デビュー20周年のピアニスト、木住野佳子インタビュー(下) | アイデアニュース

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デビュー20周年のピアニスト、木住野佳子インタビュー(下)

筆者: 堀内優美 更新日: 2015年10月2日

2015年にデビュー20周年を迎えたジャズピアニストの木住野佳子(きしの・よしこ)さん。8月26日には20周年記念アルバム「Anthology -20th anniversary-」をリリースし、9月17日からは全国ツアー「-Anthology- 20th anniversary tour」がスタートしました。インタビュー(下)では、20年間で一番大変だったことやアルバムの内容やライブのみどころについてお届けします。

木住野佳子さん=撮影・橋本正人

木住野佳子さん=撮影・橋本正人

――前回のインタビューでは、20年間で一番思い出に残っているステキなエピソードをお伺いしましたが、逆に大変だったことといえば、どんなことでしょうか。

今考えてみると、デビュー前の1年間の方がやっぱり大変でしたね。さきほどお話ししましたように、自分で月1回ライブをやると決めて、車で移動して、帰り道や雨の日に公衆電話を探したりしていたこともありました。また、自分でお客様を呼ばないといけないわけですから、当時はパソコンもなかったので、(フライヤーを)ワープロで作って、それをコピーして200人くらいに手書きで送る作業をしていたんですが、母に宛名書きを手伝ってもらったり(笑)。最初は親戚とか含め、お客様が来てくれるんですけど、回数を重ねていくうちにどんどん来てくれなくなって、1年たつとお客様の数を見るのが、胃が痛くなっていました。

「もう自分でやるのも限界かな」と思った頃に、CDデビューの話があったわけです。デビューしてからは事務所や周りの方がそういうことをやってくださるじゃないですか。でもその前に自分でやってみて、そういうことがどれだけ大変かということがわかったので感謝もできたし、経験してよかったなって思います。コンサートなんてお弁当の手配まで自分でやっていましたから(笑)。

橋本正人(アイデアニュース編集長):デビューしてからは?

そうですねぇ……。特に大きな病気をしなかったことが一番良かったなって思います。体調管理にはすごく気をつけていますね。デビューしてからは、途中でやめるというようなことはないですね。

橋本:デビュー前は体調を崩されたこともあったんですか?

あまりの頭痛で倒れちゃって、ワンステージでお家に帰って、それから一カ月寝込んだことはありました。今思えば、あの時の私、くも膜下かなんかだったんじゃないかって思うくらい、ほんとひどかったんですよ。でもCD出してからは、病気にならないように緊張していますので、特に気をつけていますね。まあ、貧血気味になって休憩時間に休んだりすることは経験していますが……。でもやっぱりネ、演奏すると自分も元気が出るんですよ。

木住野佳子さん=撮影・橋本正人

木住野佳子さん=撮影・橋本正人

――曲作りで行き詰まったり、大変だったことはありますか?

私の場合、曲は作ろうと思ってピアノに向かって作るタイプで、違う土地や海外に行くと充電できて曲ができたりするんですが、なかなか日常生活の中では、生まれにくくて苦労します。例えば、映画音楽やCMの曲をお願いされる時は「具体的にこういうイメージで」とコンセプトがはっきりしていて絵コンテなどを見せてもらうので、案外イメージがわきやすいんですが、何もない、無から生み出す自分のアルバムっていうのはけっこう大変だったりするんですよね。自分のアルバムになると、自分の作品だからなんでもいいわけじゃないですか。そうなるとすごく苦労します。なんか曲が似てきちゃったりすることもあるし、煮詰まることはありますね。

あと、2005年にパナソニックのCMでたまたまショパンの「ノクターン」を私がひくことになったので、クラシックのミニアルバム「Nocturne-piano ballade-」を出したんですが、クラシックからしばらく離れていたので、練習がとても大変でした。やっぱりジャズとクラシックは全然違うし、アドリブをすることで楽をしていた部分もあったなって、反省しました。

――アドリブをすることの方が楽なんですか?

アドリブの方が大変っていうこともあるんですが、クラシックは譜面通りに弾かないといけなくて、間違っちゃいけないわけじゃないですか。すごいプレッシャーだし……どれだけ練習しなきゃいけないのかという原点に立ち返り、練習方法を見直してやり始めたという、10年経ってからの転機がここでありましたね。

橋本:クラシックは、楽譜通りに弾かなきゃいけないですよね。

やっぱり間違っちゃいけないし、そこから自分らしさも出したりできると思うんですけど、ピアニストによって少しテンポが変わったり、色が変わったり、ため方が変わったり、そういったことで表現するんだと思うんです。ジャズの場合はアドリブがまるっきりその人の自由でやりますので、全然違う表現方法かと。クラシックをやっている人は、ジャズをやっている人に「なんであんなことができるんだろう」と思っているとは思うんですが、ジャズプレイヤーにとってはクラシックにコンプレックスがある、そういう存在なんですよね。

あと大変だったことといえば、こないだの東日本大震災もそうでしたが、9・11のマンハッタン同時多発テロの時も、たまたま私、マンハッタンにいたんです。前日にテレビのロケで入って、翌朝10時頃ロケに出ようと思ったら、「なんかあったらしい」って聞いて、そのまま10日間帰って来れなくなっちゃったんです。そういった経験をしたことが、その後の音楽にも影響しましたね。

人の優しさにも触れましたし、その時に自分は一体何ができるかということを考えたら、音楽しかできないので、曲を作って次の年にレコーディングしました。もっと自分の音楽をちゃんと作っていって伝えたい、そんな思いはありますね。

木住野佳子さん=撮影・橋本正人

木住野佳子さん=撮影・橋本正人

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大阪での「木住野佳子 Anthology 20th Anniversary Tour」(2015年10月19日)の情報はこちら
→ http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=9633&shop=2

大阪以外のツアーやアルバムの情報は、「木住野佳子オフィシャルサイト」をごらんください
→ http://www.kishino.net/html/all.html

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木住野佳子さんサイン色紙=撮影・橋本正人

木住野佳子さんサイン色紙=撮影・橋本正人

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<筆者プロフィール>堀内優美(ほりうち・ゆみ) フリーライター。兵庫県出身。行政の広報・番組制作に携わった後、フリーアナウンサーに。女性ならではの繊細な感性で描くコラム、医療・教育・エンタテインメント分野の執筆・取材を得意とし、新聞・雑誌・WEBにて連載中。司会者、ナレーター、講師としても活動している。 ⇒堀内優美さんの記事一覧はこちら

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