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「自分のポテンシャルを上げる」、ミュージカル『9 to 5』和希そら(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2024年10月6日

2024年10月6日(日)から21日(月)まで東京・日本青年館ホール、10月25日(金)から28日(月)まで大阪・オリックス劇場、11月1日(金)から11月3日(日)まで福岡・キャナルシティ劇場、11月7日(木)と11月8日(金)に静岡・静岡市清水文化会館(マリナート)大ホールで、ミュージカル『9 to 5』が上演されます。本作で新入社員のジュディを演じる、和希そらさんのインタビュー後編です。「下」では、印象に残った作品のお話、お芝居において大切にされている「余白」のこと、「抜け感」とよく言われてきたというお話、余白を作るために大切にされていること、技術に向き合うにあたっての考え方などについて伺ったお話と、お客さまへのメッセージを紹介します。

和希そらさん=撮影・岩村美佳
和希そらさん=撮影・岩村美佳

(※このインタビューは7月に実施しました)

ーー最近ご覧になって、特に印象に残った作品はありましたか?

先日、柿澤勇人さん主演の『ハムレット』を観たのですが、気迫や集中力、求心力が本当にすごくて。シェイクスピア作品は、観る方も気力と体力が必要じゃないですか。きちんと観られるか心配だったのですが、私も集中しすぎました。あんなにも重い静寂を体感したのは初めてです。実際に瞬きを忘れるというのはこういうことなんだ、と思いました。物語の終盤で勝手に涙が出てきて、演者さん皆さんの、魂を削って全身全霊で舞台に生きている姿を見てカーテンコールでも涙が止まらなくなりました。パワーが本当にすごかったです。ミュージカルではなくストレートプレイでしたが。すみません(笑)

ーー全然大丈夫です。舞台というジャンルですね。

本当に観に行ってよかったと思いました。舞台ってチケットを買う時間も幸せだったりしませんか?この作品を観たくて、今ここがスケジュールが空いているからこの時間に観にいこう、席選んで、みたいな時間が好きですね。

ーー観客の皆さんと同じことをされているんですね。

あ、思い出しました! 観て最高だったミュージカル、『キンキーブーツ』です。三浦春馬さんが2回目にローラを演じられた時です。最高すぎました。本当にチケット難だったじゃないですか。私はチケットサイトのヘビーユーザーで、当選確率が上がっていたようで、抽選申し込みをしていて当選したんです。当時、劇団のエレベーターの中で当選メールを見て、全然関係ない一緒に乗っていた方に突然当選画面を見せて「当たりましたー!」って(笑)。

「おめでとうございます」って返してくれました(笑)。

『キンキーブーツ』も色んな人間模様があって。曲も素晴らしいですし、なにより三浦春馬さんのドラァグクイーンの説得力がすごかったですし、私が観たのは1階席の後方で舞台を観ていて初めて、「もっと前方の席で観てつられたい!」と思いました(笑)。宝塚だと、お客様と目が合ったり、何か舞台上からアクションを起こしたりということもありましたが、ファンの方のつられたいという気持ちが、「こういう感覚か」とその時思いましたね。

ーー宝塚でも、和希さんのお芝居が本当に素晴らしいと拝見していたのですが、歌もお芝居も余白があると、その役者さんに引きずり込まれるなと思っているんです。スカイステージの番組『夢の音楽会』で安蘭けいさんとご一緒されたときに、安蘭さんが最後に「お客さんに考える余白を残してあげてね」と、さらっとおっしゃっていたのがすごく印象に残っています。ご自身で役を演じる中で、余白みたいな部分は、意図的にされるものなんでしょうか? 芝居をしている中で出てくるものですか?

