ミュージカル『マチルダ』の東京公演が、東急シアターオーブで3月25日(土)に開幕しました。本作は東京で5月6日(土)まで上演され、その後大阪・梅田芸術劇場メインホールで、5月28日(日)から6月4日(日)まで上演されます。
本作で、ミス・トランチブルを演じている木村達成さん(大貫勇輔さん、小野田龍之介さんとトリプルキャスト)と、ミスター・ワームウッドを演じている田代万里生さん(トレンディエンジェル 斎藤司さんとダブルキャスト)の対談後編です。「下」では、これまでの共演を経てのお互いへの印象、作品の見どころや音楽の魅力などについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
(2月中旬にインタビューしました。)
――『エリザベート』の父と息子役で出会い、『ジャック・ザ・リッパー』では田代さんの驚くような役を経て、今度はふたりとも個性の強い役に挑戦されますが、役者としての資質的なことや性格など、お互いをどう思っていますか?
木村:万里生さんが自分でどう思っているか分かりませんが、傍から見ていると、プレイする時は120パーセントくらいの球を常に投げ続けている、すごく強い心の持ち主なんだろうなと客観的に見ていて感じます。もちろん家などで、一人で台本を読んでいる時に悩んでいることもあるんでしょうが、やる時は悩みなど一切忘れて、自分から出てきたものを最大限出すというイメージがあります。
田代:達成は、さっき尖っていると言っていましたけど、やっぱり役者であることの自覚がすごく強いイメージがあります。表に出さないし、言葉にはしないし、「ねえ、みんな!」というタイプではないけど、自分の中ではすごくいろいろ考えていて、『エリザベート』の時も演出家からいろいろ言われたことをよく振り返って考えていて。
達成なりの「俺はこう思うんですよ」という意思を強く持っているイメージがある。『ジャック・ザ・リッパー』のダニエルをやった時も、主演だから、それを背負っている達成もまた全然違う人物に見えたし。でも一幕ラストに、大汗かいて高音張り上げて一緒にはけた瞬間に、子犬のような表情で、「万里生さん、今の俺の高音大丈夫でした?」って何度も聞いてくるチャーミングなところもあるみたいな(笑)。
木村:大丈夫だったかなという不安感が強かったから。
田代:少年のような可愛らしさもある中で、確固たる鋭い意志も垣間見れる。あれからお互い経験を経て、また全然違う役でこうして出会えたのは嬉しいです。映画を見ても、トランチブルを演じたいと直感で思う人はなかなかいないと思うんですよね。
木村:そうなんだ。
田代:映画見て思った?
木村:思った。
田代:すごい!
木村:変態ですもん。
田代:映画は女性がやっているし。だから、それを面白いと思うところが、他の役者とはひと味違うところ。先日、WOWOWで達成のコンサートの放送があって、1曲目がアカペラで始まっていたんです。
木村:見たんですか?
田代:ふふふ(笑)。アカペラで始まっていたから、これはもう飾り付けされたものじゃなくて、俺を届けたいんだと。番組でのコメントも、「ミュージカルナンバーのコンサートはやりたくない、俺は役者だ」と。
木村:それ、責めてるんですか?
(一同笑)
田代:いや、やりたいことがしっかりしている。明確だということ。
木村:やるならば、というだけです。もしやるんだったら、全曲ミュージカルナンバーよりは、自分が楽しみたかった。それが繋がったお客様に楽しんでもらえる相乗効果でもあると思いますし。
――木村さんは、常に攻めて貪欲な「攻めの人」のイメージがあります。田代さんは、それをいかようにも受け止められそうだなと。
田代:いやいやいや、そんなことない!
(一同笑)
木村:いつになったら自分にもこんな包容力が出るんだろうと思います。包容力が欲しいです。猪突猛進すぎて疲れますもん、この生き方。僕はすごく疲れる生き方を選択してしまったなと思います。
田代:今、何歳だっけ。
木村:29歳です。
田代:僕と10歳違うんだ。
――じゃあ、10年経ったら田代さんのようになるかもしれませんね。
田代:いやいやいや。
木村:万里生さんは、29歳の時からちゃんと包容力を兼ね備えていました。
田代:全然違いますけど(笑)。
<取材協力>
■木村達成さん、田代万里生さん
ヘアメイク:エムドルフィン
■田代万里生さん
衣装:CRICKET
スタイリスト:坂能 翆(サカノウミドリ)
※アイデアニュース有料会員限定部分には、作品の見どころや音楽の魅力について伺った内容やお客さまへのメッセージなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
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■田代:衣装や美術セットは、全部海外から運ばれたもの。稽古場にも海外の風が吹く
■田代:子供は正直だから、真実を伴ってセリフを伝える必要がある。試され学ぶ日々
■木村:曲と曲の間の意味を、理解できるミュージカル。そこを意識して幕を開けたい
■木村:観劇スタイルは各々だけど、「盛り上がってほしいな」という気持ちは常に
<Daiwa House presents ミュージカル『マチルダ』>
【東京公演】2023年3月25日(土)~5月6日(土) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2023年5月28日(日)~6月4日(日) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://matilda2023.jp
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マチルダの初演を楽しく観られるように紐解いてくださってありがとうございました。
田代万里生さんx木村達成さんのありそうでなかった組み合わせは新鮮で、万里生さんが常に共演者を温かく見守っていることが伝わり、達成さんは見守られながら自身の役に向き合っている姿が目に浮かびました。
霧矢さんx咲妃さん、小野田さんx昆さんのインタビューも読んで、見どころが多くて楽しみが絶えない作品です。