ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』が2023年5月15日(月)に開幕しました。6月5日(月)まで東京・新国立劇場 中劇場で、6月9日(金)から12日(月)まで梅田芸術劇場メインホールで、6月17日(土)と18日(日)に福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールで、6月24日(土)と25日(日)に富山・オーバード・ホールで、6月30日(金)と7月1日(土)に愛知県芸術劇場 大ホールで上演されます。
物語の主人公は、名作『ピーターパン』の作者である劇作家ジェームス・バリ。スランプから抜け出せないバリが、ある家族に出会い、子供たちとの出逢いを通じて物語を書き上げ、劇場で『ピーターパン』を上演するまでを描いた、実話に基づくストーリーです。2017年には東急シアターオーブで、ツアー版招聘公演が上演されました。今回の日本初演は、小山ゆうなさん演出の新演出版です。アイデアニュースでは、シルヴィア役の濱田めぐみさんにインタビューしました。インタビューは上、下に分けて掲載します。「上」では、濱田さんが製作発表でお話しされていた「素直に生きていくことの難しさを感じる」とおっしゃっていたこと、『メリー・ポピンズ』とテーマ的に近いものを感じているということなどについて伺った内容を紹介します。
「下」では、『ファインディング・ネバーランド』、『メリー・ポピンズ』、『ピーター・パン』、『オリバー!』の4作品に感じる共通点のこと、シルヴィアの役作りにおけるメリー・ポピンズの存在について、『バンズ・ヴィジット』のディナと本作におけるシルヴィアの役作りの違いのことなどについて伺った内容を紹介します。
――製作発表で、「素直に生きていくことの難しさと勇気を感じる」とおっしゃっていましたが、もう少し詳しくお聞かせください。
私自身は、比較的素直に生きているほうだと思うんですが、本読みをやっていく中で感じたことです。この作品には、大人の世界を描いているところがあります。例えば、バリがなかなか入り込めない社交や、バリ自身の家柄のことが、パーティーのシーンなどに描かれています。結局、「バリの子どもの部分」が癒されていないから苦しくなっているところを、客観的に見た時に、奥さんのメアリーも泣きたいのに泣かずに苦笑いしていたり、本当はみんな笑いたいのに笑いをこらえて怖い顔をしてしまっているとか、大人の心がすごく疲弊しているんだなという世界を、『ファインディング・ネバーランド』の中から感じ取れたんです。どうしてそう見えるのかなと思ったんですけど、大人たちが自分の心に素直になれていないからなんだろうなという印象です。
子どもたちの話をすると、ピーターが、四兄弟の中で一番哲学的というか、他の三人とはちょっと違っているんです。彼は物語も書くし、空想の世界の中でも遊ぶし、洞察力も鋭く、すぐさま共感して、大人数で遊んだりは苦手だけれど、元々はすごくひょうきんで、「みんなこっちに来い!」みたいにおどけるような子だったんですが、父親が亡くなってからは一度も泣いたことがないんです。本当は悲しくて泣きたいのに。「それは、大人の振る舞い」とピーターは理解していて、そうすれば傷つかないだろうと思っているんです。「こうであらねばならない、周りからこう見えているべきだ」と。
他の三人は、お父さんが死んでわ~っと泣いて、ちょっと癒されて、次に進めているけれども、ピーターはいつまでも「泣かなかったら僕は大人に近づいて、苦しまなくて済むような気がする」と言って、みんなと距離を置いてひとりぽつんといる。舞台の最初から、ピーターはそういうスタンスです。
例えばこのコロナ禍でいうと、自分の心に素直に生きられない状況は、ストレスが溜まるし苦しいんだなと感じました。私は今回そういうことをものすごく感じたんですよね。シルヴィアという役柄のせいもあるかもしれませんけど。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、『メリー・ポピンズ』とテーマ的に近いものを感じているということについて伺った内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。26日掲載予定のインタビュー「下」では、『ファインディング・ネバーランド』、『メリー・ポピンズ』、『ピーター・パン』、『オリバー!』の4作品に感じる共通点のこと、シルヴィアの役作りにおけるメリー・ポピンズの存在について、『バンズ・ヴィジット』のディナと本作におけるシルヴィアの役作りの違いのことについて伺った内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■バリ自身が、ピーター・パン。シルヴィアは、そこをすごくキャッチできたのだと
■この作品には、『メリー・ポピンズ』と、テーマ的にすごく近いものを感じている
■うかうかしているとメリーっぽい声になるから、「危なっ!」と思うことも
■『ピーター・パン』『オリバー!』『メリー・ポピンズ』と合わせて「兄弟姉妹」
<ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』>
【東京公演】2023年5月15日(月)~6月5日(月) 新国立劇場 中劇場
【大阪公演】2023年6月9日(金)~6月12日(月) 梅田芸術劇場メインホール
【久留米公演】2023年6月17日(土)〜6月18日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【富山公演】2023年6月24日(土)〜6月25日(日) オーバード・ホール
【名古屋公演】2023年6月30日(金)〜7月1日(土) 愛知県芸術劇場 大ホール
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/findingneverland2023/
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いつも思いますが、はまめぐさんの言葉って、深いですね。
役の解釈や向き合い方をインタビューで知ると、もう一回舞台を観たくなります。そして、へーーって、感嘆してしまうのですよね。