2022年の演劇界の成果をたたえる第30回 読売演劇大賞の贈賞式が、2023年2月24日(金)に行われました。アイデアニュースでは、優秀男優賞を受賞された廣瀬友祐さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。上では、受賞された直後の想い、最優秀男優賞を受賞された段田安則さんのスピーチのこと、「たとえ1人でも、その人を幸せにできる表現をしたい」という想いなどについて伺った内容を紹介します。
下では、香山弥左衛門役(海宝直人さんとダブルキャスト)で出演された『太平洋序曲』のこと、今年がどんな年になりそうかというお話、ご自身にとっての「個性と孤独」のこと、共演者やカンパニーなど、一緒に仕事をしている人たちにこそ認めてもらいたいという、廣瀬さんの想いの背景についてお話ししてくださった内容などを紹介します。
(※インタビューは、3月末に実施しました)
ーー読売演劇大賞優秀俳優賞の贈賞式が終わりましたが、実感はわいていますか?
贈賞式で名前を呼ばれて登壇した、その一瞬だったんですけど、あの瞬間だけ実感というか本当にとらせてもらえたんだと感じました。でも、ステージを降りて元の席に戻ったら、「あれ夢だったのかな」みたいな感覚になりました。実感したのは本当にその瞬間ぐらいで、夢のような何かという感じです。
わかりやすい評価を日々もらえるわけでもなく、自分の物差しも世間的な物差しも曖昧というか、多種多様な、それぞれの魅力が活きるからこその世界でもあると思うんです。スポーツとは違って勝敗がはっきりしているわけでもないですから。その中で、迷ったり立ち止まったりしながら、「自分が今、正しいところに出ているか」「今、向かっている先がいいのか」などと考えることが多々ある中で、今回ありがたい賞をいただけたことに関しては、やっぱり自信を持つべきだろうし、感謝しています。
ーー贈賞式を経てトロフィーをもらってとなると、ちょっと感覚が変わるという感じですか?
どちらかと言ったら、プレッシャーというか、この賞をいただいたからには、生半可な気持ちではと。今までも、どんな仕事にせよ、そうやって向き合ってきたつもりですが、今まで以上に誠実に、真摯に向き合わねばという思いにはなりましたね。
ーー受賞された方々のスピーチを聞きながら、何か思うことはありましたか?
一番印象に残っていて感動的だったのは、やっぱり大賞を受賞された「劇団チョコレートケーキ」の方々のスピーチです。世間的にも実力が認められていて、今までにもいろいろな作品を上演されていて、その中で今回30回目の対象年に公演した作品で受賞された。
尊敬してやまない先輩方は、間違いなく素晴らしいし、また何か違う切り口で本当に夢を掴まれたというか、そんな世界が広がった瞬間でした。新しい扉を開けた瞬間の光景を見た感じがして、この世界にある「夢」というものを僕自身も改めて感じられました。基本は、辛いことの方が多いんですが、こんなにも幸せな瞬間が、この世界にあるんだなということが、僕自身にとっても光になりました。
ーー受賞のトロフィーは、ご自宅ですか?
はい! もう、緊張で、汗だくで、超汚れてたんですよ(笑)。磨いて、拭いて、綺麗にしまって置いてあります。
ーー会場の様子を拝見していて、望海(風斗)さんと会った時に、知ってる人同士がいたときの、ほっとした感じが、お互いに出ているなと思いました。
会場入りした時に、まず説明を聞く時間があって、望海さんが隣に来てくれて。ガッツリ決めたカッコいい望海さんも、「はぁ、もう、怖いっ……」みたいな同じ気持ちでいたので、その姿を見ながら「良かった!」と、ちょっと気が楽になって(笑)。全員全く知らないとはならなかったので、本当にありがたかったですよね。
ーー会場内や、その前後などでお話しされた方々など、何か印象的な出会いはありましたか?
