2023年6月6日(火)から 6月25日(日)まで東京・PARCO劇場で、7月6日(木)に福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールで、7月9日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールで、『新ハムレット』が上演されます。太宰治が初めて書き下ろした長編小説で、シェイクスピアの『ハムレット』を翻案した『新ハムレット』を、五戸真理枝さんが戯曲化・演出を手がける作品です。アイデアニュースでは、ハムレット役の木村達成さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けて、合同取材の内容と独自取材の内容をお届けします。
「上」では、合同取材の内容を掲載します。無料部分では、ご自身がハムレット役を演じるにあたっての想いや台本のことについて、有料部分では、バラエティに富んださまざまな作品に出られている理由などについてお話ししてくださった内容を紹介します(写真は独自撮影)。「下」の無料部分では、本作の中でも問われる「愛」について思うこと、目の前の人に向き合いたいという気持ち、「今を生きる」というご自身の生き方のことなどをお話ししてくださった、合同取材の内容を紹介します。有料部分では、『新ハムレット』に描かれている、母・ガーツルードとのやり取りの中で思うこと、仲の良い人を「友達」などのカテゴリに分けないというお話など、独自取材の内容を紹介します。
(※このインタビューは、稽古前に実施しました)
ーー太宰治の『新ハムレット』を戯曲化した本作には、どんな印象を持ちましたか?
ナイーブなことをいっぱい言っているけれども、ハムレットには、「何かしら」の自信はあるのかなと。それだけの勇気がないと、あれだけのことは言えないのかなと思いました。自分をしっかり持っている青年だと感じましたね。「ちょっと好きになれないな」くらいの印象を与えようかと考えています。
ーー木村さんは、シェイクスピアの『ハムレット』をお読みになったことはありますか?
ないです。読む予定にはしているのですが、それはこの『新ハムレット』を全て理解したタイミングでと思っています。
ーー太宰治については、何かご存知だったりはされますか?
知らない!(笑)。無知はすごい力を持っていると思うから、そっちにかけたいですね。
ーー太宰自身が「文学者として悩んで苦しんで」みたいなことが、この作品には反映されているんじゃないかなと思ったんですが、木村さんご自身は、そういう経験はありましたか?
「あまり人と共感できないな」「なんで、俺が言っていること、わかんないのかな?」ということは、僕自身が「木村達成」として生きている中で結構あったりはします。だから、「お前らは俺の思っていることを全然理解していない」みたいな感覚や気持ちは、すごくわかります。
ーー今回ご自身のところにハムレットという役がきたことに関して、そういう意味では納得感がありますか?
あります。だからこそ、やらなきゃいけないとも思いますしね。
ーー作品と対峙しながら、木村達成という自身として、何か一皮むけていきそうなものはありますか?
「自分」というものを、より理解していく作品になりそうです。でも多分それは、一緒にプレイしてくれる皆さんが、木村達成という人間を、僕自身に教えてくれるんだと思います。
ーー今、作品の台本は、普段持ち歩いているという感じですか?
そうですね。9割くらいは覚えました。
ーー台本を読んでいく中で、最初と印象が変わったり、解釈が深まったりした部分はありますか?
最初に読んだのは、仮の台本だったんです。ついこの前、製本された台本が届きました。照らし合わせてみると、面白い表現に変わっているところもあったのですが、僕は前の方が好きだったなというところもあったんです。そこは、演出の五戸さんに伝えました。
ーーもし、伺ってもいい内容であれば、具体的にどの部分のことなのか教えていただけますか?
ハムレットが、そこに幽霊がいるかの如く、喋るようなシーンでしたね。でもそれは、気づいたらオフヰリヤだったという。ハムレットとして純粋に台本を読み込めたからか、包み隠さずにカッコつけずに最初の方が話せたので、その感じが好きだったなという感じです。
ーー台本を読み込まれたとのことですが、作品の魅力についてはどう感じましたか?
