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「この作品はラブレター」『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』松田凌(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2023年7月15日

『Being at home with Claude 〜クロードと一緒に〜』が、2023年7月1日(土)から7月9日(日)に横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで上演されました。京都公演は、7月20日(木)から7月23日(日)に京都文化博物館別館ホールで上演されます。本作で、4回目の「彼」を演じる松田凌さんのインタビュー後編です。「下」では、今回の演出を担当される小山ゆうなさんとの作品作りについて、作品としての面白さ、原作者のデュボワさんが「この作品はラブレター」だとおっしゃっていたというお話に救われるというお話、根本には愛がある作品だということについて伺った内容と、お客様へのメッセージを紹介します。

松田凌さん=撮影・NORI
松田凌さん=撮影・NORI

ーー今回は小山ゆうなさんの演出ですが、4回とも演出が違うことも面白いと思いますが、ご自身ではいかがですか?極論、松田さんのほうが作品のことを知っているんじゃないかと思ったりします。

プロデューサーさんといろいろ話し合いました。例えば、次作上演します、出演させていただきます、今回どうしますかという話とかもさせていただくんです。この作品で出会った演出家さんは、本当に好きな方ばかりなんです。一緒に同じ景色を観てきましたし、お一人お一人が振るタクトにすごく感銘を受けてきました。

今回、プロデューサーさんにご相談させていただいてすごく面白いと思ったのは、今までの男性脳で作ったクロードしか演じたことがなくて、女性演出家さんの元でやったことがなかったので、女性脳で作ったクロードを上演してみたらいかがかと。

確かに面白いと思ったんです。女性男性で全て分けられるわけではないんですが、例えばロマンチックな方だったら、風の香りとかだけでも何かを感じる方もいらっしゃれば、逆にドライに捨て去って、この場所で何を思ったかを追求するとか、やっぱり男性脳、女性脳で感受性や捉え方も違うと思うんですよね。男性は出産とかもないですし、そういう痛み、愛の形もわかんないわけです。でも「そういったものが全然違う女性脳でこの作品の演出を受けたらどうなるんだろう?」と、ものすごい興味が出てきたんです。

そうしたら、小山ゆうなさんに決まったんです。僕は公演中止になって出演できませんでしたが、ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』で演出を受けていて、当時結構頑張っていました。ミュージカルでしたし、立ち位置も全然違いましたが、クロードはがっつり会話劇で、ゆうなさんもそういった作品をたくさんやってらっしゃるだろうから、この作品にご一緒できるということで、これは面白いんじゃないかと思って、胸が高鳴りました。

稽古してみたら、やっぱり全然違っていて、面白さを感じています。この作品に僕が参加する上で、ひとつの楽しみでもありつつ、難解さでもあるんですが、やっぱり演じる役は同じであれど、翻訳によってセリフも違えば、演出によっても、過去に演じた自分の「彼」が引っ張ってくるんですよね。

 ーーそうなんですね!

そのときにはこう思っちゃってたなって。全部忘れちゃえばいいのに、忘れないで、そのときの気持ちを追っちゃったり、そのときのセリフが出てきちゃったりするんです。最後の独白の部分とかは、もう演出家さんによっても、感じ方や解釈が違ったりもしますし。だから今までは、独白の部分については、ほぼ相談をしなかったんです。自分で作り上げて、それを演出家さんにジャッジしていただいてみたいな。

今回初めて、相談し合いながら独白部分を作っていきました。僕もそうしてみたかったんですよ。今までの演出家さんは自由という檻を与えてくださっていました。すごく嬉しい一方で、自由っていう言葉を与えられると、何をしていいかわからないところもあるんです。ひとりでできることなんて限られているので、好き勝手やっていいように思えても、意外と苦しくて。今回はまた違った感覚で、まったく別物で、演出家さんと「ここをああしてみよう」って、割とロジカルに作ったりもしているので、それも面白いですね。ゆうなさんは、すごくクレバーな演出家さんというか、あまり強制しないで、あたたかく辛抱強く待ってくださったりもするので、そういった部分も一緒に物作りするうえで、助けられている部分だったりしています。

ーーそうすると、松田さんの中には4人の「彼」がいるんですか?

憑依とかは全くないんですけど、何となくフィードバックするというか。でも、4人の彼という表現は近しいかもしれないですね。 

ーー松田さんが重ねた経験によっても、彼が変わっていくことももちろんあると思うのですが、やはり演出家が変わると、大きく変わっていくんですね。

変わりますね。というか、変えなきゃできなくなっちゃう。台本も演出家さんも変わらなければ、もっと楽なのにって思うんです(笑)。

ーーそこを、あえて作り直すんですね。

負荷をかけてですね。プロデューサーさん含めて、すごくチャレンジングな人が多いので(笑)。でもそれさえも、もう芝居ジャンキーみたいなところがあるので、沈んでもいいから一緒に乗ってみますかってなっちゃうんですけど。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、作品としての面白さ、原作者のデュボワさんが「この作品はラブレター」だとおっしゃっていたというお話に救われるというお話、根本には愛がある作品だということについて伺った内容やお客様へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■本当の愛が、とても純真なままに書かれている作品。すごく美しくも汚くもある

■「ここにしかない匂い」というか何か独特の感覚に、この作品の中毒性があるのだと

■原作者のデュボワさんが「これはラブレター」だと。ひとつ救われる部分でもある

■作品が持っている元々のエネルギーとパワーと、溢れる何かを芝居としてお届けする

<Being at home with Claude~クロードと一緒に~>
【横浜公演】2023年7月1日(土)~7月9日(日) 横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
【京都公演】2023年7月20日(木)~7月23日(日) 京都文化博物館別館ホール
公式サイト
https://www.zuu24.com/withclaude2023/

【配信公演】
★ライブ配信
京都 大千秋楽 2023年7月23日(日)
※定点による全景映像となります。スイッチングはありません。
※アーカイブはありません。

★レンタル動画配信
配信公演:京都 大千秋楽 2023年7月23日(日)
特典映像:横浜会場のステージツアー、キャスト対談

配信開始:2023年7月28日(金)18時~
※レンタル動画の視聴期間は、48時間。
※配信公演は、定点による全景映像となります。スイッチングはありません。

★横浜公演、京都公演ともチケットは完売のため、京都大千穐楽のライブ配信(スイッチングなし定点映像)、また出演者の対談などの特典映像付きのレンタル動画配信をご視聴ください。

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松田凌さん=撮影・NORI
松田凌さん=撮影・NORI

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. さき より:

    素敵なインタビュー記事とお写真をありがとうございます!
    大変貴重で深いお話が聞けて最高でした!
    「クロードと一緒に」ずっと観たかったので、再演本当に嬉しかったです。
    私は横浜公演を複数回観に行きましたが、見終えた後はいつも胸がいっぱいで放心状態でした。
    「これはラブレター」という表現がものすごく腑に落ちました。
    イヴの愛はもちろん、作り手の皆さんの愛もこもった唯一無二のラブレターを受け取ったように思います。

  2. かのんさき より:

    2019年版を観させていただき今回4回目という事で楽しみしておりました。
    横浜公演の方を観劇いたしましたが
    前回のとは多少、異なるところがあり演出はどうなっているんだろう?と気になっていました。演出家によってこんなにも違うのかいうの分かりとても有難く拝見いたしました。
    インタビューしていただきありがとうございました。

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