ミュージカル『ビリー・エリオット』の東京公演が、2024年7月27日(土)から10月26日(土)まで東京・東京建物Brillia HALL で、11月9日(土)から11月24日(日)まで大阪・SkyシアターMBSで上演されます。
ビリーの兄であるトニーを演じる西川大貴さん(Wキャスト:吉田広大さん)のインタビュー後編です。「下」では、4人のビリーそれぞれの魅力、西川さんが制作された『雨が止まない世界なら』のお話や、ダブルキャストの吉田さんのお話などを紹介します。
ーー成長とともにフラストレーションを抱えつつ、でも家族のことも思いつつみたいな、いろんなものが中に渦巻いているような存在ですかね、トニーって。4人の弟ビリーは、今ご一緒されていて、いかがですか?
徐々に4人の個性がわかってきたかなと。開幕したら多分また全然変わってくると思いますが、(浅田)良舞はね、元々バレエの安定感があって、すごいなと思っていましたが、芝居もすごくフラットにというか、ニュートラルにスッとやれていて、日々進化してるなと思って見てますね。ただ、日常生活は普通にやんちゃなワルガキです(笑)。舞台上での落ち着きはさすがですね。
(石黒)瑛土は、スイッチが入ったときの爆発力が凄い。同い歳ぐらいのときの自分を思い返すとすごく理解できるというか。スイッチが入るときは入るんですけど、入らないと一生入らないみたいな。 「集中しろよ、お前」みたいな(笑)。でも、ガッ!と入ったとき、すごくいい表情をするんです。スイッチを持っているのは、とても大切な事だと思います。本番に強いんじゃないでしょうかね。
(井上)宇一郎は、年齢も上で14歳なんですよね。子役の宿命、声変わりと戦ってますね。僕も14歳〜15歳の頃は、日々格闘してました。でも、その格闘感がビリーにピッタリなんじゃないかなって。特に、「アングリーダンス」の怒りや葛藤の部分では、大人と子供の狭間にいるような、儚さやエネルギーが感じられて。この14歳の宇一郎ビリーを見れるのは貴重じゃないでしょうか。
(春山)嘉夢一は、優等生と見せかけて、大人をちゃんと観察している感じがして好きですね(笑)。それも一周回ってビリーっぽいのかなと。ぱっと見、一番優等生ビリーなんですよ。でも時に荒々しさみたいなものが見えて、それがまた良いんです。お客様の前で、ピュアなビリーに見えるか、擦れたビリーに見えるか。どういうビリーになっていくんだろうなという感じです。
ーーそうなんですね。
皆さん、ビリーに関しては、たくさんお褒めになると思うんですけど、同じ子役をやってた者として、「そんなに優しい目では見ねえぞ」という兄としての視点で普段から接しております(笑)。それはさておき…、稽古場での通し稽古期間を経て、全員ワンステップ・ツーステップ進化したというか、どんどんいろんな魅力が見えてきて、「彼はこういうビリーになっていくのかな」と色が鮮明になってきた感じがあります。本番の舞台では、全員が全力でぶつかってくると思うので、負けないようにというか、ちゃんとぶつかり返せるようにしたいですね。
ビリーたちは1年間も稽古を積み重ねてきて、色々と芝居の決まり事もあったりするんですけど、最終的には裸でぶつかってくるみたいな。そこがいいですよね。再三言っている、『ビリー・エリオット』に組み込まれたクリエイター達の繊細なこだわりと、その場の本当にナチュラルな魅力というか、超自然主義的な。そういう相反するエネルギーが舞台上に渦巻く作品になっているっていうのを、やっぱりビリーが象徴しているんじゃないかなと思います。
ーーこれから始まるにあたって、改めてお客様にお伝えしたいことはありますか?
これほどまでに「観に来て後悔しません!」って言い切れる作品ってあまりないんじゃないかなと思います。先ほど言った通り、あくまで僕の視点になりますけど、本当に性別とか年齢とか関係なく、観客それぞれに何か刺さる場所がある。そう言うとありきたりになってしまうかもしれないですが、本当に、そう思います。ミュージカル好きの人も、あまり得意でない人も、ダンス好きの人も、音楽好きの人も満足できると思います。
ーー別に舞台が好きではなくても、この作品に刺さらないことはないだろうという感じがしますよね。
そう思います。もちろんビリーの成長物語としてとにかく素敵な作品。彼が街の希望であるのも本当だろうし。一方で、それを取り巻く大人たちには、すごく生々しいドラマがあって。ビリーが希望だと言っても、だからって問題が解決するわけじゃない。夢物語じゃないんだよという視点もまた興味深い。でもそれが両方嘘じゃないというか、いろいろ矛盾するものが1個にまとまっているんです。いろんな少女たちの物語と、炭鉱夫の物語と、警官達の物語が1曲にまとまっていたりとか。「矛盾」っていうのはこの作品の大きなキーワードだと感じています。
ーーここからは、少し西川さんの最近のご活動をお伺いできたらなと思っています。ちょっと時間が経ちましたけど、『雨が止まない世界なら』がミュージカルとして上演されて、私も拝見しました。作品をゼロから生み出したところから始まって、今どんな手応えなどを感じていらっしゃいますか?
「ここまでこれたな」というのと、「まだまだ先は長いな」というのと、なんか不思議な感覚ですね。「やれた」という感覚と「全然やれてない」という感覚が両方あるというような。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、西川さんが制作された『雨が止まない世界なら』のお話や、ダブルキャストの吉田さんのお話などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■矛盾するものがぶつかったときに起こる化学反応に、すごく価値があると思う
■ダブルキャストの吉田広大くんとは、『雨が止まない世界なら』で出演者と演出家
■100%リスペクトできて、自分に無いものを持っている吉田広大くんが同じ役
■今回は、俳優・吉田広大だが、全ミュージカル界が、彼の歌唱力に気づいてほしい
<ミュージカル『ビリー・エリオット』>
【オープニング公演】2024年7月27日(土)~8月1日(木) 東京建物Brillia HALL (豊島区立芸術文化劇場)
【東京公演】2024年8月2日(金)~10月26日(土) 東京建物Brillia HALL (豊島区立芸術文化劇場)
【大阪公演】2024年11月9日(土)~11月24日(日) SkyシアターMBS
公式サイト
https://billy2024.com
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素敵なお写真と共に、「ビリー・エリオット」の深掘りした大変興味深いお話しをありがとうございました。
観劇前にも何度か拝読させていただきましたが、観劇後は観たシーンを思い出しながら読み進めるという楽しみ方をさせていただいております。(何度も読んでしまいます)
そして、「雨が止まない世界なら」の記事もありがとうございました。
俳優だけではなくクリエイターとしての西川さんや、Wキャストの吉田さんにも触れることができ大変面白かったです!