2015年12月12日から、日本全国で上演される音楽劇「星の王子さま」。この作品で「飛行士」役などを演じる伊礼彼方さんのインタビューの「下」を掲載します。(インタビュー「上」は、こちら → https://ideanews.jp/archives/9847)
しっかり歌うのは久しぶりです
--「星の王子さま」は、音楽劇だということなので、今回は、かなり歌を聞けるんでしょうか。
たくさんあると思いますよ!
--やっぱり伊礼さんの歌、聞きたいです。ちょこちょこっとは歌うのは最近もあったけれど、しっかり歌うのは久しぶりですよね。
はい。最近は、芝居は芝居、歌は歌(コンサート)が続いていたので、何曲も演じながらの歌っていうのは久しぶりですね。
--曲は、まだ?
今の時点では3曲いただいているんですけど、それはまだ決定じゃないらしくて、とりあえず、こんな雰囲気ですよというもの。
--どんな雰囲気ですか?
あれ、オペレッタっていうのかな? もう、なんか色々とびっくりしました。ははは(笑)。
--大丈夫ですか?(笑)
栗原:笠松(作曲・音楽監督の笠松泰洋さん)さんは、クラシック出身の作曲家で多彩な作曲をしてくださいます。今も別の作品の稽古場でずうっと毎日一緒なんですけど、張り切ってくださっていて、伊礼さんについても一度、キーチェックをなさったのです。実際に会って声を聞きたいということで30分いただきました。
--そうなんですか。
栗原:美しいですが、演者にとってわりと難しい場合もあります。
--つくりが?
栗原:オペラティックだったりするので…。今、オペレッタって表現されましたけど。別の作品の稽古場でも、役者たちが「歌いこなすのは難しいけれど、頑張りがいがある!」と。
--音が、上がったり下がったりとか?
栗原:伊礼さんと昆さんにも 少しオペラティックな楽曲を創られると思いますが、歌いにくい場合は、稽古場で直してくださったり、お家ですぐに直してくださったりします。
難しいです。でも、効果音としては素晴らしいなと。
--効果音?
トゥ~トゥラタッタ、トゥルル。トゥルルル~トゥルル、とか。
--ほわっ。
羊がね、トゥルルルル~トゥルルルル~とか。
--ああ、なるほどね。
すっごいんですよ。セリフと一体化してたり。もちろん、メロディアスな曲もあると思うんですが、演奏もシンプルにピアノとコントラバスだけなんで。
--でも、それは楽しみだなぁ。
栗原:御自宅で作曲される時、御自分でピアノを弾いたり、エレピを弾いて、そのまま録音してくださるので、笠松さんの歌も入っています。
--(笑)
これがもう、秀逸なんですよ! セリフもしっかりなりきって入ってる(笑)
栗原:そうそう。セリフも入ってる。すっごい、楽しい。
--曲は、まだ確定してないとはいえ、飛行士の歌ですか?
冒頭なんで、M1からM3って書いてあったら、飛行士と王子さまが出会うところ。
--出会うところの歌なんですね。面白いんですか?
面白いですよ。
--どんな感じ?
難しいクラシックって感じです。メロディアスじゃないクラシック。ジャズっぽいです。フレーズが。タララトゥン、トゥルルルトゥルルルルトゥン…。
--これまで、どちらかというとロック系が得意でしたよね。
得意というほどではないですが、今回もまた僕にはない感覚なんです。だから、とても新鮮で面白くて!
ほんとに日によって変わった「End of the RAINBOW」
--先日の「End of the RAINBOW」も、ジャズで。アイデアニュースでも、小西遼生さんと伊礼さんで対談していただいた時も「俺はジャズは苦手だから。ロックが…」とおっしゃっていましたが。
ジャズのある環境で生活していなかったので(笑)。でも今回の作品で、だいぶ馴染めるようになりました。
--ジャズに?