知識がゼロだった分、作品に純粋にのめり込めたという感じです。「苦しみが苦しみを生み」というところとか、何も飾っていなくて、すごく人間らしいなって思いました。苦しい時に、苦しいと言ってなぜいけないんですかということですよね。
自分が思ったことをそのまま口に出すことについては、僕も「役者なんだから、いいことをいわなきゃ」というようなことは一切考えていなくて。そういう共感ポイントも、この役にはたくさん詰まっています。僕にとっては、バイブル的な存在になる作品なのかなって思います。「自分は自分らしく」と、もっと自分をもっていいんだよという方向に変わっていける作品になるのかなと思うと、嬉しいです。ちょっと恐ろしさもありますけど。
ーー別の対談で、五戸さんが「木村さんは、ハムレットにも太宰にもぴったり」とおっしゃっていました。ご自身では、似ているなと感じますか?
あまり思わないです。僕って、基本的に人に対して疑いから入るんです。「五戸さん、インタビューだから、僕のことをちょっと上げて言ってませんか?」って若干思いました(笑)。でも、そう言っていただけて嬉しかったのは事実です。嬉しかったからこそ、「本当に五戸さん、そう思っているの?」って、自分で防御している感じがあります。
ーーすごくナイーブな人物像かと思いますが、どんなハムレットになりそうですか?
セリフがたくさんある分、自分で下手に感情をつけすぎないようにしたいですね。シェイクスピアの作品に対するイメージは、皆さんそれぞれにあると思うのですが、僕が今やったらこうなりましたという感じにしたいです。
ーー共演の島崎(遥香)さんや加藤(諒)さんと、YouTubeチャンネルでお話しされているのを拝見しました。他の皆さまも含めて、お話しされる中で、こんな感じでいけそうだなというような感覚はありますか?
キャストを信頼するということです。みんなで息を合わせて頑張りたいですし、結局は、みんなでやってみてお互いの姿を見てみないと、僕もどう感じるかはまだわからないです。今の段階で軽々しくこうしたい、とは言えないです。
ーー信頼という言葉もありましたが、そういうものはお稽古の中でいつも築いていくのでしょうか?
そうですね。でも、「こういう役だから」と積極的に仲良くしようとされても、僕は逆に遠ざけてしまうところがあります。猫みたいな性格というか…。仕事として考えずに接してもらえる方が嬉しいです。「役だから」といって仲良くなったところで、お芝居には絶対に出ないから(笑)。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、バラエティに富んださまざまな作品に出られている理由などについてお話ししてくださった内容を紹介します(写真は独自撮影)7日掲載予定のインタビュー「下」の無料部分では、本作の中でも問われる「愛」について思うこと、目の前の人に向き合いたいという気持ち、「今を生きる」というご自身の生き方のことなどをお話ししてくださった内容を紹介します。有料部分では、『新ハムレット』に描かれている、母・ガーツルードとのやり取りの中で思うこと、仲の良い人を「友達」などのカテゴリに分けないというお話などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「木村達成」という可能性を自分で信じたいから、バラエティに富んだ作品に
■「人間らしさ」の魅力って、完璧ではなく失敗もするところにあると思う
■包み隠さず取材でも話すけど、少し喋りすぎたかな?という思いが…(笑)
■自分を曝け出すことに、ちょっと正義感をおぼえているところもあったりする
<『新ハムレット』>
【東京公演】2023年6月6日(火)~ 2023年6月25日(日) PARCO劇場
【福岡公演】2023年7月6日(木) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【大阪公演】2023年7月9日(日) 森ノ宮ピロティホール
公式サイト
https://stage.parco.jp/program/shin-hamlet
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※木村達成さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは7月8日(土)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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太宰の描くハムレットと木村さんご自身がどう共鳴して作品ができたのか、垣間見ることができるインタビューをありがとうございます。
木村さんの人間らしさもうかがえてしっかり記憶に留めたい内容です。