2024年7月18日(木)から7月28日(日)まで、東京芸術劇場シアターイーストで上演されるミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』の訳詞を手がけられ、キム・ヒャンアン役で出演されるソニンさんと、演出を担われる稲葉賀恵さんのインタビュー後編です。「下」では、作品の魅力、作品における歌の役割、作品が問いかけるものなどについてのお話と、読者の方へのメッセージを紹介します。
――韓国で大きく評価された作品ですが、日本では初演になります。どんな作品なのか、分からない部分も大きいかと思うのですが、お二人から見て作品の魅力となる部分をお聞かせください。
稲葉:仕掛けが何個かあります。時間がさかのぼったりタイムリープするということと、ひとりの女性をふたりの女性で演じていることがまず、演劇的な遊びというか仕掛けだと思うんです。例えば、過去の自分を客観的に見ることは、現実ではそんなにできることではないんですが、過去の自分を擬人化してお互いに会話するということは、演劇にしかできないと思うんです。
あとは歌があるということですね。基本的には、歌わずにはいられないということだったり、過去にものすごくきつかったことだったり、忘れてしまいたいことがあったときに、過去から来た人が歌で返してくれるんですよね。歌はものすごくギブアンドテイクで、ギフトみたいな感じがあるというか、ミュージカルにする理由が詰まっているのかもしれないなと思いました。
その仕掛けをどういう風に面白くやるのかというのが私の仕事ですし、稽古中に4人のキャストの皆さんと作っていくことだと思うのですが、軸としては「どうして歌を歌うんだろう」というところを、やっぱりひとつ突き詰めたいというか。歌というものに対しての確信を掴みたいと思って取り組んでいるので、自分の中ではそこを大事にしていけたらいいなと思っています。
ソニン:それを見い出した稲葉さんを見たいです。「ミュージカルって何で歌うの?」と聞かれても、ミュージカル俳優としても「え~っ!?」みたいに思うじゃないですか。気分が高揚したから歌うというのは、基本的に人は楽しかったら鼻歌を歌ったりする人もいるじゃないですか。結局それを自然に感じるか感じないか、それは作風もありますが、役者の演じ方だったり、演出の仕方でも、いろんなことが作用して、いろんな風に見えるんだと思うんです。
でもこの作品は、限りなくストレートプレイに近い感触を感じるんじゃないかと思います。作品のテーマとして芸術を扱っていますが、歌は芸術ですし、音楽に癒されるシーンも出てくるんですが、皆さんも普段から芸術に触れて、いろいろ癒されて、希望を見たり勇気をもらったりするといった意味では、(歌が)すごく溶け合って自然になってくるんじゃないかと思うんです。ミュージカル好きにも美しいナンバーだらけなので、すごく満足できると思いますし、ストレートプレイのスタイルが好きな人も満足できると思います。
稲葉:すごくいいことをおっしゃいます。完璧だと思います。
ソニン:そういう作品だと思うんです。さきほどお話ししたように、演劇の仕掛けもたくさんありますし、この作品を、ミュージカルをすごく経験してきた私が主演で、ストレートプレイをずっとやってきた稲葉さんが演出するということは、どっちも満足できる作品になるに違いないと思います。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、作品が問いかけるものについてのお話や読者の方へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■ソニン:「過去の自分を、あなたは抱きしめられますか? 受け入れられますか?」と
■ソニン:今後歩んでいったり、過去と向き合うことなどへの答えが、劇場に待っているかも
■ソニン:上演期間が短いので、気になったらすぐにチケットを買って来ていただきたい
■稲葉:4人で、お互いの関係の機微みたいなものを描く作品。予想できないものになりそう
<ミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』>
【東京公演】2024年7月18日(木)~7月28日(日) 東京芸術劇場シアターイースト
公式サイト
https://bellewaves.jp/lart-reste/
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