私が雪組に組替えしてから「抜け感」というワードを言われることが本当に多くて。

ーー本当にそうでした。

ちょうどそのときのインタビューでも、余白の話をしていたなぁと思い出しました。歌も踊りも全てそうなのですが、私が観客として舞台を観るときに「すごく色っぽいな」と感じる人たちは皆さん余白、余裕がある方です。普段の私生活でもそうなんですが、色気ってなんなんだろうと考えたときに、切羽詰まってせかせかしている人よりも、忙しい中でも、どこか余裕や余白が覗いている人にとても色気を感じるなと。

だからこそ、どうするのかと考えたときに、与えられているものを精一杯こなしているだけだと、観ている方も一生懸命になっちゃって、その世界に入り込むことができないよなと。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、余白を作るために大切にされていること、技術に向き合うにあたっての考え方などについて伺ったお話とお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■余白のためには、ポテンシャルをなるべく高く保つことが大事だと思う

■必死な中でウィンクされても私は別にときめかない。余白という遊びの部分が必要では

■どの技術も、「シンプルに向き合う方が伸び代が違う」という考え方

■曲を聴いても、目でも観てもハッピーになれる作品。痛快でストレス発散になるかも

<ミュージカル『9 to 5』>
【東京公演】2024年10月6日(日)~10月21日(月) 日本青年館ホール
【大阪公演】2024年10月25日(金)~10月28日(月) オリックス劇場
【福岡公演】2024年11月1日(金)〜11月3日(日) キャナルシティ劇場
【静岡公演】2024年11月7日(木)〜11月8日(金) 静岡市清水文化会館(マリナート)大ホール
公式サイト
https://9to5.jp

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和希そらさん=撮影・岩村美佳
和希そらさん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. テディベア より:

    和希そらさんの大ファンです。記事を読み、改めてどれだけ考えてあの素晴らしいパフォーマンスを成立されているか、よく分かりました。考え方も生き方も本当にカッコよくて、真っ直ぐな方。9to5も感動しましたが、これから見せてくださる世界がとても楽しみです。岩村さんのお写真も、和希さんの美しさが引き出されていて、最近見た中でいちばん好きなショットです。ありがとうございました。

  2. ぽ組 より:

    素敵な記事をありがとうございました!
    そらさんの役作りに対する姿勢や,今回の舞台にかける想いに触れることができ,見に行った舞台(9to5)を一層楽しむことができました.
    普段ミュージカルを観る機会は少ないのですが,素人目にもそらさんの卓越した表現力や必死さを感じさせない余裕、他の演者様との調和がとれた立ち振る舞いなど,全てが圧巻でした.
    2階の奥の席で観覧していましたが,会場の隅々にまで視野を広げており,遠くにいてもしっかりお客さんを見てくれているんだという事が伝わって嬉しかったです.

    記事の中で余白(余裕)を大事にしているとの記載がありましたが,観ている中で,特にそれを強く感じました.
    自分が演技することだけでなく、他の演者様との掛け合いや,観客の様子など,外側を見ているのが分かりました.この舞台をより良いものにしようという想いが伝わってきましたし,楽しんで演技している様子をみて,観る側としてもとても楽しく観ることができました.
    この余裕は徹底的な基礎固めが前提にあることを知って,どんな分野でも基礎を怠ってはいけないんだと改めて思いましたし,それができるようになって初めて視野が広がり,できる事の幅が広がる.
    ある事を極める際に必要不可欠な過程なんだなと感じました.
    恐縮ですが,そらさんの芸事に対する向き合い方を垣間見て,これから自分が仕事をしたり,生きていく上で必要な,大事なことを学ばせてもらいました.
    今回初めてそらさんの舞台を見てファンになりましたし,またぜひ次も観に行きます!

  3. あき より:

    こちらの記事もありがとうございます!
    余裕からのウインクに、何度悩殺されたことか…です。

    言葉で言うのは簡単ですが、それを実行するそらさんの努力が大好きです!

    ハムレット、キンキーブーツは共に見たことがないのですが、いろんなご縁で繋がった舞台で感じるものがあるので、私もこれからも色々見ていきたいと思います♡

    もちろん、そらさんの舞台をたっくさん!!

  4. はっぱ より:

    歌・ダンス・芝居、全てに真摯に向き合う和希そらさんの言葉に感動しました。
    そらさんのパフォーマンスに魅了される理由はそういうことだったのか!と納得しました。

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