「未熟で、もがいているからこその魅力」、『キンキーブーツ』東 啓介・有澤樟太郎(上) | アイデアニュース

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「未熟で、もがいているからこその魅力」、『キンキーブーツ』東 啓介・有澤樟太郎(上)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2025年2月2日

ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』が、2025年4月27日(日)から5月18日(日)まで東京・東急シアターオーブで、5月26日(月)から6月8日(日)まで大阪・オリックス劇場で上演されます。メインキャストがほぼ一新され、チャーリー、ローラ、ローレンがWキャストになりました。オーディションで選ばれた、これからの日本のミュージカルシーンを担う実力派が結集し、『キンキーブーツ』は新たなステップを踏み出します。

アイデアニュースでは、チャーリー・プライス役をダブルキャストで演じる東 啓介さんと有澤樟太郎さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。「上」「下」それぞれの無料部分では合同取材の内容を、有料部分ではアイデアニュース独自取材の内容を紹介します。

「上」の無料部分では、チャーリー役で出演されることが決まった時のお話、チャーリーとローラについてのお話など、合同取材の前半を紹介します。有料部分では、二人でのダブルキャストについて「これからもありそう」というお話、ローラ役で出演される甲斐翔真さんと松下優也さんの印象について伺ったお話などアイデアニュース独自取材の前半の内容を紹介します(松下さんについてのお話は「下」で紹介)。「下」の無料部分では、シンディー・ローパーさんの楽曲についてのお話やお互いの印象についてお話ししてくださった内容とお客さまへのメッセージなど、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、ローラ役で出演される甲斐翔真さんと松下優也さんの印象について伺った内容の続きと、ご自身が属する世代としての抱負や思いについてお話ししてくださった内容を紹介します。

(写真左から)東啓介さん、有澤樟太郎さん=撮影・NORI
(写真左から)東啓介さん、有澤樟太郎さん=撮影・NORI

(合同取材:前編)

――今回、オーディションを受けたいと思われたきっかけと、チャーリー役に決まられた時のお気持ちをお聞かせください。

東:僕は韓国で偶然『キンキーブーツ』を観劇したのですが、有名な作品とは知らず、すごく面白い作品だと思っていたら、同時期に日本でも上演されて大盛り上がりしていました。その後、改めてサントラを聴いて、自分もいつか出たいと思っていました。

その数年後にオーディションがあったのですが、ローラを演じていた(三浦)春馬くんと別作品で共演した時に『キンキーブーツ』という作品の素晴らしさについても聞いていたので、大きなチャンスだと思い、挑戦しました。合格した時は本当に嬉しかったと同時に、実感が湧かないというか、そんなことが本当に起きているのかなというくらい、まだ夢の中にいるような感じでしたが、今こうやって取材や撮影をしていくなかで、徐々に実感が湧いてきています。

有澤:僕は2022年の『キンキーブーツ』を、東急シアターオーブで観させていただいたのですが、何度も共演経験があったソニンさんが出演していました。その時は、『17 AGAIN』で共演していた当時18歳の福澤希空くんが誘ってくれて観に行きました。とんちゃん(東さん)と『ジャージー・ボーイズ』で共演していた時で、休演日か何かだったと思うんです。『キンキーブーツ』と『ジャージー・ボーイズ』は稽古場も近くて、すごくきらびやかな様子がちらっと見えたりして、すごいなと思っていたんですが、実際に観に行ったら、世界中で愛されて、日本でも初演以来すごく熱狂的なファンがいる理由がわかりました。

とてつもないエネルギーと歌の力、そしてお芝居の力、何と言ってもキャストの皆さんのエネルギー。皆さん『キンキーブーツ』が大好きなんだなと感じました。キャストの方がとてつもない愛で臨んでいるんだなということが、観ての一番の収穫だったんです。『ジャージー・ボーイズ』をやっていた時に、さらにいい影響をいただいた作品です。

「チャーリーのオーディションを受けませんか」とお話をいただいて、絶対にやらせてくださいと、並々ならぬ覚悟で、何としてもこの役を掴みたいという気持ちでオーディションに臨みました。実際に受かってすごくうれしかったです。

今こうやって取材などをさせていただいていても感じるのですが、スタッフやクリエイター陣の皆さんの愛がすごいんです。やっぱり僕が客席で見たことは間違いじゃなかったんだ、それ以上なんだと肌で感じていて、しかも、「あなたが新しいチャーリーね」と受け入れてくれる。変にプレッシャーを与えるのではなく、迎え入れてくれるという表現が正しいのかなと思います。ですので、プレッシャーというものはあまり感じていなくて、とても楽しんでいます。

――チャーリーについてはどのように捉えていらっしゃいますか?

