「YouTubeで学ぶ英語」、2019年の第1回目は、言葉がもつ力を味わってもらえるようにspoken word poetry を3つ紹介します。紙に書かれるのではなく、声に出して語られるために作られた3人の詩人によるパワフルな詩で学んでいきましょう。
まず聴いてもらうのは、Ethan Smith / イーサン・スミスさんの『 A letter to the girl I used to be かつて僕だった少女に宛てた手紙』です。LGBT活動家でもあるイーサンは、テストステロン (男性ホルモンの一種)を摂取し、形成手術を受けてエミリー・スミスからイーサン・スミスになりました。イーサンからエミリーに宛てて書かれた詩です。この詩の後半部分を聴いて、( )の中を書き取ってみましょう。男性の体になる過程で、月経が止まり、子どもを産むことが出来なくなった部分です。もちろんそれが自分の望みであり、今の方が幸せだと語るイーサンですが、そのために失われたものを悼む、感情を揺さぶる言葉がつづられています。
- I’ve been trying to write this letter for six months. この手紙を6ヵ月かけて書こうとしてきた
- I still can’t decide if it should be an apology or not. 謝罪の手紙にするべきなのか、まだ決めかねてるよ
- But now you will never hear Emily Smith announced at a college graduation, でも、「エミリー・スミス」という名が、大学の卒業式で呼ばれることはもうないし
- get married, give ( 1 ). エミリーが結婚したり、子どもを産んだりすることはない
- When the prescribed testosterone ( 2 ) taking effect, 処方されたテストステロンの効果が出てきて
- my body stopped producing the( 3 ) for new life every month. 僕の体はもう、毎月新しい命を育む準備をすることを止めた
- I thought about your children. How I wanted them, too. 僕は君の子どもたちのことを考えていた 僕もすごく子どもが欲しかったんだ
- I’d let a doctor ( 4 ) your breast so that I could stand up straighter. 医師に君の胸を取ってもらって、だから僕はこうやって堂々と立っていられるんだけど
- Now even if I somehow had those children I wouldn’t be able to nourish them. 何とかして子どもを持つことが出来たとしても、僕にはもう彼らに乳を与えられない
- My body is obsolete, scarred cosmetic but never ( 5 ). この体には傷があるけど、それは形成手術の傷で、帝王切開を受けることはもう決してない
次に聴いてもらうのは、Kevin Kantor / ケビン・カンターさんの『People You May Know知り合いかも』の詩の一部です。Facebookで「知り合いかも」と名前が上がってきた人物が、自分をレイプした犯人だったと語る詩を聴いてもらいます。レイプされたと訴えても、まるでオオカミ少年のように疑われた彼は、レイプ犯をあえてウルフと呼んでいたのに、今やその人のミドルネイムさえ知ってしまったという部分です。( )の中を書き取ってください。
- Facebook informs me that we have three ( 6 ) friends. フェイスブックが知らせてきたんだ 僕らには3人、共通の友人がいるって。
- Which is to say, that he is People You May Know. つまり、彼は僕の「知り合いかも」
- Which is to say, I am People You May Know, つまり、僕は彼の「知り合いかも」
- and there are people that know, and people that don’t know. 知り合いがいて、知らない人たちがいて
- And people that don’t know, I want to know, I’m afraid to ( 7 ) know. 知らない人たち、僕は知りたい、知らせるのは怖い
- And probably people that know him, know of me, that know(NO!). おそらく彼を知っている人たちは、僕のことを知ってしまうかも あの「ノー!」を
- The word “know, ” “know” “know” (NO, NO,NO) 知り合いかも、知り合いかも、知り合いかも、やめろ、やめろ、やめろ!
- Know(NO) is a ( 8 ) of sleeping sheep sitting in my mouth and now, 「ノー!」は、僕の口の中にいた眠れる羊たちの群れ
- now I know the wolf’s middle name 今、僕は、オオカミのミドルネイムを知ってる
最後に、2017年のspoken word poetry の大会でファイナルまで行ったRudy Francisco / ルディ・フランシスコさんの詩『Adrenaline Rush アドレナリンラッシュ』を聴いて下さい。火山の近くでサーフィンをする話をきいた詩人は、「自分で命を危険にさらすような遊びを考えられるほど、安心して暮すのはいいもんだろうな」と語りはじめます。そんな遊びをする人たちは、アドレナリンが出て、体が反応することが楽しいのかもしれないが、アメリカで黒人として生きるなら、アドレナリンは日常の中でほとばしるんだと語る詩です。( )の中を書き取って下さい。
- Being black is one of the most ( 9 )sports in America 黒人でいることは アメリカで最も過激なスポーツだ
- See we don’t need to invent new ways of risking our lives 分かるかい、僕らは命をかける新しい方法なんて考えだす必要はない
- because the old ones have been ( 10 ) for decades だって古い方法が今もまだ有効だから
- Jim Crow may have left the nest Brush streets are still covered in its ( 11 ) ジム・クロウは巣を飛びだったかもしれないが、ブラッシュストリートはまだ彼の羽に覆われている
- Being black in America is knowing there’s a thin line between the traffic stop and the cemetery 黒人でいることは、道で警官に止められたら、そこから墓場まではほんのわずかの距離しかないと知ること
- It’s the way my body tenses whenever I hear a police ( 12 )in a song 歌の中でサイレンの音を聴いても体が緊張すること
- It’s the quiver in my stomach whenever there’s a cop car behind me パトカーが僕の車の後ろにつくと胃の腑が震えはじめること
- It’s the ( 13 ) of relief when I turn right and he doesn’t 僕が右に曲がっても、警官がついてこなかったときに感じる安堵のため息
- Being black in America is knowing that you’re not safe in a hoodie, a t-shirt, a tuxedo アメリカで黒人でいることは、パーカーだろうがTシャツだろうがタキシードだろうが、何を着てても安全じゃないと知ること
- Being black in America is knowing that you’re not safe in a pool, in a church, in a classroom アメリカで黒人でいることは、プールでも教会でも教室でも、どこにいても安全じゃないと知ること
- Hell, I don’t need to go volcano surfing because I have an adrenaline rush every time an officer drives past ( 14 ) pulling me over くそ、僕は火山サーフィンなんかに行く必要はないんだ 警官が車で通り過ぎるたびに、車を止められなくても、アドレナリンが体を駆け巡る
- And I realize I’m gonna make ( 15 ) home safe, you know, this time. そして気がつくんだ ああ、今日は家に帰れるんだって とはいえ、今日のところはだけど
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、聴き取りの答えと解説、3つの詩の全てのスクリプトと私訳を載せています。ぜひご利用ください。
<有料会員限定部分の小見出し>
■聴き取りの答えと解説
■ A letter to the girl I used to be by Ethan Smith スクリプトと私訳
■People You May Know by Kevin Kantor スクリプトと私訳
■Adrenaline Rush by Rudy Francisco スクリプトと私訳
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