「サリエリ、悪い人じゃないよなと」『ダ・ポンテ』相葉裕樹(上) | アイデアニュース

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「サリエリ、悪い人じゃないよなと」『ダ・ポンテ』相葉裕樹(上)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2023年6月19日

2023年6月21日(水)から25日(日)まで、東京・シアター1010でプレビュー公演が、6月30日(金)から7月1日(土)まで愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで、7月9日(日)から16日(日)まで東京・東京建物Brillia HALLで、7月20日(木)から24日(月)まで大阪・新歌舞伎座で、音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』が上演されます。本作は、モーツァルトの名作オペラ『フィガロの結婚』『ドン・ジ ョバンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』誕生の知られざる背景を描く、世界初演の全く新しい音楽劇です。女好きでペテン師かつ類稀なる人間観察力を持つ天才詩人である主人公ダ・ポンテを海宝直人さんが、作曲家モーツァルトを平間壮一さんが演じます。

アイデアニュースでは、二人と敵対するウィーンの宮廷作曲家アントニオ・サリエリを演じる相葉裕樹さんにインタビューしました。上下に分けてお届けします。「上」の無料部分では、カンパニーや作品、相葉さんがイメージされているサリエリ役のことなどについて伺った内容を紹介します。有料部分では、『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』に続いての音楽家役であること、陰がある役を演じることの魅力などについて伺った内容を紹介します。「下」の無料部分では、作品の音楽の魅力などについてお話ししてくださった内容を紹介します。有料部分では、『レ・ミゼラブル』『アナスタシア』に続いての共演となる海宝さんのこと、今回初共演となる平間さんのこと、ヨーゼフ二世役の八十田勇一さんのことなどについて伺った内容とお客さまへのメッセージを紹介します。

相葉裕樹さん=撮影・岩村美佳
相葉裕樹さん=撮影・岩村美佳

――稽古が始まっていると伺っていますが、どんなカンパニーですか?

演出の青木豪さんとは初めましてなんですが、穏やかな方で、コメディーや笑いがお好きな方なんだなという第一印象です。稽古は、まず自由に動くところから作っていきました。今一巡が終わって、最後までついて、二週目に突入しているんですが、「なるほど、大まかにこういう流れなんだな」というところです。ここからは中身を作るというか、整合性を取っていったりというところです。本当に和気藹々としたカンパニーで、ぴりぴりすることもなく進んでいます。

――歌唱披露イベントも、和気藹々でしたね。

演出の豪さんを始め、周りのスタッフさんもキャスト陣も、穏やかな人が多いんじゃないかなという印象で、楽しくお稽古しています。

――オリジナル作品ならではの創作の面白さと大変さを伺いたいです。

無限の可能性は秘めているなと思いますし、やっていく中で「ここがどうしてもうまくいかない」とか「どうしてもこのキーが出ない」ということはやっぱり出てくるので、そうした時に臨機応変に変えられるというのはありますね。

海外からの作品だと歌詞や台詞を変更できないということが結構あるんですが、本当に分かりやすくできる、易しく親切にお届けできるのは、オリジナル作品のよさなのではないかなと思います。

――そのリードは青木さんがされているんですか?

ハンドルは豪さんが持っていて、僕らがそれに従うような感じですが、豪さんも「何か気持ち悪いところある?」「どう、大丈夫?」と聞いてくださるので、「大丈夫です」という感じで。ちょっと気になるところがあれば、調整して稽古したり、役者陣が気持ち悪くなく動けるようにしてくださる、役者の意見を汲んでくださるのはありがたいなと思います。豪さんと一緒に作っているんだなという感覚はあります。

――物語についてはどう感じていますか?

波乱万丈の人生を送ったダ・ポンテの物語をぎゅっと三時間くらいの作品に収めていますので、展開がとにかく早いです。お客さまも僕ら自身も、そのスピード感に乗っかっていかなければという難しさはありますし、流れていって、どんどん次のシーンにいってしまう怖さはあるなと思います。

皆さんやっぱりすぐできてしまうので、歌ったり踊ったり芝居したり、必要なボーダーまではすぐ行くんですよ。これから、核の部分をもっともっと構築していかないと、「何を見せたかったんだろう?」ということになりかねないので、本の面白さを表現するという観点でも、余白をしっかりと埋められるように、自分たちで作っていかないといけないとは感じています。

――オペラを作るくだりなどで、「作る」→「だめ」→「作る」→「できた。よかった」というような事実関係ばかりが連なりかねない、ということですよね。

例えば、僕が演じるサリエリは宮廷楽長ですが、ダ・ポンテに出会って、陛下に紹介するまでの間の話はほぼなくて、「同郷」という紹介のみになります。ダ・ポンテの何かを見て「本当に才能があるんだ」と感化されたわけでもない感じなので、そういうところの表現が、難しいなと思います。「同郷だよ」と他の人の推薦があったからといって、そんな簡単に陛下に会わせるって、本当だったら相当なことだと思いますし。その感じは、それはそれとして観てもらえればと思います。

――サリエリとしては、その隙間はどうやって埋めていかれていますか?

