2023年3月27日(月)から30日(木)まで4夜連続で、CSチャンネルの「日テレプラス」と「ひかりTV」で、人気俳人・堀本裕樹さんの「春夏秋冬 雑談の達人」(プレジデント社)を原作とするドラマ『俳句先輩』が放送されます。主人公の「俳句先輩」を紅ゆずるさんが、「男子くん」を寺坂頼我さんが、「女子ちゃん」を三原羽衣さんが演じます。重要な役どころには、俳優で俳人の小倉蒼蛙さんが参加し、俳句好きの方にも満足いただける解説も見どころとなります。このドラマは、日テレプラスとひかりTVの共同制作で、一部編集違いの演出となっており、日テレプラスでは「俳句先輩」目線のシーンを加えた「俳句先輩〜暦とともに生きる者編〜」が、「ひかりTVチャンネル」では男子くん、女子ちゃん」目線のシーンを加えた「俳句先輩〜暦を知りゆく者編〜」が放送されます。それぞれのバージョンを視聴することで、更に深くドラマの世界観を楽しめる構成になっています。
ドラマの放送に先駆けて、3月19日(日)にドラマ「俳句先輩〜暦とともに生きる者編〜」#1の試写会が行われ、試写会後にキャストによる会見が行われました。登壇したのは、俳句先輩役の紅ゆずるさん、男子くん役の寺坂頼我さん、原作者で俳人の堀本裕樹さんです。会見の様子を一部、アイデアニュース独自撮影の写真と共に紹介します。
<紅ゆずるさんのお話>
(試写会で#1を観て)実際に自分が映像に出ているという経験はほぼないので、画面の中で、「こういうふうに自分が映っているんだな」とか、「私はこういう計画でやっていたけれども、こういうふうに映っているんだ」とかってなると、今度、こういうふうにやってみたいなという考えがどんどん浮かんできました。いろんな課題をいっぱい与えていただいたなと思っているので、今後の糧にしていきたいと思っております。編集が、効果音とかすごいなと思って。大変感謝しております。
主演という言葉はすごく迫力があって。でも私の中で、実際に現役中にとても思ったのは「主演、主演」と思いすぎると失敗するんですよ。気負っておわるから、みなさんと一緒に、いいものを作りたいという、高みを目指すということを心がけて現場におりました。
やっぱり、俳句ってちょっと硬いイメージがあるんですよ。台本を読ませていただいて、実際に自分が役作りをする中で、「コメディーって、見ている方との距離が近くなる」というのは、舞台でもすごく感じるんですけど、そういう要素をすごく作るのが楽しかったです。
(俳句にまつわるエピソードとして)宝塚の三次試験は、最後面接だけなんです。「特技を言ってください」なんてないんですけど「特技あります」って自分から言って。それで俳句を詠んだんですけど、自分の気持ちを言っただけで、季語なんで全然なくて、ただの五・七・五で。しかも、言おうと思っていたのを忘れちゃって。でも、下を向くとすごく自信がなく見えるから、上を見なさいって言われていて。のけぞり返ってずっと考えて、ようやく思い出して、何回も言って。季語がないへっぽこ俳句を。(どんな俳句でしたか?という質問に答えて)「明日の朝 嬉し涙か 悲し泣き」って。「嬉し涙か 悲し泣き」って。何回も先生方に言ったんですよ。「もう大丈夫だよ、受かりたいんだね」って言われて(笑)。
撮影時は、すごくお昼ご飯が楽しみでした。もちろん撮影もすごく充実していて楽しかったんですけど、休憩中にいっぱいいろいろお話しして、刺激になって。1日ごとに、仲良くなっていったから、自分のモチベーションを上げる時間でしたね。あと私は映像経験がなくてわからないので、らいちゃん(寺坂さん)に「あの時って、こういうふうにいったらいいの?」とか、「よーい、はい!」って言われる時に、らいちゃんが何かをぶつぶつって言ってたから、「何言ってるんやろ?」ってずっと思っていて。で、聞いたら、私が最初のセリフだったら、その前のセリフを言ってくれていて。「入りやすいように」と。「それってさあ、どういうタイミングで言ったらいいの」とか、すごい全部聞いていました。しかも「こうですよ」じゃなくて、「こうかもしれないですよ」って。気遣いが本当に素晴らしいから、もう、先生!って感じです。
