井上芳雄さんと成河さんの対談インタビュー後半です。有料部分では、2018年にやりたいことについてお話して頂きました。
――おふたりが絡む場面としては、アクションシーンがあるとお話してくださいましたが、一緒に出る場面はあまりないですよね。
成河:実はそうですよね。みんな好きね、そういう話(笑)。
――(笑)。
成河:実はね、違うんですよ。もっと大事な話があって、『黒蜥蜴』が好きな人はよく戯曲も読んでいるだろうから、分かるでしょうし、稽古をしていたら一番それがよく分かるんですが、言葉で十分繋がっているんですよ。黒蜥蜴と明智小五郎、岩瀬早苗と雨宮潤一の発する言葉、単語1個1個全部が対になっているんですね。シェイクスピアのように。三島由紀夫も、それを意識して書いていますから、色々な言葉があって、それだけで世界ができているんですよ。「本物と偽物」だったり、「剥製と肉欲」だったり、色々なものが対になっていて、対立概念なんですね。だから、直接人が絡む、絡まないとかではなく、精神論的な交流が、そこですごく行われていて、それが作品になっているから、すごくおもしろいなと稽古では思っています。黒蜥蜴と明智が吐く単語が、早苗と雨宮が喋る単語と、すごく呼応しあっているというか。お互いの一つの美学の対立ですよね。
――その辺はいかがですか?
井上:その2組のカップルがいて、早苗と雨宮の未来があるカップルと、黒蜥蜴と明智の未来がないカップルという違いがおもしろいなと思いますね。どちらかというと、早苗と雨宮は肉欲的というか若いし、直接的な触れあいも多いよね。僕たちは真逆の、本来出会うことのない2人だから、ほとんど接触というものがないんですね。でも、ものすごく愛を言葉で交わす。その描き方がおもしろいですし、どっちのカップルもいるからいいんだと思います。
成河:要するに最後に本物の愛と、偽物の愛が問われる訳ですが、本物の愛は終わってしまうんですね。で、偽物の愛は続いていくんですよね……という皮肉を描いているのが、すごくおもしろい。とても世俗的な、大衆的な、俗物的な、三島いわくの偽物の愛というものが、ただただ続いていく。「本物の愛は、もうここで奇跡は起こらないんだよ」と終わってしまうところが、とても切なくて、おもしろい。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、演劇について、ジャンルについて、興行、メジャー、マイナーなどについて話されたインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■成河:三島由紀夫という人のコメディセンスにすごく注目している
■井上:思いのほか、成河が言ったことが自分の中で残っていて
■井上:答えは出ないかもしれないけど、その一歩先には行きたい
■成河:コマーシャリズムが変わっていくから、中身のことだけ考えて
■成河:黒蜥蜴、三島由紀夫を敬遠している人にこそ、観て欲しい
■井上:考えたことも、感じたこともない愛が、ここにあるかも
<『黒蜥蜴』>
【東京公演】2018年1月9日(火)~1月28日(日) 日生劇場
【大阪公演】2018年2月1日(木)~2月5日(月) 梅田芸術劇場メインホール
『黒蜥蜴』特設ページ梅田芸術劇場 http://www.umegei.com/kurotokage/
<関連サイト>
「黒蜥蜴」のページ
http://www.umegei.com/kurotokage/
「黒蜥蜴」公式twitter
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「黒蜥蜴」公式FB
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井上芳雄オフィシャルサイト
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成河スペースクラフトページ
http://www.spacecraft.co.jp/songha/
成河・スタッフオフィシャルtwitter
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黒蜥蜴も先日拝見しました!観劇後にまた記事を読んで、なるほど!と、またまた楽しませていただきました。次の観劇も楽しみになってます!