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多摩川河川敷を舞台に、猫を守る3人のおじさんと猫の物語『おじさんと河原猫』発刊

筆者: 松中みどり 更新日: 2020年10月17日

猫のTNR活動や保護活動を続けている太田康介さんの新しい本、『おじさんと河原猫』をご紹介します。多摩川河川敷で生きていた猫とおじさんの物語を、フォトグラファーである太田さんのたくさんの写真と軽妙な文章で描くエッセイです。温かい涙が流れます。ぜひ手に取って欲しい本です。

『おじさんと河原猫』表紙=撮影・松中みどり
『おじさんと河原猫』表紙=撮影・松中みどり

アイデアニュースで何度かご紹介してきた太田康介さんは、東日本大震災後、原発周辺に取り残された家畜やペットの写真を撮影し、『のこされた動物たち』『待ち続ける動物たち』(飛鳥新社)『しろさびとまっちゃん』(KADOKAWAメディアファクトリー)を上梓。筆者も太田さんのこれらの本を読んで胸をつかれ、福島に連れて行っていただくことになった経緯があります。猫を愛する太田さんは、福島だけではなくご自身のコミュニティやそのほかの地域でも、猫のTNRや保護活動を続けています。今回の本『おじさんと河原猫』は、多摩川河川敷が舞台です。

『おじさんと河原猫』より
『おじさんと河原猫』より

多摩川河川敷の、人々が憩う場所から少し離れたところには、ホームレスの人々が住んでいます。そして、街中に捨てるより罪悪感が薄くなるからか、河原に捨てられてしまった猫たちも暮らしています。そんな“河原猫”の命を守り、お世話をしているボランティアさんがおられて、その中に、3人のおじさんもいました。

ひとり目のおじさん:加藤さん

加藤さんは、3キロほど離れたご自宅から多摩川河川敷に通って、日に二回給餌を続けてきたおじさんです。愛らしいメスの河原猫・シロとも仲良しで、7年間面倒を見続けてくれました。糖尿病を抱えながらの活動。そして別れの日がやってきました。加藤さん、ボランティアさん、そしてここに通うようになった太田さんの意見が一致し、これ以上この過酷な環境に猫たちを置いておくわけにはいかないということになったのです。猫たちを捕獲して預かってくれる人や里親になってくれる人を手分けしてさがし、真っ白の毛皮をもつシロは、太田さんが引き取ることになりました。大好きな加藤さんに捕獲機に入れられて、シロは7年暮らした多摩川河川敷を後にしました。

ふたり目のおじさん:高野さん

2007年から多摩川河川敷で暮らしていたホームレスの高野さんは、猫が大好きで、空き缶を集めたお金で河原猫たちの給餌をし、ご自分の小屋で犬や猫を保護しておられました。そんな高野さんは、今「行方不明」。2019年10月の台風19号は、広い範囲で河川氾濫や土砂災害など大きな被害を出しました。多摩川も例外ではなく、高野さんはお世話をしていた猫たちとともに、増水した川に飲み込まれてしまったのです。本の中で太田さんはこう書いています。


「高野さんのような人がいることをあてにして、多摩川に猫を捨てに来る人たちは、高野さんがどれほどの思いで猫を守っていたかなんて、まったく知らないでしょう」


「でもその行為が、高野さんのような優しい人を危険な目に遭わせ、「死」に追いやってしまう可能性があるなんて考えもしなかったでしょう。簡単に猫を捨てる人がいる一方で、高野さんは猫たちを見捨てませんでした。決して」

三人目のおじさん:太田さん

これまで「とら」と「まる」という“うちの猫”と暮らしてきた太田さんが、初めて“外猫”を受け入れることになりました。シロという名の綺麗なメス猫に会うまで、カメラマンとして河原猫のことをお知らせするのが自分の役割だと考えていた太田さん。でも、大好きなおじさんの加藤さんが餌をもって来てくれなくなったら、死んでしまうような暮しを続けているシロを思って、太田さんはたまらなくなりました。猫エイズに感染していたシロは、太田さんが引き取ることになったのです。もともと「おじさん好き」なシロ、太田さんになついて甘え、先住猫ともうちとけて幸せになりました。太田家に来たばかりの頃、7年間の河原生活で固くなり、ひび割れていたシロの肉球をさわって、「これからうちで暮らしてもらって、プニプニにしてやろうと思います!」と書いた太田さんもまた、猫のことが本当に大好きな、すてきなおじさんなのです。7年間、加藤さんに河原でお世話してもらったシロ、太田さんのお家で7年と10か月暮して虹の橋に行きました。加藤さんと太田さん。おじさんふたりを愛して、愛されたある猫の一生でした。

筆者のところにも、今年の8月、保護猫がやってきました。TNRで捕獲機に入ったおよそ3か月の子猫で、片目を失った猫でした。隻眼では地域猫として暮らすのは難しいだろうと、里親募集のお知らせがまわってきて、我が家で引き取ることにしました。黒猫の「くぅ」といいます。一緒に『おじさんと河原猫』を読みながら、くぅちゃんの肉球を確かめて、それが柔らかいのでほっとしました。野良猫の生活が短かったからでしょう。一匹でも多くの猫が幸せになれますように。そして太田さんのこの本が多くの人の目にとまり、過酷な環境で生きる猫たちと、そんな猫を決して見捨てない人たちの働きが知られますようにと願っています。

<『おじさんと河原猫』>
著者:太田康介
発売:2020年9月13日
定価:本体1200円+税
判型:A5判・並製
発売元:株式会社 扶桑社
※『おじさんと河原猫』には、特別寄稿として、『夜廻り猫』(講談社)の作者・深谷かほるさんによる漫画が2本も収録されています。

<関連リンク>
うちのとらまる 太田康介さんブログページ
http://uchino-toramaru.blog.jp/
おじさんと河原猫 | 書籍詳細 | 扶桑社
https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594083458

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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