2023年1月7日(土)から2月5日(日)に、東京・明治座でミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』が上演されます。原作は、「モーニング」に連載されていた累計140万部突破の大ヒット歴史漫画「チェーザレ 破壊の創造者」(惣領冬実 監修:原 基晶 講談社刊)です。美麗な作画とドラマチックな描写で幅広い層から支持を集める人気作家、惣領冬実さんによる壮大な歴史絵巻がミュージカルとして生まれ変わります。また本作では、オーケストラピットが稼働し、生演奏での上演となります。これは、2023年4月28日に創業150周年を迎える明治座の歴史の中で、初めてのことです。
アイデアニュースでは、チェーザレ・ボルジアを演じる中川晃教さんと、ダンテ・アリギエーリを演じる藤岡正明さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。「上」では、本来2020年に上演予定であった本作の稽古をしながら感じていること、オリジナルミュージカルを創るということについての想いなどについて伺った内容を紹介します。「下」では、2022年に様々な作品やコンサートで共演されてきたお二人がそれぞれに思う、『チェーザレ』という作品ならではのお互いの魅力のこと、この作品を演じる中での想いや決意、お客さまに伝えたいことなどについて伺った内容を紹介します。
ーーお稽古の進み具合はいかがですか?
藤岡:まだ当たっていないシーンもありますが、ざっくりとね。
中川:僕たちそれぞれ出稼ぎしながらね、この現場に戻っていますから(笑)
ーー『ジャージー・ボーイズ』で今、全国を回られていますね。
中川:あ、でもずっとイタリア人だね。
ーーイタリア系が続いていますよね。
藤岡:イタリアの16歳をずっと。1960年代の16歳と、1400年代の16歳。
ーー何か気質など、繋がっていると感じるところはありますか?
藤岡:僕はダンテとトミーですが、全く繋がっていない感じの口調です。頑張って悪い人に戻そうとしている感あるもん。
中川:トミーのときね!(笑)
ーーお二人とも、行ったり来たりされている中だとは思いますが、『チェーザレ』は、2020年に一度取り組まれていますよね。今回、稽古しながらの感触はいかがですか?
藤岡:前回は「雲行きが怪しくなってきたけど、まあ大丈夫でしょう!」という中で、周りの舞台がどんどん止まっていったので、これはやばいかもしれないとなってきて、稽古中に気が気じゃなくなっていたところもありました。でもまさか、コロナによって上演がなくなるということまでは、想像していなかったです。やはり今回は、同じ作品を扱っていながらも、「絶対にリベンジしてやるぞ」という気持ちが強いですね。
なので、2020年を踏襲したりなぞるのではなく、2年間で熟成されたもの、更には、世界中が苦しんだという想いも全部ぶつけて、この作品を作らなければならないと考えています。「観てくださったお客さまを圧倒できる作品」を届けられるところまで、なんとしてでも仕上げなければならないんです。
ーー「圧倒できる作品」を。
藤岡:つまり、戯曲や音楽に頼らない、強いエネルギーを持ってお客さまに届けないといけないと強く感じているんです。そういう意味では、前回と熱量は全く違うかもしれないですね。もちろん、前回にやる気がなかったわけではないのですが。でも正直なところ、今回の稽古ではかなり演出家に食ってかかっているようなところもあると思います。「それでいいの?」って。
ーーそうなんですか!?
藤岡:「それぐらいでいいの?」みたいな感じで、話している気がしますね。
中川:…怖いよ!
藤岡:喧嘩しているわけじゃないですよ。
中川:でも、普段優しい顔で話している藤岡さんが、心の中では「本当に、お前それでいいのか」みたいなことを思っているとなると、小山さんにしたら怖いと思うよ!
藤岡:いや、思っているだけじゃなくて、小山さんにちゃんと言ってるからさ。「本当にここんとこ、ちゃんと詰めていかないと」って。やっぱり、すごく耐久力の強い、足腰の強い作品にしたいから。つまり、断片的な点になってしまうシーンや芝居ではなくて、それぞれ互いにしっかりと繋がっていて、骨太なものにしたいんです。その思いを、小山さんに伝えていますね。
中川:最近、僕たちは『ジャージー・ボーイズ』含めて共演する機会も多くて。『チェーザレ』は今回初演ですが、ある意味では再演のような感覚もあります。その時々に、精一杯幕を開けてやり終えて、また次に新たな気持ちで向き合っている時に、何か見えてくるものや、「もっとこうしていきたいよね」と進化させていきたい想いが、今マサが言った「骨太」というところに繋がっているなと。いつも一緒にやっていて、頼もしいというか、安心できるというような、「やっぱりそうだよね」とか「なるほどね」って思えるところがすごくありますね。
藤岡:アッキーとは、「この台本が言わんとしていることは何か」「このシーンが担っている役割は何か」とか、「本当に伝えるべきことは何なのか」という話をとにかくするようになりました。
ーーそれは、『チェーザレ』に限らずですか?
藤岡:そうです。こういう共有って、すごく大事なんだなと今強く感じていますね。
中川:特にオリジナルミュージカルですから、私たちが考えなければ、誰が考えるのかという話になるわけで。そこは、脚本や音楽に頼るだけではなくというところにもすごく通ずるんです。でも一方で、「ミュージカルって改めて、音楽家のものだな」と思うところもあって。
藤岡:そうだね。
中川:「音楽家が、どのような意図を持ってその音楽を作ったのか」ということがね。俳優は、稽古場で、芝居と並行しながらピアノ一本でナンバーを歌う。音楽として、どのようにこの作品を設計していきたいのか。そこを、俳優としてどう体現していくか。演出家と俳優も、シーンを深めたり、共通認識をもったりするために会話をしていく。音楽家も、そういうところをずっと、稽古場で見聞きしているんですよね。
そういうことから、音楽のアレンジや設計図が生まれていくんです。音楽は今、すごくピュアな状態なんです。島さんの美しい旋律と、荻田先生の歌詞の美しさ。日本語のミュージカルならではの言葉の美しさがきちんと届くようにメロディーが作られています。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、オリジナルミュージカルを創るということについての想いについて伺った内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。1月7日掲載予定のインタビュー「下」では、2022年に様々な作品やコンサートで共演されてきたお二人がそれぞれに思う、『チェーザレ』という作品ならではのお互いの魅力のこと、この作品を演じる中での想いや決意、お客さまに伝えたいことについて伺った内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■藤岡:脚本と音楽は「ミュージカル」に到達するための船。俳優はその船を漕ぐ
■藤岡:「原作を越えられる前提」で船を漕ぐ。覚悟や責任感を共有しての作品創り
■中川:旧メンバーは「より深め、妥協せず」。新メンバーは新たな角度から風を
■中川:一筋縄ではいかないオリジナルミュージカル創り。だからこそ、やりがいも
<ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』>
【東京公演】2023年1月7日(土)~2月5日(日) 明治座
公式サイト
https://www.cesare-stage.com
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チェーザレ、千穐楽を生で観られて幸せでした。
本当にパワー溢れる作品で、圧倒されまくった3時間でした。
このインタビューを読んでいたおかげで、ふたりの、チェーザレカンパニーの熱い思いを感じながら、ただただ感動していました。
双頭の鷲ではないけれど、やはりアッキーと藤岡君の揺るぎない信念のおかげで素晴らしいオリジナル作品を生まれたのだと思います。
これから再演(希望)を重ね、どのように作品が進化していくか楽しみでなりません。
そしてこのふたりが牽引していくこれからの日本のミュージカル界が楽しみ!