はい。「End of the RAINBOW」はピアニストの岩崎廉さんが、ほんとジャズの人だから、その日によって変わるんですよ、フレーズが。
--へえ~、日によって。
普通のミュージカルだったら、いや、ダメだろうって(笑)。ほんとに変わるんですよ。今日、俺はこういう風に弾きたいからって。ほんとに日々違うから、そういう意味では、ジャズってこんなに面白いんだって。
--へえ~。
アーティストなんです。ほんとにその日の気分で違うから、そういう意味では、ジャズってこんなに自由で面白いんだって。
--僕はジャズのことは良く知らないんですけど、ジャズにはノートというものがあって、ギターのコードのようにノートが合っていれば、あとは自由にノートの中で自由にやると聞いたりしたんですが。
もちろん決め事はあって、アクセントはここにあるとか。でもそれ以外のところは、聞いたあとに、この音が強かったら、次の音は強く弾きたくないって。形式に則った音楽じゃなくて、感覚の音楽っていうか…。
--なるほど。
バーン、トゥルル、バーンっていうのが、その逆だったら、トゥル、バーン、トゥルルとか。
--日によって違うんだ。
らしいんですよね。僕も言葉が足りないので、感覚でしか表現できませんが(笑)
栗原:(苦笑)
--きちんとやろうとすると奥が深そうですよね。
「~RAINBOW」では、歌なくて良かったなぁって(笑)。
--でも最後の歌、すっごい良かったですよ。
アンコールに4人でのスペシャルアレンジですね。
--そうそう。4人の。ハモリとか。伊礼さんって、どちらかというと高い声で歌うイメージが多かったんだけど。
まあ、そういう役が多かったからイメージはそうみたい。でも実は低音担当なんです。
--王子様だしね。高い声が多かったけど、「End of the RAINBOW」の最後では、バリトンぐらいで真ん中をおさえて、いい声してるなぁって思って…。小西さんのテノールと合って、すごく綺麗だったので、いいなぁと思いました。
「星の王子さま」は、セリフを音で語ってる感じ
--「星の王子さま」で、今度は、クラシック風の、また新しいチャレンジになりますね。
クラシックといっても、メロディアスというより、セリフっぽい。
--なるほど。
メロディーにはなってるんですけど。
--あんまり歌い上げる感じの曲じゃないんですね。
歌い上げる曲もまたあるとは思うんですけど、冒頭はずうっとセリフの延長になった感じの曲で。
--それがさっき言ってたオペレッタという感じで。
セリフを音で語ってるというか…。
--オペレッタと言うと、喜劇っぽい感じのものなんですか? 堂々たるオペラという感じじゃなくて。
セリフ劇に近い感じかな。クラシックのセリフ劇というか。
--今回のものもクラシックっぽいものではあるけれども、セリフ劇的なものが入ってきていて音楽劇となっていると。
そんな感じです。
昆さんは、芯がある芝居もできて、声が透き通っている
--わかりました。伊礼さんは、昆さんとご一緒するのは?
ミュージカル「ハムレット」という作品で、彼女は妹オフィーリアでした。
--どうですか? 昆さんと久しぶり。
彼女は、かわいいだけじゃなく芯がある芝居もできて、声が透き通っているイメージ。僕はさっき話しましたけど、星の王子さまが僕じゃなかったので、キャスティングが(笑)。
--それ正解。それ怖い(笑)。
誰が来るのかなぁと。昆ちゃんになった時に、僕はもう勝ったと。
--え~、昆ちゃんに勝ったんですか?
いやいや、キャスティングが勝ったと。
栗原:座組みとして、勝ちの作品ということですよね?!
