「ハムレットのセリフを言える嬉しさ」、『天保十二年のシェイクスピア』大貫勇輔(下) | アイデアニュース

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「ハムレットのセリフを言える嬉しさ」、『天保十二年のシェイクスピア』大貫勇輔(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2024年11月27日

絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』が、2024年12月9日(月)から12月29日(日)まで東京・日生劇場で、その後2025年1月5日(日)から1月7日(火)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、1月11日(土)から1月13日(月)まで福岡・博多座、1月18日(土)と1月19日(日)に富山・オーバード・ホール大ホール、1月25日(土)と1月26日(日)に愛知県芸術劇場大ホールで上演されます。王次役で出演される、大貫勇輔さんのインタビュー後編です。「下」では、『王家の紋章』以来の共演となる浦井健治さん、『ピーターパン』でも共演された唯月ふうかさんのこと、演出の藤田俊太郎さんとのお話の中で印象に残っていること、ご自身で楽しみにされていることなどについてお話ししてくださった内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。

大貫勇輔さん=撮影・伊藤華織
大貫勇輔さん=撮影・伊藤華織

――初演で浦井健治さんが演じた王次役をされるということで、その浦井さんとは、『王家の紋章』ぶりの共演ですね。浦井さんとはどんなお話をされていますか。

出演が決まったときにお互いに連絡を取り合って、「よろしくね」とお話ししました。稽古場では先日浦井さんに会ったばかりなのでまだきちんと話せていませんが、『王家の紋章』の頃から僕に対しての思いを抱いてくださっていて、僕もロミジュリ(『ロミオ&ジュリエット』)で死役のときから(浦井さんが演じた)ベンヴォーリオを遠くから見ていて、すごくプロフェッショナルな役者さんだなとずっと思っていました。それからも、ほかの作品で拝見していて、『王家』でご一緒して、たくさん支えていただいて。今回は絡みがすごく少ないんですが、僕はある種、三世次の対極にいるので。そういう意味では、わからないことがあったら、浦井さんはきじるしの王次の初演をされているので、きっといろいろなことを伝えてくれるだろうなと思っています。

――唯月ふうかさんとは、新しい関係性での共演になりますね。

そうですね。すごく楽しみです。最初は『ピーターパン』のフック船長とピーターパンだったので。男同士の戦いから、今度は男と女の恋のシーンを演じるのは、すごく不思議な感じがしますが、勝手に遠くから見ていたので、少年から女性にどんどん移り変わっていくふうかを見ていて、僕の中にはピーターパンだったころのふうかは、ほとんどいないです。逆に楽しみな部分が多いなと思います。

――唯月さんは、何かおっしゃっていましたか。

「変な感じがする」と言っていましたね。ふうかから見ても、僕はお兄ちゃんみたいな存在で、フック船長の頃からご飯に連れていったり、妹みたいにかわいがっていましたし。でも、その時も座長として大きな背中を見せてくれていたので、とても尊敬する俳優さんです。年下ですが、本当に「超」がつくほどのプロフェッショナルなので、稽古場で一緒に稽古をするのが楽しみですね。

――藤田さんとは稽古の中で、いろいろ作品のことについて紐解いていったとお話がありましたが、王次という役について伺ったことで印象に残っていることはありますか?

「カリスマ」「スーパースター」「とにかく人に愛されている光だ」と。その対をなすのが三世次だから、本当に大貫さんはかっこよく、カリスマで、スーパースターとして演じてほしいということでしたね。王次は、(親分衆の1人である)飯岡の助五郎のもとに15歳で元服してから3年間修業をしていたと。それはきっと母親がいかせたんだろうと。いつか跡を継ぐだろうから、剣術修行やヤクザ者として、いろいろなことを学んでいたが、父親が殺されて帰ってきた。お光とは、恋仲になるんですが、実は(血の繋がりはないものの)「おば」に当たるんですよね。

では、王次は、それまでにお光と会ったことはあったのかと。きっと母親三姉妹は仲が悪かったから、悪く言っているはず。会ったこともないから、あまりいいヤツではないと認識している。でも、いざパッと会ったら自分は自分の正義を執行できないでいて、葛藤している中、彼女は賭場をぶっ壊すんですよね。その心意気というか、正義に胸を打たれるんだと思うんです。だから、一目惚れして尊敬する。そんな思いを抱いていたら、お光から「殺しに行かなきゃいけねぇ」と言われ、どんどん斬り殺していったら急に「王次、あなたはどうして王次なの」と言われて(笑)。

老婆たちが井戸端会議で王次とお光に「浮気草」を掛けて敵同士な2人を相思相愛にするのですが、それがなくても、自分が恋心を抱いていた相手から、「私も好きだ、愛している」と言われたら、きっと舞い上がると思うんです。くすぶっていた愛の炎により油を注がれて、ぶわっと一気に燃え上がり、敵味方関係ないみたいになってしまうのは、わからなくはない人間の心ですよね。葛藤の中から一筋の光というものがあると、現実を忘れられる。そういうところから、どんどんのめり込んでしまうというのは、わかるなとか、そういう細かいところをお話しました。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、ご自身で楽しみにされていることやお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■一番楽しみにしているのは、大立ち回り。ダンスは『メリー・ポピンズ』以来だと思う

■「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」。最新版から一番古い訳までいろいろなバージョンを

■三世次は極悪人だけれど、誰しもちょっと持っている要素では。笑える部分もあるので楽しんで

■「どうするべきなのか」と僕も人生の中で思うことがある。そういうことも感じていただけたら

<絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』>
【東京公演】2024年12月9日(月)~12月29日(日) 日生劇場
【大阪公演】2025年1月5日(日)~1月7日(火) 梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】2025年1月11日(土)~1月13日(月) 博多座
【富山公演】2025年1月18日(土)~1月19日(日) オーバード・ホール大ホール
【愛知公演】2025年1月25日(土)~1月26日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
公式サイト
https://www.tohostage.com/tempo/index.html

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大貫勇輔さん=撮影・伊藤華織
大貫勇輔さん=撮影・伊藤華織

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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