朝日新聞襲撃事件から30年、劇団「らせん館」のメンバーが語る小尻記者と青空表現市 | アイデアニュース

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朝日新聞襲撃事件から30年、劇団「らせん館」のメンバーが語る小尻記者と青空表現市

筆者: 松中みどり 更新日: 2017年4月25日

1987年5月3日夜、兵庫県西宮市にある朝日新聞阪神支局が何者かに襲われ、散弾銃で記者ふたりが殺傷されました。亡くなったのは小尻知博記者。まだ29歳でした。この事件に衝撃を受けた人はたくさんいますが、特に劇団「らせん館」のメンバーにとっては、決して忘れられない出来事です。尼崎を拠点にしていた「らせん館」を取材していた小尻さんは、事件直前の5月2日も劇団のけいこ場を訪れていたからです。「あなたにとって憲法とはなんですか?」と尼崎の人々に取材していた小尻さんは、憲法記念日の夜、新聞社の支局で命を絶たれたのでした。あの事件から30年の節目を迎える2017年5月3日を前に、「らせん館」代表で演出家の嶋田三朗さん、俳優の市川ケイさん、とりのかなさんの3人に話をききました。インタビューの内容は、音声でお伝えします。

小尻さんが劇団「らせん館」について書いた記事=撮影:アイデアニュース・橋本正人

小尻さんが劇団「らせん館」について書いた記事=撮影:アイデアニュース・橋本正人

記者の命が散弾銃で奪われる…。日本の出来事とは思えない言論への暴力に、フィリピンの支援活動などについて小尻さんから取材を受けていた私も、衝撃を受けていました。追悼と抗議のための集会があちこちで開かれていたので、出来る限り出席していましたが、そこにはほとんどいつも「らせん館」のメンバーがいました。

集会で、らせん館が、事件直前の小尻さんの様子を織り込んだ「TOMOティオーエムオー通信」というオリジナルの劇を披露していたことを覚えています。小尻知博(ともひろ)さんの名前から取られたTOMO。「TOMO、TOMO、通信を送ります。私たちの声が聞こえますか?」。天国の小尻さんに語りかけるお芝居は、出席者の心を打ちました。「ちくしょう、ちくしょう」という言葉を残して亡くなったという記者の無念をなぐさめ、残された私たちに出来ることを模索する演劇は、のちの「青空表現市」へとつながっています。

事件のあった1987年5月3日の直後の6月28日を第1回として、毎年5月3日に(阪神淡路大震災の時と、小尻さんの実家のある広島を訪ねた年を除いて)尼崎の町で開かれてきた小尻記者追悼のイベント「青空表現市」は、事件から30年になる今年も、5月3日に阪神尼崎駅前で行われます。今年は、30年目の「TOMO通信」と、小尻さんへの献花を予定しています。「散弾銃の数よりも多くの人に語りかけたい」そんな思いで開かれる青空表現市に、ぜひ足を運んでください。

<小尻記者追悼 青空表現市 2017>
【日時】2017年5月3日(祝・水)午前11時~12時(時間は変更になる可能性があります)
【場所】阪神尼崎駅前中央公園(阪神尼崎駅前・北側の広場)
【参加費】無料 どなたでも、短い時間でもご参加下さい

<関連ページ>
劇団らせん館ホームページ
http://lasenkantheater.de/Japanese
青空表現市ホームページ
https://m-h.sakura.ne.jp/aozora/

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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