東:未熟者ですね。でもそれはひねくれているというわけではなくて。世間を知らなかったり、自分のやりたいことが何なのかを知らないんです。お父さんが亡くなったことで靴の会社を継がなければいけなくなり、その責任や、プレッシャーなど、いろんなものが急に降りかかってきて、それを乗り越えていく。ローラと、そして工場のみんなと共に成長していく人物なんだろうなと思いました。

有澤:「チャーリーが絶対に合ってるよ」と周りから言われて、実際に台本を読んでみると、ちょっとだめな部分が似ているなと(笑)。彼のパワーを出すフックになるところがいっぱいあるんですが、最初に何をやりたいんだと言われて、マーケティングをやりたいみたいなことを言うんですが、実際にそういう人をいっぱい見てきましたし、引かれたレールに乗りたくない、みたいな。

先祖代々ノーサンプトンの田舎の靴工場というレールがあって、そこじゃなくて自分はもっとすごいことができるんだぞという過信じゃないですけど、根拠のない自信があって。人のレールというか、轍を踏みたくないなみたいなところが、自分もあったりして、「じゃあ何をやりたいの?」と言われたら、ちょっと行き詰っちゃう。「今探してるんだよ!」みたいな。

東:わかる!

有澤:「今探しているから、余計なこと言わないでよ」みたいなところが近いなと。でも、そういう人ってすごいエネルギーを持っているし、本当にもがいている。そういうものをチャーリーとして存分に活かせるなと。国によってはイギリスの田舎の訛りまで表現していると聞いたりもしたのですが、演じ甲斐がとてもある役だと思います。その「もがき」みたいなところ、自分がやりたいことを、うっすらだけどやっと見つけたかもしれないみたいな、徐々にフックになっているところが、台本では丁寧に描かれているので、しっかり演じたいなと思います。

――ローラという存在をどう捉えられていますか?

東:自分が当たり前と思っていたこととか、固定概念みたいなものを崩して、変えてくれた人だと思います。先頭に立って「自分は自分」と行動する彼女の姿にチャーリーは鼓舞されて、乗っかっていったり、逆に突っ走りすぎてしまったり。でも、やっぱり彼女がいなかったら踏み込めなかったところがあると思うので、今はざっくりとですけど、大きな存在ですし、心のよりどころ、本当の友、そういう存在なんじゃないかなと思っています。

――ローラに乗っかっていってしまう、チャーリーの「えいっ!」と行く感じもいいんですよね。

東:そうですね、未熟さゆえの勢いが彼の魅力でもあります。できないこともあるけれど、それを見守るローラのまなざしとか、力になってあげたいという心の広さは素晴らしいなと思います。

有澤:自分がもがきながらいろんなことを探している中で、チャーリーはやりたいこともざっくりとしか決まっていなくて、割とふわふわしているイメージがあるんですが、やっぱりそこに一本ちゃんと芯が通っているローラという人物が現れて、ビジネスパートナーとして一緒にやっていきたいと思うという、何か分からないですけど、「見つけた!」という感じだと思うんです。

自分もそうなんですけど、ドラァグクイーンの世界観って全然知らない世界じゃないですか。でもそこを知ることによって、偏見というものは消えますし、僕も実際に『キンキーブーツ』を観に行った時にエンジェルスのファンになってしまったんですよ。

カッコいいなって。ボクシングのシーンで出てくるエンジェルスたちなんて! 最初はちょっと異質な存在なのかなと思っていましたが、どんどんどんどんファンになってしまいましたし、もちろんローラのファンにもなっているんですが、本当に自分の知らない世界がたくさんあるなと『キンキーブーツ』を通して教えてもらいました。そういうニッチな産業のところにもチャーリーは気づいています。

――(チャーリーは)ビジネスマンや職人としての考えもあるし、出会った時の楽しさで突っ走るところもありますし、バランスの悪くない人だなというところですね。

有澤:本当におっしゃる通りだと思います。


<取材協力>
東 啓介さん
ヘアメイク:yuto
スタイリスト:青木紀一郎

有澤樟太郎さん
ヘアメイク:池上豪(NICOLASHKA)
スタイリスト:山田安莉沙

※アイデアニュース有料会員限定部分には、二人でのダブルキャストについて「これからもありそう」というお話、ローラ役で出演される甲斐翔真さんと松下優也さんの印象について伺ったお話などアイデアニュース独自取材前半の全文と写真を掲載しています。3日掲載予定のインタビュー「下」の無料部分では、シンディー・ローパーさんの楽曲についてのお話やお互いの印象についてお話ししてくださった内容とお客さまへのメッセージなど、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、ローラ役で出演される甲斐翔真さんと松下優也さんの印象について伺った内容の続きと、ご自身が属する世代としての抱負や思いについてお話ししてくださった内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■有澤:今後もダブルキャストの機会があると思うもん 東:腑に落ちるダブルキャスト

■有澤:似たイメージなんだろうなと 東:『ジャージー・ボーイズ』が大きかったかも

■有澤:どちらかというと、とんちゃんはローラのイメージ 東:それは今でも言われる

■東:ローラの姿になることによって、殻が破れるオーラを翔真の撮影で感じた

<ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』>
【東京公演】2025年4月27日(日)〜5月18日(日) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2025年5月26日(月)〜6月8日(日) オリックス劇場
公式サイト
http://www.kinkyboots.jp

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東啓介さん=撮影・NORI
東啓介さん=撮影・NORI

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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