とにかくテンポが速いです。だから観やすく、気楽に観られるライトな作品になっている気はします。モーツァルトに対しての確執だったりとかも、今回の作品では描かれてはいないんです。ライバル心を燃やしているシーンもあまりないです。サリエリ自身の出番も要所要所なので、そこでうまくポイントを掴んで表現していかないと、とは思いますね。

――そのポイントとなるものを具体的な言葉にするといかがでしょうか?

モーツァルトに対する嫉妬心、音楽や自分の作品だったり、音楽を愛すること。それだけじゃなくて、サリエリは、若い世代を育てたいなど、本当に芸術やイタリアオペラに貢献したいという想いが結構強かったみたいで、そのあたりが核になりそうです。なので、「ただ悪い役」みたいには捉えないようにしようと思っています。この作品での描かれ方においては、楽曲の面からも、「ヴィヴァ、イタリア!」みたいに歌い上げられるキャラクターが、悪い人ではないなと(笑)。

――悪い人にあのナンバーは来ないですよね。

まだ三週間ありますし、本番に入ってからも変わると思いますけれど。今悩んでいるのは、どういうバランス感でサリエリというキャラクターを表現しようかということです。もしかしたらもっと悪役っぽくやったほうがいいのかとか、そのあたりです。

――最初にサリエリ役と聞いた時は、もうちょっと映画や『ロックオペラ モーツァルト』みたいな、ちょっと陰なイメージはありましたか?

陰なイメージはあったんですが、今回はそうじゃない気がしています。迷いながら、構築中です。

――青木さんとは、その部分についてお話されましたか?

シーンごとにお互いに共有しあったり、教えていただいたりしています。豪さんも笑いというかコミカルな部分が好きな演出家さんだということが分かったので、要素としてコミカル要素があってもいいのかもとは思っています。

<取材協力>
ヘアメイク:菅野 綾香
スタイリスト:吉田ナオキ

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』に続いての音楽家役であること、陰がある役を演じることの魅力などについてなどインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。20日掲載予定のインタビュー「下」の無料部分では、作品の音楽の魅力などについてお話ししてくださった内容を紹介します。有料部分では、『レ・ミゼラブル』『アナスタシア』に続いての共演となる海宝さんのこと、今回初共演となる平間さんのこと、ヨーゼフ二世役の八十田勇一さんのことなどについて伺った内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■パガニーニとサリエリの共通点は、音楽を愛する想いと劣等感からくるような力

■サリエリの中には、モーツァルトに対する確執というか嫉妬心を感じる

■陰の部分の魅力は、逃れられないくらい強い力を持っているところにある

■陽のキャラクターには出せないものが悪役にはある。陰ある役は、演じ甲斐が

<音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』>
【プレビュー公演】2023年6月21日(水)~25日(日) シアター1010
【愛知公演】2023年6月30日(金)~7月1日(土)日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【東京公演】2023年7月9日(日)~16日(日)東京建物Brillia HALL
【大阪公演】2023年7月20日(木)~24日(月)新歌舞伎座
公式サイト
https://www.tohostage.com/dp/

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相葉裕樹さん=撮影・岩村美佳
相葉裕樹さん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. しぃちゃん より:

    どんな心持ちで作品の幕が上がるのを待てばいいのだろうか… オリジナル作品の初演を観劇するにあたっての、あるあるな惑い。 親切に、出来うる限り詳細に、そんな惑いから作品の魅力に誘(いざな)っていただいて、記事のお蔭で今は、ただただ『早く観たい!!!』という気持ちです。
    見どころも増えてしまいましたから、ticketを増やさなければ…

  2. レモン より:

    作品によっては酷い描かれ方をする事もあるサリエリを、相葉さんはどう演じるのかなとどきどきしていたのですが、このインタビューを読んでとても安心しました。いつも丁寧に役へ向き合ってくれる相葉さんのサリエリを劇場で観るのを楽しみにしています。
    素敵な記事をありがとうございます。

  3. うさごん より:

    歌唱披露の段階ではViva!!!の印象が強く、どちらかというとサリエリはおもしろ枠なのかも?と思っていましたが、今回のインタビューで相葉さんがサリエリの陰の部分、嫉妬や影の部分も描かれると仰っていたので、サリエリを劇場で見るのがとても楽しみになりました!
    素敵なインタビューをありがとうございます!

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