大阪市西成区にある日雇い労働者の街・釜ヶ崎。ここにある施設「こどもの里」を舞台にしたドキュメンタリー映画「さとにきたらええやん」が、大阪・第七藝術劇場で2016年7月2日(土)から公開されます。6月19日(土)の先行有料試写会では、立ち見の方も含めて大入り満員、やむなくお帰りいただくお客さんも大勢いたそうです。7月の本公開がとても楽しみです。
「釜ヶ崎」ときくと、どんな場所だと思いますか?野宿しているホームレスのおっちゃんが多くて、簡易宿泊所(ドヤ)が立ち並ぶ、ちょっとコワいところというイメージをいだかれるでしょうか。実はこの映画の監督である重江良樹(しげえよしき)さんも、「西成・釜ヶ崎=危険な街」という世間一般の偏見を思いっきり持っていたと語っています。それなのになぜ、釜ヶ崎で映画を撮ったのか。
映像学校在学中、ドキュメンタリー映画を撮ろうと、“思いつきで”西成にやってきた重江さん。「こどもの里」からいきなり半裸のこどもふたりが飛び出してきて、また中に入っていったのを目撃します。荘保共子さん(こどもの里館長)に「何でこんなところで子どもの施設をやってるんですか?」と聞いたことがきっかけで、「こどもの里」に通い始めたのだそうです。そのときの荘保さんの答えが素敵です。
「子どもが好きやからです!」
日雇い労働者の街で38年にわたり活動を続けている「こどもの里」は、1977年、釜ヶ崎のこどもたちに健全で自由な遊び場を提供したいとの思いから、こどもたちの遊び場(ミニ児童館)「子どもの広場」として「聖フランシスコ会『ふるさとの家』」の2階の一室で始まりました。“さと”と呼ばれるこの場所は、0歳からおよそ20歳までの子どもを、国籍も障害の有無も関係なく受け入れています。子どもたちの居場所であると同時に、親の休息の場でもある「こどもの里」は、地域の貴重な集いの場なのです。
“さと”にボランティアで通ううちに、重江監督は子どもたちと遊ぶのが楽しくなって、そのあり余るパワーに元気をもらったと言います。元気で明るいけれど、悩みや問題を抱えているこどもたちには、人の痛みが分かる優しさもあるということもわかってきました。この映画は、そんな子どもたちと、子どもたちに寄り添う職員に密着したドキュメンタリーなのです。
予告編だけでワクワクしませんか?大阪市西成区出身のラッパーSHINGO★西成(しんご にしなり)さんの音楽も最高。悲惨な現実、深刻な問題にフォーカスするというより、もちろん大変なことやしんどいことはいっぱいあるけど、「わたしはあんたの味方やで!」「さとにきたらええやん」と言ってもらえる場所を映画を通して観客も体験している。そんな気がします。子どもたちのしんどさも、親のしんどさも包み込んで、“さと”は地域のみんなのふるさとなのです。
この映画を早速見たくなった方は、公式ホームページで順次公開する劇場をチェックしてください→こちらをクリック
<2016年6月25日以降の上映館(2016年6月24日現在の予定)>
東京都 6月11日(土)~ ポレポレ東中野 03-3371-0088
大阪府 7月 2日(土)~ 第七藝術劇場 06-6302-2073
兵庫県 7月23日(土)~8月5日(金) 神戸アートビレッジセンター 078-512-5500
愛知県 7月23日(土)~ 名古屋シネマテーク 052-733-3959
神奈川県 7月30日(土)~ 川崎市アートセンター 044-955-0107
宮崎県 7月23日(土)~8月19日(金) 宮崎キネマ館 0985-28-1162
福岡県 7月30日(土)~ KBCシネマ 092-751-4268
広島県 8月 1日(月)~21日(日) 横川シネマ 082-231-1001
長野県 8月20日(土) 松本シネマセレクト 0263-98-4928
神奈川県 8月20日(土)~ 横浜シネマジャック&ベティ 045-243-9800
愛媛県 8月27日(土)~9月2日(金) シネマルナティック 089-933-9240
広島県 2016年夏 シネマ尾道 0848-24-8222
新潟県 2016年夏 新潟市民映画館シネ・ウインド 025-243-5530
京都府 2016年秋 京都シネマ 075-353-4723
新潟県 2016年秋 高田世界館 025-520-7442
神奈川県 時期未定 アミューあつぎ映画.comシネマ 046-206-4541