座組みとして、これはオッケー!でしょーと。
栗原:こう3人のお名前が並んだ時に、いい感じじゃないですか。
あのルックスに、ピュアで真っ直ぐな澄んだ声。
--僕は、レミゼ(レ・ミゼラブル)は観たんですけど。一番っていうとなんかほかのファンの人から怒られそうだけど、さすがだなぁ、やるなあ~って、すごく嬉しかったです。昆さんがロミジュリで出てきた時に、インタビューさせてもらったことがあったりして応援していたので、昆さんがこれだけ歌い上げてくれると嬉しいなぁって、思いましたけどね。今度は、王子さまなんですよね。
ぴったりだと思いました! だから勝ち(笑)。
地元ならではのお客さまとの距離感も楽しみです
--ピッタリですよね。それから、地元それぞれのアンサンブルの人たちが参加しますね。兵庫は兵庫の人が出て、水戸は水戸の人が出て、子供だったり大人だったり、いろんなアンサンブルの人が参加すると。これはすごく面白いんですけど、大変だろうなと。
だと思いますよ。でもだからこそ、毎回ちがう世界観もドキドキだし、地元ならではのお客さまとの距離感も楽しみです。あとは豪さん(脚本・演出の青木豪さん)がきっとうまくまとめて下さるはず!
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<音楽劇「星の王子さま」公演情報>
原作:サン=テグジュペリ、脚本・演出:青木豪、作曲・音楽監督:笠松泰洋
出演:昆夏美、伊礼彼方、廣川三憲
【水戸公演】2015年12月12日(土)、12月13日(日)(水戸芸術館ACM劇場)
→ https://arttowermito.or.jp/theatre/theatre02.html?id=699
【埼玉公演】2015年12月19日(土)、12月20日(日)(プラザイースト ホール)
→ http://www.saitama-culture.jp/recommend/2015/12/post_232.html
【福井公演】2015年12月23日(水・祝)(ハーモニーホールふくい)
→ http://www.hhf.jp/www/hhf/concert/detail.jsp?id=9286
【東京公演】2016年1月10日(日)、1月11日(月・祝)(シアター1010)
→ http://www.t1010.jp/html/calender/2016/291/291.html
【兵庫公演】2016年1月16日(土)、1月17日(日)(兵庫県立芸術文化センター)
→ http://www1.gcenter-hyogo.jp/sysfile/html/01_calendar_kouen/4272412109.html
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<伊礼彼方さん関連記事>
音楽劇「星の王子さま」に出演、伊礼彼方インタビュー(上)
→ https://ideanews.jp/archives/9847
音楽劇「星の王子さま」に出演、伊礼彼方インタビュー(下)
→ https://ideanews.jp/archives/9849
「エンド・オブ・ザ・レインボー」に出演、小西遼生×伊礼彼方対談(上)
→ https://ideanews.jp/archives/7263
「エンド・オブ・ザ・レインボー」に出演、小西遼生×伊礼彼方対談(下)
→ https://ideanews.jp/archives/7372
「エンド・オブ・ザ・レインボー」に出演、小西遼生×伊礼彼方対談(読者の声)
→ https://ideanews.jp/archives/7915
ジュディ・ガーランドを描いた濃密な舞台、「エンド・オブ・ザ・レインボー」公演評
→ https://ideanews.jp/archives/9047
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公立劇場5館で上演する「星の王子さま」
各地へ行くには、とてもよい人数
「ピアフ」「あわれ彼女は娼婦」「王家の紋章」…
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<読者の声>(プレゼント応募メッセージより)
伊礼さんのインタビューUPありがとうございます。橋本さんのお写真は透明感があってとても素敵ですね☆栗原さんの解説も興味深く読ませて頂きました。伊礼さんの飛行士、かっこいいだろうなァ!素敵なお声での歌も楽しみです。「星の王子さま」はクオリティーの高い作品になりそうですネ、記事を読むにつれ観劇への期待がますます高まって参りました。
伊礼さんは作品・役によって本当に色んな局面と、いい意味で予想外の演技を見せてくれるので毎回楽しみです。今回は歌も聴けるとのこと、期待してます。