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統制と自由の間で苦悩する人類を描く、宝塚宙組『FLYING SAPA -フライング サパ-』

筆者: 橋本正人 更新日: 2020年8月4日

宝塚歌劇 宙組 梅田芸術劇場メインホール公演『FLYING SAPA -フライング サパ-』が、2020年8月1日(土)に開幕しました。この作品は、2020年3月30日から東京のTBS赤坂ACTシアターで上演される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で中止となり、約4ヶ月遅れで大阪での開幕となりました。9月6日(日)からは、東京の日生劇場でも上演されます。『FLYING SAPA -フライング サパ-』は上田久美子さん作・演出の未来の遠い星を舞台にした重厚なSF作品で、パリに拠点を築いて活動している作曲家の三宅純さんの楽曲を使用し、登場人物たちは「地球語で歌うことが禁止された社会」に生きているため時おりつぶやくように「地球の歌」が歌われるだけという、宝塚歌劇としては異色づくめの作品。ほとんどのシーンで、出演者はさりげなく距離をとった位置で会話を交わし、新型コロナウイルスの感染リスクを減らす努力が目立たない形で伺えます。記憶を消された登場人物たちの過去が蘇るにつれて浮かび上がってくるのは、統制と自由の間の答えを求めて苦悩する人類の姿。そして、さまざまな異色の挑戦をしながらも、宝塚歌劇らしいラブロマンスをしっかりと配置している、さすがな作品でした。

宝塚歌劇 宙組 梅田芸術劇場メインホール公演『FLYING SAPA -フライング サパ-』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇 宙組 梅田芸術劇場メインホール公演『FLYING SAPA -フライング サパ-』より=撮影・橋本正人

太陽の核融合反応が弱まったことが原因となり、冷え切った地球でおきた資源と食料をめぐるパニックと全世界大戦。人類の一部は、かつて水星と呼ばれた星「ポルンカ」に移住し、人々の精神データを政府中枢のデータベースに集約することで「悪」の衝動を未然にチェックし、完璧な秩序の中で暮らしていました。

その星で他人の意識の中に入ることで危険分子を摘発している兵士・オバク役で登場するのは、真風涼帆(まかぜ・すずほ)さん。過去の記憶を消され、感情を持っているのかどうかもよくわからず、ひたすら「眠い」と寝椅子に横になっているようなオバクながらも、真風さんの圧倒的な存在感が「ただものではない」感を漂わせ、ブラックホールのように、舞台の空気感を集めて行きます。

オバクをサポートする公務員のタルコフ役を演じたのは、寿つかさ(ことぶき・つかさ)さん。主人公のオバクが無口な役だけに、オバクが現れるところに必ず寄り添い、まさに「サポート」しながら、話を進めて行きます。

オバクは、自殺をはかろうとしている女性・ミレナの意識を察知し、彼女を「保護」しようとしますが、逆にミレナに脅され、ミレナ・オバク・タルコフの3人で、星の中心部にある謎のクレーター「SAPA」に行くように要求されます。ミレナ役を演じるのは、星風まどか(ほしかぜ・まどか)さん。時に銃をつきつけ、時に錯乱しながらも、オバクらと旅を続け、この物語のカギを握る人物になって行きます。

ミレナやオバクらが目指した「SAPA」は、詳細不明のSAPA粒子に満ちているため、電子機器などが使えない特殊な場所。政府の支配もこの場所には及ばす、無法地帯となっています。そこに設けられた違法ホテルを経営しているキュリー夫人役は、専科の京三紗(きょう・みさ)さん。キップが良くて情に厚い雰囲気が、舞台に出てきただけで漂うのは、さすがです。違法ホテルには、ユズ役の綾瀬あきな(あやせ・あきな)さん、テウダ役の松風輝(まつかぜ・あきら)さん、パンプルムース役の春瀬央季(はるせ・おうき)さんら、さまざまな人間が、それぞれの事情を抱えて滞在しています。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、宝塚宙組『FLYING SAPA -フライング サパ-』レポートの全文と独自撮影の写真3枚を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■精神科医役の芹香斗亜は一服の清涼剤。反政府活動家役の夢白あやはピリピリ…

■政府側の報道官役の紫藤りゅう、アンカーウーマン役の瀬戸花まりは颯爽と

■星月梨旺と穂稀せりが演じる2人の天才科学者の関係が次第に明らかになり……

■三宅純の重厚な音楽があったからこそ成り立った作品

<宝塚歌劇 宙組公演『FLYING SAPA -フライング サパ-』>
【大阪公演】2020年8月1日(土)~ 8月11日(火) 梅田芸術劇場メインホール
【東京公演】2020年9月6日(日)~ 9月15日(火) 日生劇場
※TBS赤坂ACTシアター公演(2020年3月30日~4月15日)は中止となりました。
宝塚歌劇団『FLYING SAPA -フライング サパ-』のページ
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2020/flyingsapa/
梅田芸術劇場『FLYING SAPA -フライング サパ-』のページ
https://www.umegei.com/schedule/916/

<関連リンク>
三宅純『FLYING SAPA -フライング サパ-』サウンドトラック・アルバム「Memoires du Sapa」(OTOTOY)※この作品はアルバム用に編集した独自の構成で、キャストの方々の音声は収録されていません。
https://ototoy.jp/_/default/p/524623

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宝塚歌劇 宙組 梅田芸術劇場メインホール公演『FLYING SAPA -フライング サパ-』より=撮影・橋本正人

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<筆者プロフィール>橋本正人(はしもと・まさと) 産経新聞記者から朝日新聞記者となり、大阪本社整理部次長、デジタル事業本部サブマネジャーなどを歴任。宝塚歌劇などを扱うサイト「アサヒコム・スターファイル」の編集責任者を6年間つとめ、独立。アイデアニュース株式会社を設立し、編集長に。趣味は声楽(テノール)。 ⇒橋本正人さんの記事一覧はこちら

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