2023年9月15日(金)から10月1日(日)まで、KAAT神奈川芸術劇場で上演される『アメリカの時計』に、リー・ボーム役で出演する矢崎広さんのインタビュー後編です。「下」では、これまでにも何度も共演し、今回は母と息子役を演じることになるシルビア・グラブさん(ローズ・ボーム役)のこと、先日韓国の大学路でミュージカルをご覧になって感じたことなどについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
――先ほど、「このジャンルの人」とはご自身では思わないようにしているとおっしゃっていました。役者は基本、ひとりでいろんな場所に行って、その都度カンパニーと一緒に作品を創っていくのだとすると、ひとつのジャンルにいる人の場合は、足場が「ここ」と決まっているのかなと思ったりもしますが、矢崎さんは足場を作らないということでしょうか?
そうです。だから映像に行った時に「俺は舞台の人間だ」と思うと、そういう面持ちになりますし、そういう風に見られてしまうんです。でもそうじゃなくて、そこの分け隔てをなくしたいと思っているので、そう思わないようにしています。本来、そのほうがみんな健康だと思うんですよ。
でも最近は逆に、「このジャンルの人」と思われたほうが楽だなとも思ったりすることもありますね。例えば、ミュージカルでは「ストレートの人だ」と思われたほうが、多少踊れなかったり歌えなくても、「しょうがないかな」と思ってもらえるなという落差もあるし、逆にミュージカルの人がストレートに来てると思われると、「ミュージカルの人だから、いろいろ分からないこともあるのかな」と。そんなふうに思われたほうが、俺が得だなと思ったりもするので、最近はいいように使ってます(笑)。
――今回の共演者の中には、何度も共演されているシルビア・グラブさんがいらっしゃいますね。
ビアがいるのはすごく心強いです。
――シルビアさんとは、何かお話しましたか?
もはやビアと共演しすぎて、会話がないです。隣にいればしゃべりますけど、例えば「おはようございます」とちゃんと言いに行くとかはないです。「ういっす」くらい(笑)。僕が17歳で、シルビアさんが『レ・ミゼラブル』でファンティーヌをやっていらっしゃった頃に出会っているんです。ミュージカル『INTO THE WOODS』という作品をやって、ビアがシンデレラ、僕が豆の木ジャックのジャックで出会っていて、がっつり共演しました。その後も「タイタニック」なども一緒にやっていますが、その間にも役者同士ではなく、人としてちらっと会っていたりもして、その付き合いが大きいですね。
――長い年月矢崎さんをご覧になっていて、シルビアさんは何かおっしゃいますか?
フラットに僕を見てくれる女優さんなので、逆に年下だから年下然として扱うとかではなくて、アメリカンな接し方をしてくれるんです。フラットにお話してくれて、それは昔からありがたいなと思っていました。
――今回は母と息子の役ですが、その点はいかがですか?
僕的にはずっとだいぶお姉さんのつもりでいたので、変わらないですね。でも今回は、母親か。お互いにまた新しい発見をするんだろうなと思います。やっぱり先輩の女優さんなので、「成長を見てもらいたい」という気持ちが昔からあります。
――ストレートプレイで絡むのは初めてですか?
初めてです。ミュージカルの現場でしか会っていません。ビアもどんどん活躍の場を広げている人なので、彼女の魅力もさらに知って、自分のものにできたらなと思います。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、先日韓国の大学路でミュージカルをご覧になって感じたことなどについて伺った内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「歌に対してスキルアップをしたい」という気持ちがピークに。韓国でボイトレを
■公的に運営されているKAAT 神奈川芸術劇場。「こういう劇場から盛り上げたい」と
■韓国の大学路でミュージカルを観た。歌によって小さな空間が宇宙になっていく経験
■「生きていく本質」や「心持ち」を、激動の時代を生きた人間から感じられる作品
<KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『アメリカの時計』>
【神奈川公演】2023年9月15日(金)~10月1日(日) KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
公式サイト
https://www.kaat.jp/d/the_american_clock
■アフタートーク開催決定
・2023年9月20日(水)14:00開演公演終演後
トーク出演:シルビア・グラブ、中村まこと、大谷亮介、長塚圭史(演出・KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
・2023年9月25日(月)14:00開演公演終演後
出演:矢崎広、河内大和、天宮良、長塚圭史(演出・KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
※アフタートークは当日のチケットをお持ちの方のみ参加できます。
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※矢崎広さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは10月14日(土)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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素敵なお写真をいつもたくさんありがとうございます。
今回も矢崎さんの今のお話がたくさん聞けて嬉しいです。