ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』が、2025年1月17日(金)に日生劇場で開幕し、上演中です。2月24日(月・休)まで上演されます。半世紀に渡り数々の名作を世に送り出してきたミュージカル界の “生ける伝説” アンドリュー・ロイド=ウェバーが、自身最大のヒット作『オペラ座の怪人』の後日譚として生み出した作品です。2010年ロンドンにて幕を開け、数回に渡る手直しを経て、オーストラリアで上演され、世界的に非常に高い評価を得たのちに、2014年に日本初演を迎え、2019年に再演。そして2025年は日本で3回目の上演となります。
ファントムは市村正親さん、石丸幹二さん、橋本さとしさん、クリスティーヌは平原綾香さん、笹本玲奈さん、真彩希帆さんのトリプルキャスト、ラウル・シャニュイ子爵は田代万里生さん、加藤和樹さん、メグ・ジリーは星風まどかさん、小南満佑子さんのダブルキャストです。
アイデアニュースでは、平原綾香さんと加藤和樹さんに、開幕してからインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。「上」では、上演中の今の思い、今回のラウルは愛が強めな人間像になっているというお話、ファントムへの愛と音楽への愛、平原さんの歌に「母性」を感じるというお話などを紹介します。「下」では、市村さん、石丸さん、橋本さん、それぞれのファントムから感じる「色」について、どんな1年にしていきたいかというお話、今年ミュージカルデビュー11年目となる平原さんの思い、加藤さんの最近の活動のことなどについてのお話と、お客さまへのメッセージを紹介します。
![(写真左から)平原綾香さん、加藤和樹さん=撮影・岩村美佳](https://ideanews.jp/wp-content/uploads/2025/02/01-01_B5A2224_OK_s.jpg)
――開幕して2週間程経ちましたが、今の思いをお聞かせください。
平原:(観客の)反応はどうですか?
加藤:いいと思いますよ。
平原:お客様がすごく熱くて、泣いている方もいらっしゃるし。
加藤:「ブラボー!」なんてね、素晴らしいですよね。なかなか本番中にあんなに盛り上がることは珍しいかなと。本当に愛されている作品なんだなという思いが、すごくありますね。僕は今回初参加ですが、作品の雰囲気だったり、カンパニーの結束力だったりを感じています。本当に大変な作品なんですが、本当にみんなが力を合わせないと。1公演1公演を身と心を削りながらやっている作品だなと感じますね。
――平原さんは3回目のご出演ですね。
平原:3回目も1回目も2回目も関係ないなと、すごく思います。なぜなら、初演と再演でセリフも違ったりしますし、曲が追加されたりもしました。再再演になると、次は動きが違うので、初演と再演を経験している身としては、「え、ここ違うんだ」というところがあります。だから、結構再再演は難しいんですよね。段取りがまた変わったりするので。でも、一ついいなと思えるのは、勝手に体と口が動く。
加藤:ハハハ。
平原:考えなくてもセリフが出ます。でも、今日ポロッと「ああ、グスタフ」のセリフを初演のときの「なぜ、そんな」って言っちゃって(笑)。だから、もう何も関係なくて、そのとき、そのときを私達は生きているんだなと。
加藤:うん、生きているわけですね。
平原・加藤:(お互いに)素敵です。
――一度この世界に入ってしまうと、結構観ている方としては引きずってしまいます。
平原:ファンの人がそうおっしゃっていました。曲がずっと流れているって。でも、頭に流れるのが優しい曲ならいいんですが、私はだいたいマダム・ジリーの曲の「10年間~」しか頭に回ってこなくて(笑)。
加藤:結構曲のインパクト強いもんね。
平原:マダム・ジリーは、ずっと「10年間」しか言ってないからね。
加藤:固執しているからね。
平原:私はまさに10年間なんですけど。(加藤さんに)どうですか?どんな曲が回りますか?
加藤:僕は怒って後悔してばかりだなと。
平原:「何て街だ〜」ってね。
加藤:お願いしたりとか。でも、その思いというか、ラウルという役と向き合っていく中で、演出のサイモンと(田代)万里生さんと3人で話をさせていただく中で、やはりサイモン自身もラウルというキャラクターの見え方を変えたいという思いが今回はあったようで。
平原:そうなんだ!
