「演出の閃きが、何箇所も」『ミア・ファミリア』、日本版脚本・演出 安倍康律(下) | アイデアニュース

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「演出の閃きが、何箇所も」『ミア・ファミリア』、日本版脚本・演出 安倍康律(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2023年11月24日

2023年11月24日(金)から12月3日(日)まで東京芸術劇場シアターウエストで、2023年12月23日(土)と12月24日(日)に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される、3人による3人だけのミュージカル『ミア・ファミリア』の日本版脚本・演出を手がける安倍康律さんのインタビュー後編です。

「下」では、演出プランを考える際に何を糸口に紐解くかというお話、2016年に旗揚げされた「劇団ぼるぼっちょ」でご自身で書かれた脚本を演出されている場合と、今回のように他の方が書いた脚本を演出する場合の違い、演出を目指したきっかけのことなどについてお話ししてくださった内容と、お客様へのメッセージを紹介します。

安倍康律さん=撮影・岩村美佳
安倍康律さん=撮影・岩村美佳

ーー安倍さんはご自身の台本で演出されるという印象があったんです。今回のように、他の方が作られた戯曲に対して演出をする場合、どういうところを糸口に紐解いていくのかなと思いました。

いつもと同じなのですが、お客さんの印象に残るような要素をまず探します。芝居ということではなくて、仕掛けでも何でもいいんですけど、美術とか照明とか、何かそういうものの中から、なんか「あ!」って思えるものを一つは入れたいということを思っていますね。もちろん、できない作品もありますが、そういうところをいつも探します。

ーー芝居ではなく、美術面などから、探されるんですね。

はい。もちろん芝居の演出をするんですけど、芝居の世界観の中から何かをというよりは、美術や照明装置を使うんです。芝居を観に行く時も「その戯曲で、そんなことを思いついてやっているんだ!」みたいなところに、「カッケーな!」と思うんです。「この戯曲で、この予算でどれだけのことができるのか、何をやるのか」みたいな。僕がみつけたいのは、そういうところです。

ーー安倍さんのXでのポストを拝見して、『アメリカの時計』と『ラグタイム』をマチソワしたと書いてらして。私も、結構近い時期にこの二つの作品を観たのですが、それが今年の9月の印象としてすごく残っています。『アメリカの時計』の舞台セットの土とか、『ラグタイム』の印象的なラストシーンとか、多分そういうところですよね?

まさにそうです。

ーー「誰々の芝居」とか「この人の歌」ではなくて、この作品を観たときに印象に残る何か、ということですね。『ミア・ファミリア』の場合は、どういうところが今おっしゃっていた「あ!」というところになりますか?もしも伺えそうでしたら。

そこは、いまはちょっと内緒にしておきます(笑)。

ーー確かに、舞台が開いて、皆さんがどこを持って帰るかが開いてみないとわからないということになりますよね。

いや、そんな大それたことじゃないですけど(笑)、そうですね。「あれって、なんだったんだろう?」とかでもいいですし、そういうところで印象付けたい、そういうところを見つけたいというところが、いつも演出のスタート地点ですね。それを見つけたときに「これで俺の演出としての仕事は1個できた!」と思いますし。

ーーそういうアイデアは、台本を読みながら湧いてくるんですか?

音楽や美術プランもあるので、具体的に「どこ」とかではなく、閃いたら閃くし、もし閃かなかったら探すみたいな感じです。こうしたらめっちゃかっこいいかもとか、リアリティを無視して、この場面でこうやりたいなみたいな。今回、何個か閃いたので、僕としてはラッキーな方ですね。自分で書いた台本の演出の時だとしても、閃かないときもあります。

ーーそうなんですね!

それはいつも、「予算とか、できる範囲でやんなきゃ」、という考えで台本を書いているからんだなと、今回思いましたね。

ーー確かに予算とか箱とか、条件をつけて考え始めると、「あれやろっか。でも無理だな」とか思っちゃいそうですよね。

なってしまいますね。今回は打ち合わせのとき、「とりあえずやりたいこと言ってください」って言われてありがたかったです。

ーー自分主導でクリエイトしていく場合と、今回のように依頼で演出するケースでは、面白さがまた違いますか?

そうですね。他の方が書いた戯曲を演出するのは、今回が初めてです。(井上)芳雄くんの作品にしても劇団公演にしても、僕がいつも書いていましたから。

本当は、「自分の作品しかやりません」というように言えたらかっこいいなと思ってきたんですけど(笑)。やはりいろんな経験をするべきですね。

ーーご自身の作品ではない戯曲を演出するという今回の体験では、今までとは異なるものとしての面白みを感じていらっしゃいますか?

そうですね。あとは、他の方の作品を観に行ったときに勝手に自分で、俺だったらこうするのにと考えたりすることも面白いですね。

ーーそういうものは、ストックになっていったりするものですか?

はい。でも本から読み解いて考えるのは大変だなと今回思いました。出来上がったものを1回見せてもらって、「もっとこうできたな」って思ったり、直すのは割とたやすいんですよ。今回は本がスタートなので、脳内で立体的に組み立てるのは結構難しく、まず役者に声に出して読んでもらって、演奏も歌も聴いて、そしてやっと「こういうことだったのかな」とイメージできた場面もあって。そういう意味では、僕自身に、いろんなストックが足りてないなと思っています。できる人はきっと、戯曲だけ読んで、できるのかなと思ったりしました。

ーーでは、稽古しながらみなさんで一緒に作っていくという感じですか。

そうですね。今回に限らずですが、基本的にそうしたいといつも思っているんです。僕自身がずっと役者をやっていたので、いきなり演出家に「全部こうして」と言われるのが、すごい嫌いなんですよ。「いや、試させてよ?」みたいな。僕がそうなんで、今回もみんなで一緒に作ろうっていうスタンスでやりたいなと思っていますし、そう言っています。

そういうスタンスを提示してみて、3人がどういうタイプの役者なのかということも稽古を進めながら知っていって、またやり方は考えていこうかなと思いますけど、一応今の現段階としてはそういうふうにやりたいです。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、演出を目指したきっかけのことなどについてお話ししてくださった内容やお客様へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■役者として全然売れなかった10年間を経て、「じゃあ、自分でやったらいい」と演出家に

■今回も、芳雄くんとの作品も、外部から呼ばれると思っていなかったので本当にありがたい

■1個1個目の前にあることをやっていったら、見てくれている人は見てくれていたり

■「演劇っていいな」と、いつまでも生の舞台を「楽しいな」と応援していただけるように

<ミュージカル『ミア・ファミリア』>
【東京公演】2023年11月24日(金)〜12月3日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
【大阪公演】2023年12月23日(土)〜12月24日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト
https://miafamiglia.jp

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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