(エンドロールで、今回写真のみで出演される綺咲愛里さんの名前が出てきたことについて)私もびっくりしましたもん。知らなかったので、突然現場で出てきた時に「え、うそやん!」って。その日の夜彼女に連絡したんですよ。そしたら、「そうなんです。ありがとうございます」ってなって。「こないだ会ったやんな?!」って言ったら「言っちゃいけないと思って」って。「女優やな」と。
役作りでは、とても堅物な面白みの全くないような人を演じるか、お家の中ではギャップがすごいので、それを見せるか。そこは絶対だったんですけれども、無表情に淡々と喋る人を演じるか、あまりの好きさに、要は俳句推し、めちゃくちゃ芭蕉推しとかなんですよ。だから要は、「推し活している人」なんですよ。推し活まっしぐらな人なので、俳句先輩自身もエネルギーの強弱や緩急を自分で多分、コントロールできないと思ったんですよ。だから、いくところまでいって、あ、しまったみたいなのは、滑稽で可愛くて、とか。みなさんから「かわいいな」とか思っていただける、愛着をもっていただける人物にしたいなと最終的になったんですよね。らいちゃんとういさん(三原さん)と小倉さんと演技をさせていただくときに、自分が考えていたことがどんどん固まっていくのをすごく経験して。明日はもっとこういうふうにやってみようと。台本は最初からやるわけではなく、ドラマって一番最後からやったりもするわけですね。舞台じゃそれはあり得ないので、時間経過とか、最初と最後は全然違うから、そこの感情の流れとかをすごく考えまして、今日はこうだったとか台本に書いて、自分の中で次のプラスになるものを見つけながら役作りをしていました。
「どういうふうにやったらいいですか?」って(監督とかに)お聞きするんですけど、「どうやってみたいですか?」と聞いてくださったので、じゃあこうしてみたいなと、ブワーッとお話しして。「きっとこのセリフは、こういうふうに言ったんだと思うんですよ」とか。映像は一回撮ると、そのシーンは二度とやらないわけで。「このセリフ好きだ」というのが終わっちゃうと、「もったいないな!」って思っちゃう。寂しいんです。舞台も、千穐楽だとしたら二度と言わないとしても、毎公演積み上げていくから、どんどん膨らんでいったりですとか、新たな感情が芽生えたりするわけです。「もっとこうやればよかったな」と思うのは絶対に嫌だったから、そこに全てをマックスでもっていくっていう集中力は(映像で)すごく必要だなと思いながらやっていました。
お気に入りの季語は、三つ言うところがあって。「春愁」「春思」「春恨」(「しゅんしゅう」「しゅんし」「しゅんこん」)。春の憂鬱さ、なんだかちょっと、心が憂を帯びているというか。そこがなんか、季節によって人間がちょっと揺さぶられている漢字が好きなんですよ。何か事柄があったわけではなくて、季節とか温度とか、日差しとかそういうものが全て合わさって、そういう方向に行っている時って、いつも考えないことを思いついたりとか、思いもよらない感情が生まれてきたりとか。そういうふうになる気がして、マジックアワーみたいな気がするんですよ。なので好きです。
<寺坂さんのお話>
(試写会で#1を観て)めちゃくちゃ面白かったですね。僕、物語は知った上で見させてもらったんですけど、笑うところもいっぱいあったり、コミカルな作風なので。自分でも元気が出るような、何回見ても、エネルギーもらえる作品だなっていうふうにすごく感じましたし、「男子くん」を演じることができてよかったなとすごく思いましたね。見ながら、「このとき、こうだったな」とか、振り返っちゃったというか。原作と比べて、理想の「男子くん」でいられているのかなとか思っていたんですけど、監督からは、自然体で、自分でやっちゃって大丈夫だからと言われていて。まんまな感じで。
ロケの時に、お寺で実際の句碑とかを拝見すると、染みるものがあるなとは思いましたね。荒川区にそういう場所がいっぱいあって。役作りで気をつけたのは、自分のままでいいと言われていても、経験したことないことばかりだったので、想像だとか。常に「男子くん」の、いきなり「えー!」というようなパワフルな感じとかなので、朝から常に元気でいようと心がけました。3時とか4時から起きていて。気合いを入れたり、その日のセリフを読んだり、こういうのやってみようかなとか、思いついたりするので、そういう時間に充てたり。やっぱり集中力がすごく大事だと思うので。ずっと「男子くん」でいられるように、体の面から気をつけようと思っていました。あと、「男子くん」のオリジナルソングもたくさん登場します。
