男優劇団スタジオライフの舞台「『DRACULA~The Point of No Return~』2018年」が、2018年2月15日に劇団の本拠地であるウエストエンドスタジオで開幕しました。3月4日まで上演されます。開幕レポート(文/大原薫)と公演写真を提供いただきましたので、ご紹介します。
スタジオライフはこれまで『ヴァンパイア・レジェンド』『銀のキス』など吸血鬼を主人公とした物語を数多く取り上げてきた。中でも『DRACULA』は2000年の初演以来、今回で5度目の上演。名実共に劇団を代表する作品の一つ。ブラム・ストーカーの原作小説ではドラキュラが追い求める相手はミナという女性。しかし、脚本・演出の倉田淳は、ドラキュラの思い人をミナの婚約者のジョナサンに大胆に脚色。男性に恋するドラキュラの求めても叶わぬ思いが際立って、スタジオライフならではの世界観が浮き彫りになった。
客席は凹字型にステージを取り囲む形となっていて、まさに観客の目の前で数々の演技が繰り広げられる。しかも、6メートルの高さを生かして空間を縦横無尽に使う演出には息を飲むばかり。ドラキュラが翻すマントの風さえ感じられる圧倒的な臨場感は、他では得られない経験だろう。
物語前半はドラキュラ伯爵と、不動産取引のためトランシルヴァニアのドラキュラ城を訪れたジョナサンとの緊張感あふれる会話劇。物語後半の舞台はロンドン。ミナの友人、ルーシーを襲ったドラキュラ伯爵と、ルーシーの婚約者アーサーやヴァン・ヘルシング博士、ジョナサン、ミナらとの息詰まる死闘を描く。
ダブルキャストでの上演で、WeirDチームでは曽世海司がドラキュラ伯爵、松本慎也がジョナサンを演じる。一方、AberranTチームでは松本がドラキュラ伯爵、曽世がジョナサンを演じる。ドラキュラとジョナサンを交互に演じるというのは、スタジオライフでも初めての試みだ。
曽世海司は今回で3度目のドラキュラ伯爵役(曽世はこれまでの5度の上演すべてに出演し、ミナ、セワードなども演じている)。曽世が演じるのは、「これぞスタジオライフのドラキュラだ」といえるような決定版。黒のマントを翻す姿にセクシーさが漂う、アダルトな魅力が身上だ。
松本慎也のドラキュラ伯爵は一般的なイメージとは異なり、いわば『ポーの一族』のエドガーを連想するような「美青年ドラキュラ」。若くして吸血鬼になってしまった青年の孤独感が際立った。耽美な香りが漂う中に、精緻で繊細な演技で見せる。
ミナを演じる宇佐見輝は芯の強い女性像を作り上げた。ルーシー役の関戸博一(WeirDチーム)は確かな演技で作品を引き締め、同じくルーシー役の若林健吾(AberranTチーム)は苛酷な運命に操られた女性の悲しみを見せる。ヴァン・ヘルシング博士の船戸慎士は映画『ヴァン・ヘルシング』を思わせる、活力ある演技だ。(文/大原薫)
<スタジオライフ公演『DRACULA~The Point of No Return~』2018年>
【東京公演】2018年2月15日(木)~3月4日(日) ウエストエンドスタジオ
http://www.studio-life.com/stage/dracula2018/
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