チェコの国民的作家・劇作家であるカレル・チャペックによるSF戯曲の金字塔『ロボット』が、2024年11月・12月に東京・シアタートラムで上演されることが、2024年4月12日に情報解禁されました。兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでのツアー公演も予定されています。本作を潤色・演出されるのは、卓越した発想力とユーモアで、独特の奇想天外な世界観を描き出す作風に定評のあるノゾエ征爾さんです。
作品の舞台となるロッサム・ユニヴァーサル・ロボット社の社長ドミンを演じるのは渡辺いっけいさんです。2022年上演『住所まちがい』以来の世田谷パブリックシアター主催公演出演となります。ドミン社長の妻にして、人権同盟代表としてロボットの地位の向上を訴えるヘレナを演じるのは、世田谷パブリックシアター主催公演初登場となる元宝塚歌劇団トップスターの朝夏まなとさんです。ロボットの反乱後、ただ一人のこされる人間であるロボット研究者アルキストを演じるのは、ストレートプレイとミュージカルの両輪で数多くの舞台や映像作品に出演している水田航生さんです。水田さんは、これまでも『お勢登場』、『マーキュリー・ファー Mercury Fur』、現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』の世田谷パブリックシアター主催公演に出演されています。
戯曲『ロボット』はおよそ100年前の1920年に、発表されました。作者のチャペックは「労働」を意味するチェコ語「robota (ロボタ)」から、「ロボット」という言葉を新たに生み出したと言われています。「もしかしたら今が、ロボットが『ロボットらしい』うちに公演できる最後のチャンスなのかもしれない。」とは、ノゾエさんの言葉です。人間の共存が始まりつつある2024年に生きる人々に向けて、シニカルかつ不条理なドラマとして転換し、現代の物語として届けられます。
ノゾエさん、水田さん、朝夏さん、渡辺さんのコメントを紹介します。
■コメント
潤色・演出:ノゾエ征爾さん
これは人間を批判するようなお話ではありません。幸せを求めるのも、進歩に邁進することもごく自然なことで、なんら悪いことではない。便利になるのは助かるし、苦労が減るのはありがたいかぎりだ。代わりに色々とやってくれるロボットが開発された?最高じゃないですか。でも、あまり幸せになった気持ちになれないのはなぜだろうか?幸せという感情は消えるようにできていると誰かが言っていた。確かにそうかもしれない。しかし、幸せを求める感情も消えないようにできているようだ(ただ、これまでと同じような求め方ではいけないことはそろそろ分かりつつ)。絶望と希望がぐるぐるする、このなんとも人間味溢れる物語を、この素晴らしい俳優さんたちでのぞめることがまずはとても幸せで、しかしやがて消えてしまうらしいこの幸福感を、観劇してくださる皆さまに繋げられることを願って、泥臭く挑みたく思います。
アルキスト役:水田航生さん
自然とは何か、不自然とは何か。生物は何を求め、何の為に生きているのか。そもそも「生物」とは何を指すのか。この「ロボット」を最初に読み終えた時、しばらくそんなことを考え込みました。この戯曲が生まれてから 100 年後を生きる自分が、
何を感じどう表現出来るのか、役者として、そして一人間としての探究の日々が、ちょっぴりの怖さはあるものの、楽しみでなりません。演出のノゾエさん、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんと稽古を通して沢山ディスカッションをして、 その場で揺れ動く心を大切に、本番へ向け突き進んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!
ヘレナ役:朝夏まなとさん
憧れの劇場のひとつであるシアタートラムで、しかもノゾエ征爾さんの演出を受けられること、 それを初めて共演する俳優さん方と取り組めることにワクワクしています!100 年以上前に作られた、まるで今の時代を予知していたかのような「ロボット」という作品が、 現代ではどのように描かれるのか、また男性たちを翻弄するという、自分とかけ離れていると感じる今までに経験のない役柄なので 新たな自分に出会えるのも楽しみです。刺激を得てお芝居にどっぷり浸かって表現できるように頑張ります!
ドミン役:渡辺いっけいさん
百年前のこの戯曲、恐ろしいほど現代に突き刺さるその世界線もさることながら、劇的に絡み合っていく登場人物たちのその会話の熱量にまず驚かされました。面白い戯曲というのは演じるのが大変です。きっと悩みながら、台詞と格闘しながらの本番になる事でしょう。ノゾエ君には過去に何度も声を掛けて頂きながらご一緒する機会がありませんでした。しかし漸くご一緒できる作品がこんなにもアグレッシブな戯曲になるとは!しかも舞台では初共演の役者さんばかり・・・。身震いするほど初めてづくしのこの座組で「熱い冬」を、濃密に過ごしたいと思います。
■原作について
カレル・チャペック「ロボット」 (海山社・栗栖茜訳)
舞台は人造人間(ロボット)の製造販売を一手にまかなう工場。ロボットの進化により人間は労働から解放され、労働せずとも生活していけるようになった。やがて人間たちは全てをロボットに任せるようになり、自分からは動かないまでに退化してしまった。やがてロボットたちは団結して反乱を起こし、人類抹殺の計画を始める―――
1920 年に書かれた今作は、機械文明の発達が果たして人間に幸福をもたらすのか否かを問いただす、チャぺックの予言的作品であったと言われています。ノゾエさんは「まずこれが 1920 年に書かれたことがすごいのですが、さらに驚くのは現在の我々が着実にその道に進んでいるということです。人間は幸せを求めるがゆえに、よかれと思って進化へと向かう。ただ幸せと進化が必ずしも並列するとはかぎらないということも我々は理解しています。この物語の愚かな人間が辿りつく先でつきつけられる大きな課題に、皆で真摯に向き合い、一緒に考えられるような作品にしたいと思っています。」とおっしゃっています。
< 『ロボット』 >
【東京公演】 2024年11月〜12月 シアタートラム
※兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール にてツアー公演あり
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/stage/15694/
【作】 カレル・チャペック「ロボット」 (海山社・栗栖茜訳)
【潤色・演出】 ノゾエ征爾
【出演】 水田航生 朝夏まなと/渡辺いっけい ほか
【お問合せ】 世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515 https://setagaya-pt.jp/
【主催】 公益財団法人せたがや文化財団
【企画制作】 世田谷パブリックシアター
【後援】 世田谷区
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