高江の165日『沖縄 国家の暴力』出版、沖縄タイムス・阿部岳記者インタビュー(上) | アイデアニュース

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高江の165日『沖縄 国家の暴力』出版、沖縄タイムス・阿部岳記者インタビュー(上)

筆者: 松中みどり 更新日: 2017年9月30日

2017年8月30日、沖縄タイムスの記者、阿部岳さんの本、『ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実』が出版されました。早速入手、まさに巻を措く能わず(かんをおくあたわず)で一気に読みました。本土のメディア関係者がなかなか足を運べない沖縄・高江でおきた2016年夏から年末にかけての出来事を、現場に通い続けた新聞記者が、丹念に事実をつみあげて活写する秀逸なルポルタージュです。高江ヘリパッド問題を中心に、「機動隊500人派遣」「記者拘束」「土人発言」「オスプレイ墜落」などが現場から生々しく報告されています。本を上梓したばかりの阿部岳記者に電話でインタビューしてうかがったお話を、上下2回にわけて紹介します。アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、沖縄で起きたことと特定秘密保護法の関係について語ってくださった内容などを掲載しています。

沖縄防衛局がヘリパッド工事再開に向けて資材を運び込んだ米軍北部訓練場は、未明から機動隊員が警備を固めた=2016年7月16日、沖縄県東村高江、撮影・阿部岳

沖縄防衛局がヘリパッド工事再開に向けて資材を運び込んだ米軍北部訓練場は、未明から機動隊員が警備を固めた=2016年7月16日、沖縄県東村高江、撮影・阿部岳

――「高江165日間」は、これまで沖縄で長く取材されてきた阿部さんにとってどんな現場でしたか?

20年間、沖縄で記者をやっていて、主に基地問題の現場を歩く取材が多かったんです。辺野古も見たし、いろいろありましたが、こんなにひどい現場はなかったです。今まで見たことも聞いたこともない最悪の現場でした。2014年7月以降の辺野古でも、警視庁から機動隊が派遣されて、反対する市民の排除にあたるみたいなこともありましたが、まったく比較にならないくらいのひどさでした。数だけでも、辺野古に来た警視庁の機動隊は100人でしたが、高江に派遣された他の都道府県からの機動隊員は500人。5倍ですから。

――なかなか足を運べない場所で起きたというのもひとつのポイントかなと思うのですが。沖縄の方にとってもやはり遠いところという感じですか?

遠いですね。那覇から3時間くらいかかりますから。往復で6時間は、なかなか厳しい距離です。人目につかない山奥でやりたい放題だったという感じです。人目を気にしない時の、権力の姿、国家の姿が見えたと言いますか。取り繕うことをしないで、本当にやりたい放題するとこうなるのかと。むき出しの姿ですね。そして、またこの国の現在進行形の危機の縮図ということでしょうか。

――この本が出たことを沖縄の友人にきいて、すぐ取り寄せて読みました。素晴らしいルポだと思います。

松中さんの反応がすごく早かったんです。最速だったかもしれません。ありがとうございます。

――丁寧に事実を積み重ねた、すごく分かりやすい本でした。

まとめたいという欲求があって。本というかたちで伝えたいと思ったんです。ヘリパッド建設工事に向けて資材が搬入された7月11 日から返還式典の12月22日まで、数えたら165日だったんですね。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、沖縄で起きたことと特定秘密保護法の関係について語ってくださった内容などインタビュー前半の全文(約2,800字)と、阿部さんが東村高江などで撮影した写真(4枚)を掲載しています。10月1日(日)掲載予定のインタビュー「下」では、フェイクニュースやデマが横行する今のメディアの状況への対応などについてうかがったインタビューの後半の全文(約3,400字)と、名護市安部で2016年12月に墜落したオスプレイのコックピットを捜索する米兵の様子など、阿部さんが撮影した写真5枚を掲載します(うち3枚は有料会員限定部分に掲載)。

<有料会員限定部分の小見出し>

■「日米一体化」で、今後は全国の自衛隊基地に米軍が、オスプレイが、来られるようになる

■フィリピンで起きていることも似ています。最初は周縁で始まり、中心に向かって行く

■出身は東京。入社試験の年、基地問題を長いスパンでやりたいと沖縄タイムスを受けた

■自分は本土出身であるということは変わりません。沖縄のことを本土に伝え続けたい

<『ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実』>
定価1400円 208ページ 発売/朝日新聞出版 ISBN 978-4-02-251481-3

【目次】
第1章 暴力と抵抗
・戒厳令(500人派遣の衝撃/高まる緊張/連夜の低空飛行、など)
・現場封鎖(問答無用/別天地)
第2章 弾圧と人権
・逮捕続出(思想犯/「悪魔扱い」/重なる微罪/共謀罪先取り、など)
・暴力の嵐(食い込むロープ/県民同士の争い)
・記者拘束(すり替え/暴走の追認/写真家の問い)
第3章 断絶と罵倒
・土人発言(差別の系譜/死語の復権/驚きがない驚き、など)
・デマ拡散(嘲笑の暴力/特大スポンサー、など)
・沖縄シフト(茶番の配信/ネトウヨ化する権力/無関心の土壌、など)
第4章 無法と葛藤
・揺れる法治(自衛隊ヘリ投入/切り裂かれた秘境/資料流出、など)
・推進側の葛藤(作業員と社長)
第5章 破綻と隷従
・オスプレイ無残(報道陣の闘い/墜落と不時着、など)
・「完成」式典(焼け太る米軍/政治ショー/農家の覚悟、など)

【著者】阿部 岳(あべ たかし)
1974年東京都生まれ。沖縄タイムス記者。上智大学卒業後、97年沖縄タイムス社入社。政経部、社会部基地担当、フリーキャップなどを経て北部報道部長。著書に『観光再生――「テロ」からの出発』(沖縄タイムス社)

<関連リンク>
朝日新聞出版のページ
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19289
沖縄タイムスプラスの記事
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/133017

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. タカピ より:

    記事を読むうちにムラムラとした怒りがわいてきました。この感情を絶やすことなく、沖縄を思い、日本という国について真剣に考え、行動していきたいと思いました。本が当たりますように!

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