加藤:それは初演再演とはまた違ったアプローチだと、万里生さんも言ってました。できるだけ彼の、今までの「クズ男」と言われていた部分ばかりが見えるのではなく、そうなってしまった理由を僕は追求したくて、彼の中にあるクリスティーヌとの確執というか。でも、それは確執といっても多分ラウルが感じているだけであって、やはり自分には何もないというか。いわゆる天才と凡人という苦悩みたいなもの、理解したいけれど、理解できないという、何かその歯がゆさや葛藤、そういう彼の愚かな部分がちゃんと見えたら、愛してもらえるキャラクターになるのではないかと思って、今回作っていました。
平原:全然クズ男には思えないですよ。
――思えないですよね。
平原:思えないし、クズ男ってギャンブルするのがクズ男かな? 私にとっては、奥さんがいるのに不倫したり、浮気したりする方がクズ男なので、こんなに一筋に愛してくれてクズ男に思えなくて(笑)。
加藤:ハハハ!
平原:また和樹くんが作るラウルという役は、クリスティーヌに対しての愛と、大事にしてくれる感がすごくあるので。すごく「激オコ」のはずなんですが、優しさがあるからどうしてこんなに怒っているの?という感じには思えない。クリスティーヌが怒っているのはファントムに対してなので。だから、いい夫婦像で、お金にだらしないところ以外は、すごくいい、えらいねと(笑)。
加藤:アハハハ!
――本当に、今年のラウルは愛が強めだなと感じました。特にファントムが出てくるまでのおふたりに、愛があるなとすごく感じます。
加藤:僕は初参加なので、いろいろやっていくと疑問に思うことがたくさんあって、「そもそもどうしてそんなに怒っているのか」から始まったんです。でも、グスタフに対して怒るというより、自分に対してのイライラをぶつけてしまうだけで、きちんとグスタフもクリスティーヌも愛していないと、もうとっくに別れているよね?という話になったんです。
だから、その愛という部分は、どうしてもラウルが見失ってはいけない大事なもの。そこを信じたいラウル、でも結果的に、そこが見えなくなってしまうというか。クリスティーヌの心がやはり音楽なんだなと悟ったときに、ある意味彼も認めるというか。だから、最後にラウルは悔しい、悲しいけれど、どこか少し穏やかな部分が実は僕にはあって。
平原:そうなの、微笑むの……。私、それで胸が張り裂けそうになって。
――なるほど! あのセットの横からですか?
平原:分かります? 「愛は死なず」を歌っているとき、横で見ているラウルに、「どんな運命も~」と歌いかけると、歌うことを決めた彼女の決意に微笑みながら手を差し出し「歌っていいよ」と去っていくんです。
――そこでラウルはファントムとの賭けに負けるわけですが、微笑むんですね。
平原:そうなんです。これまではあんなに苦しくなったことはなかったので、私は再再演を経て、「ああ……これか……」と、さらにクリスティーヌの思いを気づかせてもらったシーンでしたね。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、ファントムへの愛と音楽への愛、平原さんの歌に「母性」を感じるというお話などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。インタビュー「下」では、市村さん、石丸さん、橋本さん、それぞれのファントムから感じる「色」について、どんな1年にしていきたいかというお話、今年ミュージカルデビュー11年目となる平原さんの思い、加藤さんの最近の活動のことなどについてのお話やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■平原:自分として演じているように錯覚してしまうぐらい、音楽に対する愛がファントムへの愛
■加藤:すごく母性があって。役というより、「平原綾香」という人間から出てくるものだなと
■加藤:「愛は死なず」で、僕はハケた後も袖の上で聴いているんですが、ひとりで拍手している
■加藤:出そうと思って出るものではなくて、備わったもの 平原:そうか……。母や父の愛ですね
<ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』>
【東京公演】2025年1月17日(金)~2月24日(月・休) 日生劇場
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/loveneverdies2025/
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![(写真左から)平原綾香さん、加藤和樹さん=撮影・岩村美佳](https://ideanews.jp/wp-content/uploads/2025/02/01-02_B5A2228_OK_s.jpg)
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初演から観劇していて、今回一番変化があったのがラウルのような気がしていました
このインタビューでそれが間違ってなかったと腑に落ちました
愛は死なずのシーンでクリスティーヌを挟んで両サイドにいるファントムとラウルそれぞれの演技を見るのがいつも楽しみですが中々忙しいです(笑)
開幕後のインタビューならではの内容でした
今後ともこのようなインタビュー楽しみしています