「実録・コインランドリー屋さん」をお読みくださったみなさま、ありがとうございます。一部の読者の方からは「面白い」と熱い評価をいただいていたのですが、コインランドリーについてはいったんネタが尽きたので、いったん休止として、ここからは「実録・大家さん」と題して連載します。「大家さん」というのもなかなか魅力的だとは思うのですが、知人に話をするとコインランドリーほど、みなさん身を乗り出して聞こうとはなさりません。コインランドリーは未知の世界な感じがしますが、大家さんは「なんとなくわかる」からでしょうか。ただ、これまでと同じように、赤裸々に大家さんの裏側を紹介してゆきますので、しばらくお付き合いください。
そもそも、私は先祖代々の大きな土地を持っている地主の家系などではなく、戦争で焼け出された父は小学生のころから「塩田」で働き、家計を支えてきました。父は市役所に勤め、母は小学校の教諭として共働きしながら私と姉を育ててくれました。私が育った家は、特別に貧しいということはありませんでしたが、それほどお金持ちという家でもなく、「サザエさん」のようなごく一般的な家庭でした。
私は大学を卒業してから新聞社に入り、最初に勤めた産経新聞社を4年で退社し、当時は朝日新聞社に勤めていました。転職を1度経験していることもあり、いつかはまた転職するかもしれないなと思いながら、いざという時に、思い切って転職できるように、それなりの蓄えをしておかなければと思いながらサラリーマン生活を続けていました。
そんなある日、40歳をすぎたころに、本屋さんでふと目に止まった本が「サラリーマンでも『大家さん』になれる46の秘訣」という本でした。いざという時のためになんらかの副収入を手に入れておきたいけれども、仕事は忙しいし、かといって株式投資はインサイダー取引になる可能性もあるので会社では禁じられていますし、でも銀行にお金を預けていても金利はほとんどゼロだし、なにかいいことはないかなと思っていたところで、単純に「大家さんならあまり手間もかからず、副業としては、いいのでは?」と思ったのです。
当時は、サラリーマンとしての収入と信用を担保に金融機関から融資を受けて、マンションなどを買うという投資法がもてはやされていました。そういうセミナーにも参加したのですが、なんだか借金して投資するというのはうさんくさい感じがして、どうもなじめませんでした。ノウハウも持っていないのに、いきなり借金をするのは危険だと思い、自分の貯金を使って安全確実に大家さん業を経験できないかと考え、自嘲気味に「貯金大家さん」と名付けた資産運用をはじめたのです。
「貯金大家さん」というのは、文字通り貯金を使って、つまり、融資をうけずに自分のお金で不動産を買って大家さんになるということです。借金をしていないので、万が一失敗をしても最初に使った貯金の分だけで済むなら、「勉強代」ということで許せるかもしれない。そう思って「勉強」のために、できるだけ安い物件を探しました。
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