お気に入りの季語は、「うららか」という言葉。すごく素敵だなと。「暖かくていいな」とか「気持ちいいですね」とか。天気を伝える時に、いつもは違う言葉を当てはめて言っていたんですけど、「うららか」って適切だし、言えたらかっこいいなと。知ったらそう思えるようになって。「今日はうららかですね」って(笑)。
<堀本さんのお話>
(試写会で#1を観て)本当に面白かったですね。原作は、ここまでコメディータッチじゃないんですよ。もうちょっとクールな感じなんですけど、そこにやっぱり、脚本としてコメディの要素を入れていただいて、お二人のキャラクターでぐいぐい見せていくっていうか。二人の漫才みたいな感じで。あれが見ていて面白いし、そこに「猫の暦」がすごいインパクトでくる。ひとつひとつのセリフが面白い感じで、なおかつ季語もきちんと伝えてくれる感じで、俳句先輩が全部言ってくれますから。やっぱり、紅さん素晴らしいです。謎のキャラなんだけど、「季語に命をかけている」っていうのがすごい伝わってきて、面白いし、勉強になるしっていう。堅苦しいことを、コメディータッチでやってくれるから、俳句や季語が身近に感じていただけるのが、すごく原作者としては嬉しかったところですね。
(季語の解説を)ドラマを見ながらメモした感じですが、僕が見ていて面白かったのが、衝撃の弁当。僕は俳人ですけど、こんな季語だらけの弁当僕も食べたことないなと(笑)。季語だらけだから、そこに俳人独特のツッコミを入れながら。季語だと「春炬燵」。春をつけたら、春の季語になるんですよね。立春すぎると、春なんですけど。季語ってある種適当なところもありますよね。春炬燵を季語にして俳句を詠もうという俳人の感性が、客観的にみても面白いなと。ドラマの中でも、春寒しとか。寒しだけだと冬の季語。春寒しは、春の寒さ。それが日本の季節の繊細なところを表しているんですね。きっちり寒さがここで終わるという定規で引いたような季節の変わり方をしない。グラデーションがあって、徐々に春夏秋冬移り変わっていくんです。そこの変わるところを言うのが、春寒しとか。
「蛙の目借時(かわずのめかりどき)」という季語があるんです。蛙に目を借りられて眠くなってしまうという意味合いがあって。春眠暁を覚えずの春眠もそうですけど。
<あらすじ>
区役所の若手職員「男子くん」の部署に、特命リーダー「俳句先輩」が異動してきた。「暦とともに生きている」が口癖のこの先輩は、日々の何気ない会話にも季節感が溢れている。その秘密は、俳句で重要な「季語」だった。男子くんは、天気・服装・年中行事・動植物など、これまで見過ごしていた季語の魅力を知ることになる――
<「俳句先輩〜暦を知りゆく者編〜」>
【日テレプラス 番組ページ】https://www.nitteleplus.com/program/haikusenpai_npls/
【番組】俳句先輩 〜暦とともに生きる者編〜
【放送日時】
3月27日(月) #1 21:30〜22:00
3月28日(火) #2 21:30〜22:00
3月29日(水) #3 21:30〜22:00
3月30日(木) #4 21:30〜22:00
【ひかりTV 番組ページ】https://www.hikaritv.net/sp/haikusenpai/
【番組】俳句先輩 〜暦を知りゆく者編〜
【放送日時】
3月27日(月) #1 22:00〜22:30
3月28日(火) #2 22:00〜22:30
3月29日(水) #3 22:00〜22:30
3月30日(木) #4 22:00〜22:30
出演:紅ゆずる 寺坂頼我 三原羽衣 小橋めぐみ/小倉蒼蛙 ほか
スタッフ:
【脚本】黒木蒼硯
【監督】金澤克次
制作年
2023年
©俳句先輩 日テレプラス/ひかりTV
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