屋から出ていった瞬間の静けさに、ちょっと寂しくなったりするんですよね。そういう子どもの無邪気さを受け止めていきたいと思っています。僕は結婚もしていないし子どももいないし、実感としては分からないですが、本当にひとつの家庭を持たされているような感覚でいます。

――新たな経験ですね。

結婚とか、もういいやと思いました(笑)。全然違う話なのですが、ダーリングを『レベッカ』のダンヴァースと言ってしまうんですよね。ダーリングが本当に出てこなくて。あと、ジョンのことをジェーンと言いそうになります。

――名前はややこしいですよね。ジョンとマイケルとピーターと、どの作品だと誰がどうで、次男と長男はどうだっけ? みたいな。

ほんとそうなんです!マイケルってお兄ちゃんっぽいじゃん、とか思ってしまう。

――それを私たちは『メリー・ポピンズ』で植え付けられているから、みたいな。

そうですよね!?「マイケル」と言ってちっちゃい子が出てくると「違うよ!?」と一瞬思ってしまい、「あっているんだ!」っと、結構本気でびくっとしてしまいます。逆にジョンが出てきた時に、マイケルと言いそうになったり。そういうところを通して、子育ての大変さを痛感しております(笑)。

――面白いですね(笑)。この間、『ファインディング・ネバーランド』で濱田めぐみさんのインタビューをした時も、濱田さんの脳の中でも『メリー・ポピンズ』と『オリバー!』と『ファインディング・ネバーランド』は、セットというようなお話をされていました。

よく『メリー・ポピンズ』で一緒だった笹本玲奈とも話すんですけど、「私はロンドンのプロだから」と言っていて。俺もいよいよロンドンのプロになってきたなと思っています。ホリプロのタレントはみんな、ロンドンのプロになりがちです(笑)。

――(笑)。今年は『ファインディング・ネバーランド』からの『ピーター・パン』という流れに、ホリプロさんすごい!と思いました。

本当に、ホリプロよくやったなと思いますし、やっぱりミュージカル業界においても、世界を見ても、こうやってうまい流れで上演できるって、なかなかないじゃないですか。このタイミングで『ピーター・パン』に関われたことはすごく嬉しいですし、本当だったら『ファインディング・ネバーランド』もやりたかったなと思います。『ファインディング・ネバーランド』に出て、そのまま『ピーター・パン』に出ていたら、本当にいいじゃないですか。

僕、『ファインディング・ネバーランド』が、本当に大好きなんです。日本版は1回しか観られなかったですし、海外版とは演出が全然違いますが、どんな演出でもこの作品は泣けるし、音楽の力をすごく感じたんです。音楽とバリの生き様みたいなものが伝わってきて、言葉や演出は関係なく感動できる作品はすごいなと思いました。

――今年は『ピーター・パン』の導入を観ただけで泣きそうです。『ファインディング・ネバーランド』を思い出して。

そうですよね? まず「お母さん死んじゃった」というところからピーター・パンがいるじゃないですか。「あっ……」みたいな。この上演の並びって、もう今後あるかどうか分からない出来事ですから。

――春に『ファインディング・ネバーランド』を上演しないと、できないですもんね。

『ピーター・パン』が終わって、この作品ができたのはこうだったねという逆パターンもあるかもしれませんが、いずれにせよ連続上演はなかなか珍しいですし、貴重です。しかも今回の『ピーター・パン』は、本当にすべてがリニューアルされていますので、「ピーター・パンイヤー」としてピースがぱちっとはまる瞬間に立ち会えることも、僕自身にとって、また財産だと思います。

お客さまも『ファインディング・ネバーランド』をご覧になった方は全員『ピーター・パン』を観に来ていただきたいです。また感動が変わるかもしれませんし、『ファインディング・ネバーランド』のことを改めて考えられて面白いですしね。

――『ファインディング・ネバーランド』を記憶した状態で『ピーター・パン』を観ると、今までとまた違う気持ちになりそうです。

フック船長って、ただの悪役かと思ってましたけど、『ファインディング・ネバーランド』のバリの世界では、バリの心のフックという存在として出てくるじゃないですか。初めてあれをミュージカルで観た時は、感動しました。心のフックねぇ…と。時間に追われたり、強くなれと言われて、悪役だったはずのフックがすごく善人というか。この間もそれこそフックが悪役なのかピーターが悪役なのかを考えました。価値観や視線を変えれば、ピーターのほうが悪役なんですよね。子どもたちを子どものままにさせようとしたり。

――自然の理から外れる方向ですものね。

そうそう。自分は死というものに抗って、どんな手を使ってでも子どもでいようとしたりするのがピーター・パンです。でも永遠に子供でいるのはピーター・パンだけだと思うんですよね。ロストボーイズやモリビトは、大人になっていくわけです。でも、ピーター・パンは、大人になった人間を排除するじゃないですか。

――ひとりネバーランドに残りますね。

そこは見方を変えると、永遠の可能性がある作品だなと思います。日本で言うと、竜宮城みたいなものじゃないかなとか。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、ホリプロに所属してからの1年間の変化、お互いの表情を見ながら稽古や仕事ができることへの喜びなどについて伺った内容やお客様へのメッセージなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■ホリプロに所属してから、間もなくして決まったミュージカル『ピーター・パン』

■人と交流を図りながら、表情を見ながらお稽古や仕事ができているありがたみと喜び

■名作に1作でも多く携わって、良質なもので自分を維持できる俳優でいられるように

■2023年ならではの『ファインディング・ネバーランド』から続く『ピーター・パン』

<青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』>
【東京公演】2023年7月25日(火)~8月2日(水) 東京国際フォーラム ホールC
【名古屋公演】2023年8月5日(土)~8月6日(日) 御園座
【大阪公演】2023年8月12日(土) 梅田芸術劇場メインホール
【埼玉公演】2023年8月16日(水) ウェスタ川越 大ホール
【長野公演(上田)】2023年8月19日(土)・20日(日) サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール
【新潟公演】2023年8月26日(土)・8月27日(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
【高松公演】2023年9月2日(土)・9月3日(日) レクザムホール(香川県県民ホール)大ホール
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/peterpan2023/

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小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳
小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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