緊張していたので、ほぼ誰とも喋っていないんですけれど、テーブルに一緒に座ったシンコーチームの社長とスタッフに、改めておめでとうと言っていただきました。これまでにもお世話になってきた制作プロデューサーだったり、お会いした方々とは挨拶しながら「おめでとうございます」と声をかけてもらったりして、嬉しかったです。
今回受賞させていただいたことで、対応が変わる大人の方々もいる世界だと思うんですよね。数字的なものやビジネスとしての選択がされた時に、その選択を受け取る側として、どこか愛が薄れているなと感じてしまったりとか、何か寂しいなって感じてしまったり、僕自身悲しい瞬間もあったんです。もちろんそれは、ビジネスをしていく上で、必要なことでもありますし、そういう方々も、その瞬間瞬間を一生懸命選択しての結果だったとも思うんです。
でもやはり、この賞をいただいたことで、今まではそんなに興味をもっていらっしゃらなかった方がわかりやすく来られるということもあるので、僕自身は、そういうところを見極めながらと。本当に愛を感じたり、本心で接してくれて、本心でそう思ってくれている人たちからのお祝いメッセージなどは、やっぱりすごく嬉しかったです。
この賞をいただくまでやってきたことは、僕にとって自分自身をひとつ肯定できるものでもありますし、僕を応援したいと思って、応援してくれているファンのみんなの気持ちも、ちょっと肯定してあげられるような出来事になったのかなということが、何よりも嬉しかったです。自分の喜びというよりも、周りが喜んでくれたのがありがたかったです。
ーーそうなんですね。
本心というところでいうと、次は、ミュージカル『マギ ーバルバッド狂騒曲ー』で、2.5次元作品を久々にやります。演出家の吉谷晃太郎さんが、熱烈にラブレターみたいなものを会社づてに送ってきてくれて、1回会ってほしいと。以前、1回仕事で関わったことがあるんですが、直接会いに来てくださっていろいろ話をして、もうそれだけでやる価値があるというか。
今までにそんなことはなかったし、海外輸入物はもちろん素晴らしいですが、商業的で大きな作品にばかりかまけて、「本当に大切な根底にあるものを、見失ってませんか?」みたいな現象が結構あると思いますし、こんなにも僕というものにこだわってくれて、求めてくれてる人に応えない選択肢はないと、今回やらせてもらうことになりました。すごく楽しみたいと思っています。
<取材協力>
衣装:スーツ・ネクタイ・靴[すべて参考商品](BOSS)/ヒューゴ ボス ジャパン(TEL: 03-5774-7670)
その他/スタイリスト私物
スタイリスト:秋山貴紀(A Inc.)
※アイデアニュース有料会員限定部分には、最優秀男優賞を受賞された段田安則さんのスピーチのこと、「たとえ1人でも、その人を幸せにできる表現をしたい」という想いなどについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。28日掲載予定のインタビュー「下」では、香山弥左衛門役(海宝直人さんとダブルキャスト)で出演された『太平洋序曲』のこと、今年がどんな年になりそうかというお話、ご自身にとっての「個性と孤独」のこと、共演者やカンパニーなど、一緒に仕事をしている人たちにこそ認めてもらいたいという、廣瀬さんの想いの背景についてお話ししてくださった内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「おめでとう、すごいじゃん」って喜んでくれた家族。母は「改めて頑張らないとね」と
■段田安則さんのスピーチに、「人生の全て」に対する向き合い方の素晴らしさも感じた
■たとえ1人でも、その人を幸せにできる表現を。贈賞式の直後はもう「次の稽古を」と
■段田さんのように、いつまでも謙虚で、その人ならではの空気感や光を持ってる方に憧れる
<ライブ情報>
廣瀬友祐 10th Anniversary Live tour ~ refresH ~
日程・エリア:2023年7月13日(木)大阪、7月14 日(金)愛知、7月21日(金) 東京
※ ライブの詳細は後日発表になります
※ 2023年7月9日(日)神奈川で、廣瀬友祐ファンクラブ「H」限定 ツアー直前 FC イベント開催予定
公式サイト
https://hiroseyusuke.info
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この記事がきっかけで有料会員になりました。昨年、廣瀬さんを舞台で拝見してから応援しています。今回受賞されて私の目に狂いはなかった!と。廣瀬さんのお気持ち、考え方やお人柄を深く知ることができてよりファンになりました。これからは過去のインタビューの有料部分をじっくり読ませて頂く楽しみができました。素敵な写真もありがとうございます♪