Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』(以下『イン・ザ・ハイツ』)が、2024年9月22日(日・祝)から10月6日(日)まで天王洲 銀河劇場で、10月12日(土)と10月13日(日)に京都劇場で、10月19日(土)と10月20日(日)にNiterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールで、10月26日(土)に大和市文化創造拠点シリウス 1階芸術文化ホール メインホールで上演されます。
本作に初演以来のベニー役で出演される松下優也さんのインタビュー後編です。「下」では、ウスナビ役のMicroさんと平間さんのこと、『イン・ザ・ハイツ』のカルチャーについてのお話、ミュージカルにご出演されるにあたっての松下さんご自身の思いや芸のスタンスについてお話ししてくださった内容とお客さまへのメッセージを紹介します。
――ベニーは、ウスナビとも大きく関わるのではと思います。今回、Microさんと平間さんのWキャストですが、Microさんとは初演の時にご一緒されていて、平間さんは前回ご覧になって、おふたりのウスナビ像にはどんな魅力を感じていますか?
10年前にも思いましたが、Microさんには、芝居の技術では補いきれない、人間のパワーみたいなものがあると思っています。役者さんっていろんなキャストの人がいて、スタッフさんも含めて、一緒に作り上げるから、誰かひとりだけが前に行くことって、その瞬間に芝居で見せたりすることはあったとしても、基本的にはないと思っているんです。みんなで円を作るみたいな感じで作っていると思うんです。
ミュージシャンやアーティストって、どうしても真ん中にいるから、最終的には背中を押されて、「ひとりでどこまで持っていくか」というパワーみたいなものがステージ上では必要なんですよ。それ特有のものがあると思っています。Microさんは、ミュージシャンの中でも、特にそういうものをすごく持っている人だと思います。
だから芝居を超えるものを、10年前にも感じていたんですよ。逆に役者側が影響を受けるというか、今回もそれを体感できるのがすごく楽しみです。お芝居に対してもすごく謙虚な姿勢の方なので、年齢が下の僕らとかにもアドバイスを聞いてくださったりするところも素晴らしいなと思います。
壮ちゃんはミュージカルの出演経験が多いですが、ウスナビを演じられる役者って、かなり限られていると思うんです。
――そうですね。『RENT』のマークなどとも、立ち位置が似ていますよね。
でも、ちょっと難しいと思うんです。ラップが相当ありますし。『イン・ザ・ハイツ』って、カルチャーなんですよ。そこが難しくて。カルチャーだから、本当は5年くらい稽古をしたほうがいいと思います(笑)。歌を歌えて芝居ができる人でも、カルチャーを理解していない場合、相当時間がかかると思います。そしてそれは、観ている人たちにも伝わりますから。でも壮ちゃんは、やっぱり小さい頃からダンスをやっていて得意だったり、音楽が好きだったりというところが、強みだと思います。
あとはやっぱり、壮ちゃんの人間性とウスナビとの重なる部分を、すごく感じます。主演なんだけど、自分より人を照らす。ベニーがウスナビのことを「街灯」と言うんですが、壮ちゃんもそういう人だなと、10年以上前から一緒にいて、すごく感じます。自分がどうというよりも、人のためにやっている部分を感じたりもするので。今、壮ちゃんが舞台で主演をやるようになってきても、変わらず人間の温かさみたいなものは感じます。壮ちゃん自身が温かい人間だと思いますし、そういう意味で、ウスナビと似ている部分があると思います。
――今お話の中で「これはカルチャーだから」とおっしゃったそのカルチャーに生きていない、知らない環境にいる方のほうがおそらく多いのではと思うのですが、松下さんが思う『イン・ザ・ハイツ』のカルチャーはどんなものですか?
僕らはお芝居をするプロですから、ちゃんと深いところまで考えて芝居の中に落とし込めたらいいなと思いながらも、「人間というのはどちらに転ぶのか、どちらの道を選択するのか」という人間力みたいなものが、『イン・ザ・ハイツ』の登場人物たちと日本人とでは、違う感じがするんですよね。
カルチャーというのはすごく難しいんですが、歌もダンスも本物かどうかは、見ていたら一目瞭然で分かるじゃないですか、それってカルチャーが根づいているかどうかだと思っていて。例えば、歌がめちゃくちゃうまい外国の方がいて、日本語が母国語じゃない人が日本語で歌っていたとして。すごくうまくても、その人のカルチャーが日本じゃないことは分かるじゃないですか。
その逆で、テクニックとかを超えるものはあるんですよ。なんて伝えたらいいか分かりませんが、これはダンスでもあるんです。ダンスを習ったこともなくて、別にうまくはないんですが、ノリだけすごく格好いい人とか。歌でもそうですし、音程とか関係なく、なぜか本物だと思わせる人がいるんです。
だから「本物」ってことなんです、カルチャーって。僕の主観で思っていることを話しているので、そうじゃなきゃいけないということでもないと思うんですが、僕はそのほうがいいと思っています。
――今回、そこに適した人たちが集まっているということですよね。
そうですね。例えばヒップホップの文脈でいうと、ブレイクビーツという、ループしたトラックがあったとしたら、好きにどうぞ、と言われた時にずっと永遠に何かできていたら、それは本物だと思います。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、ミュージカルにご出演されるにあたっての松下さんご自身の思いや芸のスタンスについてお話ししてくださった内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「本気でできるかどうか」というところで、仕事については基本的にジャッジ
■めちゃくちゃ本気でやるけれど、突き抜けたその先はすべて、どうでもいい
■『イン・ザ・ハイツ』を知らない方は、まず映画を。少し知っている方が楽しめる
■「ちゃんと観ないといけない」わけじゃない。軽いノリで観に来てください
<Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』>
【東京公演】2024年9月22日(日・祝)~10月6日(日) 天王洲 銀河劇場
【京都公演】2024年10月12日(土)~10月13日(日) 京都劇場
【名古屋公演】2024年10月19日(土)~10月20日(日) Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【神奈川公演】2024年10月26日(土) 大和市文化創造拠点シリウス 1階芸術文化ホール メインホール
公式サイト
https://intheheights.jp
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観劇前にも記事を読みましたが、改めて観劇後に読むと、此処に繋がるんだなとか、分かる分かるってなったりして、松下さんの考え屋取り組み方など色々知れるとっても素敵なインタビューでした!
来年の舞台も是非インタビューしてくださいませ。