自分が何者なのか悟った瞬間。親はヒーローじゃないと分かった瞬間。愛が終わったことを思い知った瞬間。人生の中には、忘れがたいmomentがあるものです。今日聴くのは、わがままな高校生の娘がそうとは知らずに父の命を救った日の物語: That moment your mistake saves a life です。
ニューヨークで生まれ育った女性が、16歳、高校3年生の時のある朝について語っています。聴き取りやすい英語ですが、口語的な表現がたくさんありますので、楽しみながら勉強しましょう。
17歳からしか運転できないニューヨークで、高校に通うのにバスに乗らないといけないことがcoolじゃないと思っていた16歳の彼女、お父さんに車で学校に送って欲しいとしょっちゅう頼んでいたそうです。仕事の都合で、送ってもらえるときもあればダメな時もある。そんなある日のことです。典型的な我がままティーンエイジャーだった彼女とお父さんとのある朝の風景をお聴きください。( )の中の単語は聴き取れますか?
- This one morning I say, like, その日の朝、私はこんな風に言ったの。
“Dad, can you drive me to school?” 「パパ、学校に送っていってくれる?」
And he ( 1 ) “No, I can’t.” そしたら「今日はダメだ」って。
You know, something in my gut was like, その日は胸の奥でこんな感じがしてた。
No, you have to be driven to school that day. つまり、今日は絶対車で学校に送ってもらわなきゃと思ってたわけ。
So I go outside and I do this thing that I’ve never done before, それで、外に出て、今までしたことがないことをした。
which is when the bus comes, I ( 2 ) it away and miss the bus on purpose. バスが来たのに、手を振って追い払って、わざとバスに乗り遅れたの。
And I think this is a ( 3 )plan. 天才的な考えだと思ったわ。
So I walk back into my house and I say to my dad, like, “Now you gotta drive me to school.” で、家に歩いて帰ってパパに言ったの。「もう車で行くしかなくなったのよ!」
And my dad was livid. He was so angry. パパは青くなって、すごく怒ってた。
He ( 4 )me in the car, right? 私を車に押し込んでね、
He starts just giving me this lecture about how I’m a brat 私がどんなに悪い子かお説教を始めたわけ。and how I need to learn how to take responsibility for things 責任を取ることを学ばないといけないとか。and how my actions have ( 5 ) on other people’s actions and how it’s not all about me. 私の行動が他の人の行動にどんな結果をもたらすかとか、自分のことばかり考えてちゃいけないとか。
And we get to my school and the last thing he says to me is, “If I miss this meeting downtown, when I get home you are dead“ それで学校に着いたら、パパが最後にこう言ったの。「もし、このせいでパパがダウンタウンでの会議に遅れたら、お前は面倒なことになるから覚悟しろ」
And I say, “I don’t ( 6 )” And I walk into the high school. 私は「どうでもいいわ」って言って、学校に入っていったの。
And I have this, like, chip on my shoulder. I think I am the( 7 ) person on the planet. いわゆる挑戦的な態度をとったわけ。自分はこの星で一番カッコいいなんて思ってたわ。
- *something in my gut
- gut は内臓とか胃腸という意味で、直感とか第六感を示す gut feeling という表現があります。”I have a gut feeling that he is the one. 彼こそその人だっていう気がする” something in my gut は、胸の内で感じる何か、心の中で思う何かという意味です。
- *livid
- 形容詞で、「青黒い、青ざめた」、という意味です。口語表現では、「激怒した、カンカンになっている」という意味になります。日本語だと「真っ赤になって怒っている」みたいな感じでしょうか。激怒するには、turn purple という表現もあります。こちらは紫。面白いですね。
- *brat
- 名詞で、「手に負えないいたずらっ子」「悪ガキ」「我が儘な子ども」という意味です。いまいましい気分が込められた口語表現です。
- *it’s not all about me
- 何でも「私が」「私が」と自分中心に考えたり行動したりするわがままな子どもに、「it’s not all about you この世の中、お前がすべてじゃないんだぞ」とお父さんが言ったセリフを、本人なのでme と言い換えています。
- *you are dead
- 「お前は死んでいる」ではなく、「もうダメだ、やばい、あり得ないくらい大変だ」と大きなトラブルがあることを表す口語表現。
- *chip on my shoulder
- chipは木片です。自分の肩の上に木片を置いて「これを落としてみろ」と相手にケンカを売ったところから来ている表現なのだそうです。ケンカ腰とか、生意気な態度を表す口語表現。
なぜ、この女性が高校生だったときのごく普通の朝の話が、「あの瞬間」として記憶され、語られているのかは後半で明らかになります。この日が、2001年9月11日だったことがヒントです。
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