2024年3月12日(火)から3月31日(日)まで東京・東急シアターオーブで、4月5日(金)から4月10日(水)まで大阪・オリックス劇場で上演されるミュージカル『20世紀号に乗って』で、ヒロインのリリー・ガーランド役を演じる珠城りょうさんのインタビュー後編です。「下」の無料部分では、クリス・ベイリーさんとベス・クランドールさん(演出補・共同振付)の振付のこと、今回、作中で歌う曲の難しさや歌う中で大切にされているポイント、初のヒロインというポジションを務められることについて、カンパニーの雰囲気のことなどについて伺った内容を紹介します。有料部分では、『天翔ける風に』で変化を感じた理由、珠城さんが大切にされていることなどについてのお話と、作品を楽しみにされている方々へのメッセージを紹介します。
ーー過去の作品に登場するリリー像の中で「ここは参考になる」というところや、「ここは自分のオリジナル」と思っていらっしゃるところなどはありますか?
ミュージカル作品の元になったモノクロ映画は拝見したのですが、リリーとオスカーの印象がかなり強烈で。「最後なぜ、元に戻れたの?!」というくらい、結構ひどいんですよ。ミュージカルでは、ロマンティックなところが強くなっているので、映画とは違うエッセンスを加えられるかなと思っています。
今の段階での印象ですが、増田さんは、とてもユーモアがあって優しい方なので、オスカーが偉そうで傲慢というだけの人ではなくなっているんですよね。オスカーもリリーも、「しょうがないな」と思えるような、人としての魅力やチャーミングさがあると思うんです。自分なりに、しっかり表現していきたいと思いますし、そういう共感できるようなオスカーとリリーのやりとりを表現できたらいいかなと思っています。
ーークリスさんは振付もされるかと思いますが、いかがですか?
クリスさんが振付してくださって、ベス(・クランドール)さんが振りを踊ってくださったりしていて、見ながらすごくわくわくしています。「こういう構成になるんだ、面白い」と思うシーンがたくさんありますし、振りのニュアンスがやはり、ブロードウェイシアターというか、日本とは違っているんですよね。リズムの取り方といいますか、ビートの感じ方、グルーヴ感に、自分にはないものを感じますし、身体の使い方や音の取り方が素晴らしいんです。
私が今回出るシーンだと、『ヴェロニク(Veronique)』と『バベット(Babette)』の2曲が大ナンバーになっていて、アンサンブルの方が全員出てくださるんです。増田さんのオスカーありきの、日本オリジナルとしてクリスさんが作ってくださっているシーンなので、ブロードウェイバージョンとは全然違う、とても面白い構成に仕上がっています。お客様に楽しんでいただけると思います。
――そのシーンで踊っていて、いかがですか?
ストーリー性のあるシーンでとても面白いです。クリスさんからも今回は踊るリリーだからと言われています。ダンスを踊る曲は久しぶりだったこともあり、とても楽しかったです。息は上がって大変でしたが。
――「挑戦」ともおっしゃっていましたが、歌について難しさを感じているところや、こういうところを大事にしたいということがありましたらお聞かせください。
今回初めて、ヒロインという立ち位置で舞台に出させていただくので、今まで使っていた音域よりも高くなるんです。発声練習ではその音域を使ったことがあっても、実際に歌う際に使ったことは一切なかったので、そこが大改造という感じです。ずっとボイストレーニングに通って準備はしていましたが、やはり実際に歌ってみるとすごく難しいんですよ。
本当に「寝ても覚めても」というくらい、朝起きたら、音取りして歌ってみて、お稽古に行って、帰ってから復習して、お風呂に入りながらも歌って、寝る前に布団に入っても頭の中でメロディーが…というくらいでした。それぐらいずっと楽曲のことを考えていましたが、いろいろな方に教えていただいても、「こうなるとこの音は出ない、こうするとうまくいく」ということを自分自身が理解できていない段階では表現できないんですよね。でも、歌唱指導の満田さんがずっと根気強く向き合ってくださったので本当に感謝しています。
ですから、とにかく、教えてくださるみなさんがおっしゃっていることが「どういうことなのか」を自分の中に落とし込むために時間をとても使ったように思います。その成果が今、ちょっとずつ出てきています。「私、こんな声が出るんだ」「こういう表現方法があるんだ」ということにたくさん気づけているんです。今回の挑戦がなかったら、たぶん出会わなかったことだと思いますので、本当に良かったと思いますし、もっと頑張りたいです。
ーー昨年の『天翔ける風に』に続いてのミュージカルということで、作品の雰囲気もがらっと変わりますが、今回は初めてヒロインというポジションで挑まれるにあたって、座組みでの居方や変化など、心掛けていらっしゃることはありますか?
人に対して使い分けてはいないので変化はありませんが、主演の方がいらして、自分が相手役を務めるので、そのあたりの関係性として、もちろんお互いにですが、やはり主演の方が気持ちよく稽古に臨めるように、自分が居れたらいいなと思ったりはしています。本当に、とにかく周りの方が皆さんすごく明るくてプロフェッショナルな方ばかりなので、自分がどうこうというより、周りの方に助けていただきながら、楽しく現場に居させていただいている感じです。
――ブロードウェイで上演された際の映像を拝見すると、電車の客室の中に4人くらいぎゅっと入っているような感じですよね。
そうなんですよ。そういう狭い中で、すごいことが繰り広げられているので。
――あのわちゃわちゃ感を出すにあたって、カンパニーの空気感は影響しますか?
そうですね。みなさんが、1回1回の空気感をとても楽しみながら表現なさる方々なので、楽しいです。ボールも投げてくださるし、返したものも受け取ってくださいます。あのシーンには、そのわちゃわちゃ感や、ファミリー感みたいなものがすごく出ているんじゃないかなと思います(笑)。
<取材協力>
ヘアメイク 河上智美(Rouxda.)
スタイリスト 長谷川めぐみ
ワンピース¥271,700(ファビアナフィリッピ/アオイ TEL 03-3239-0341)
イヤリング¥9,000
ネックレス¥38,500(ともにジェンマ アルス TEL 03-6438-0178)
パンプス¥23,100(リミット ティル トゥエンティスリー フィフティナイン/TOKEN TEL 03-3840-2505)
その他<スタイリスト私物>
※アイデアニュース有料会員限定部分には、『天翔ける風に』で変化を感じた理由、珠城さんが大切にされていることなどについてのお話や、作品を楽しみにされている方々へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■『天翔ける風に』は、プレッシャーがとても大きかったが、良い仕事ができた
■「あの人と一緒にまたやりたいな」と、思っていただける役者でありたい
■「またこの人とご一緒したい」と思う方々が増えているのは、幸せなこと
■今回も新しい姿をお見せできると思うので、ぜひ観にいらしていただけたら
<ミュージカル『20世紀号に乗って』>
【東京公演】2024年3月12日(火)~3月31日(日) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2024年4月5日(金)~4月10日(水) オリックス劇場
公式サイト
https://www.musical-onthe20th.jp
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※珠城りょうさんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは4月9日(火)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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珠城さんの「20世紀号に乗って」の挑む姿勢、舞台で一番大切にされてること、誠実さが感じられ、凄く良いインタビューです!
これを読んでから、舞台を見ると、感無量です。ありがとうございます。
関西テレビの番組よーいどんで、このニュースを作られてる方のことを知りました。好きなことに一生懸命な姿勢にも刺激をもらいました。