2022年11月23日(水・祝)から12月11日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスで、12月15日(木)に宮城・えずこホールで、2023年1月6日(金)から1月9日(月・祝)まで大阪・森ノ宮ピロティホールで、1月14日(土)に高知県立県民文化ホールで上演される『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』に、クレアント役で出演する竹内將人さんのインタビュー後編です。「下」の無料部分では、本作の見どころやお客さまへのメッセージ、古典作品ならではの面白さや難しさ、本作の稽古でアドバイスをいただいた時のことなどについて伺った合同インタビューの内容を紹介します。有料部分では、『ピアフ』で経験したストレートプレイの経験を踏まえて、ミュージカル『ガイズ&ドールズ』に出演されたときに感じた変化のこと、今回の稽古場で吸収していること、2022年がどのような1年だったかということなどについて伺った独自インタビューの内容を紹介します。
ーー今回の、プルカレーテさん演出の『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』の見どころや、お客さまへのメッセージなどをお聞かせください。
フランスの古典喜劇と聞くと、喜劇ではあるのですが、ちょっと堅いイメージがあると思うんです。長いセリフがいっぱいあったり、もしかしたら難しいんじゃないか、眠くなるんじゃないかなと……。古典ものだと、どうしてもそういうイメージかもしれないのですが、この作品は、全くそういうことはないです。プルさんと、ヴァシルさんと、ドラゴッシュさんというルーマニア人3人が作り出す世界観自体が、まずとても面白いです。
台本は、モリエールが書いた古典台本なのですが、一回日本語に翻訳されたものを、再度フランス語に訳して、そこから更に、プルさんが「ここをカットしよう、削ろう」と手を加えられていて、現代の若者にも届く作品になっていると思います。今年もまだ社会的に不安定な状況が続いていますが、クスッと笑いに劇場に来ていただけたら嬉しいです。
ーー古典作品ならではの、面白さや難しさは感じられていますか?
17世紀から愛されている作品なんですよね。約400年前の人も、現代の僕たちも共通して、人間が面白いと思うであろうものの、オーソドックスなところを攻めていると思います。人間の感情や人間関係の「すれ違い」「勘違い」や、一人の女性を二人の男性が奪い合うとか、典型的な古典ものだと思うんです。
ーー面白いですよね。
でもその典型的なところを、現代の日本人に伝わるように表現するのが難しいなと思います。プルカレーテさんもおっしゃっていたのですが、モリエールは古典ものなので、イタリアの「コメディア・デラルテ」という芝居の型が『守銭奴』にもかなり反映されているそうです。特に笑いを取る部分には、「こうやってから、こうやる」という型が明確にあります。「なるほど、こんな単純なことだけど、確かにそれで人って笑うよね」というところがたくさんあります。
ーー型があるのですね。
型があるので、笑かそうとして他に余計なことはしなくていいんだよと。簡単なことを単純に、型にはめて、ぽんぽんってやることで、笑いが起きますよという構造なんです。そういうところも、面白いなと思いますね。
ーー先輩方が、たくさんアドバイスをくださるというお話がありましたが、具体的に印象に残っていることがあれば教えてください。
蔵之介さんのアルパゴンと、天野さんのマリアーヌと、僕のクレアント3人のシーンで、「突然、こういう世界観にしてほしい」というプルさんからの演出があったんです。そこまでのお芝居から、「一気に違う世界観に変えてほしい」と。このシーンは、3人それぞれの動きの連携がとても重要なのですが、プルさんがおっしゃっている動きや感覚を、天野さんと僕がなかなか掴めなくて。蔵之介さんも、このシーンは難しいなあという反応をされていたりもしました。プルさんの世界が本当に独創的なので。
そういう時に、このシーンには登場しない、客観的に稽古を見てくださっている先輩方が、イメージのヒントをくださったりしました。「なんとなくだけど、ルーマニアの俳優たちがこういうことをやっているのは想像がつかない?」とか、見ながら思ったことを言ってくださって。「なるほど、ルーマニア人の劇団の方々が白塗りにして、ああいう衣装をきて、こういう動きをしているイメージかな」と、みなさんが伝えてくださる細かなヒントを通して、ピンとくる時もありました。
あとは、蔵之介さんと僕のすれ違いのシーンが、うまくいかなかったことがあって。その時に、手塚とおるさんが「語尾を、こんなふうにしたらいいよ」と言ってくださったんです。
ーー語尾ですか?
語尾のアクセントを変えたら、「すれ違いのお芝居」になりました。蔵之介さんと僕が抱き合いながら話しているのですが、途中でお互いに「なんか話が違う」と気づくシーンなんです。そこが最初、蔵之介さんのアルパゴンが投げてくださったものに対して、僕が反応する時に「クレアントは勘違いし続けていて、アルパゴンだけが勘違いに気づいているように見えるよ」と。そのシーンを何回かやったのですが、言われていることはわかるものの、いまいち僕が形にできていなかった時に、手塚さんが前にばーっと来てくださって、「たぶん、そこは語尾を真っ直ぐに飛ばした方がいい。今、引っ掛けるようにしているから」と言ってくださって。そういうところも、とても勉強になりました。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、『ピアフ』で経験したストレートプレイの経験を踏まえて、ミュージカル『ガイズ&ドールズ』に出演されたときに感じた変化のこと、今回の稽古場で吸収していること、2022年がどのような1年だったかということなどについて伺った独自インタビューの後半の内容と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■冒頭から最後まで、クレアントという一つの役。気持ちを変化させながら演じる経験
■『ガイズ&ドールズ』では芝居に寄せて演じたシーンも。フレーズ一つでバランスを
■「ここは大袈裟に」「ここはしっかり芝居」とミュージカルでも細かく分けて考えた
■多くの先輩方に「この道だよ」と示していただき、目指すものが見えた一年だった
<『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』>
【東京公演】2022年11月23日(水・祝)~12月11日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
【宮城公演】2022年12月15日(木) えずこホール(仙南芸術文化センター)大ホール
【大阪公演】2023年1月6日(金)~1月9日(月・祝) 森ノ宮ピロティホール
【高知公演】2023年1月14日(土) 高知県立県民文化ホール オレンジホール
公式サイト
https://www.purcarete-fes.jp/shusendo
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腑に落ちる感覚はあまり経験することが出来ないと思うので、それを何度も経験出来て、素晴らしい一年を歩まれたことが分かる素敵なインタビューでした。
セリフを音で捉えないということがどういうことか、また舞台を拝見する時に楽しみにしています。
お写真も今年の充実ぶりが分かる、とても意思がはっきりと伝わってくる素敵なお写真でした。